ジョコビッチがプイユを圧倒、決勝の相手はナダル [オーストラリアン・オープン]
今年最初のグランドスラム「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月14~27日/ハードコート)の大会12日目、男子シングルス準決勝。
コートの青い色を帯びたノバク・ジョコビッチ(セルビア)のシューズの、キューキューと響き渡る音のすべてが、彼がポイントをコントロールするのに完璧なポジションに置き、記録的7度目のオーストラリアン・オープン優勝へ一歩近づけた。
第1シードのジョコビッチは、実力の差を見せつけられた第28シードのルカ・プイユ(フランス)に対する試合で、最初から最後まで完璧だった。彼は1時間半もかけずに手にした6-0 6-2 6-2の勝利への過程で、決して、ほんの一瞬でさえも勢いを緩めなかった。
ここまでの道のりで常に相手を圧倒してきたジョコビッチだが、この試合はおそらくその中でも、もっとも印象的なものだった。
彼はわずか5本のアンフォーストエラーしか犯さなかった。それも、24本のウィナーを生むに十分なだけのリスクを犯したにもかかわらず。
「すべては、試合前に僕がイメージしていたとおりに機能した。想像した以上だったとさえ言える」
大会最終日となる日曜日に世界ランク1位のジョコビッチは、彼の古きライバルで世界2位のラファエル・ナダル(スペイン)とのツアーで53回目、グランドスラム決勝では8度目となる対決に挑むこととなる。
「僕なら間違いなく、この試合のチケットを買うだろうね。まだ買っていなかった人々のために言うが」とジョコビッチはロッド・レーバー・アリーナでのオンコートインタビューの際に、こうジョークを飛ばした。
グランドスラム大会において、17度優勝しているナダルと20度優勝のフェデラーだけが、ジョコビッチよりも多くのタイトルを保持している。
しかしジョコビッチは、彼らに追いつきつつある。彼は来る決勝で、通算15勝目、そして昨年7月のウインブルドン、9月のUSオープンに続く3大会連続となるグランドスラム制覇を目指すことになる。
両者の対戦成績はジョコビッチが27勝25敗でリードしているが、グランドスラム決勝だけをとればナダルが4勝3敗で上回る。
彼らがオーストラリアン・オープンで対決したのはこれ以前に1度だけで、その2012年は、史上最長のグランドスラム大会決勝となった5時間53分の死闘の末にジョコビッチが5-7 6-4 6-2 6-7(5) 7-5で勝者となっていた。
「あれは人生に一度きりという体験だった」とジョコビッチはその試合について語った。
「(今回も)結果は僕にとって同じであるよう願う」
現在このふたりともがいかにいいプレーをしているかを鑑みれば、この大一番は、これに先立つ一方的な準決勝と違い、もうひとつの伝説的名勝負となる可能性がある。
ナダルは木曜日の夜、第14シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)を6-2 6-4 6-0で下した試合で素晴らしいプレーを見せ、大会を通してまだ1セットも落としていない。
その翌日、ジョコビッチは、「君ができるすべてについて、僕は君よりもうまくやる」とでも言わんばかりのプレーぶりを披露した。
それはジョコビッチにとって34回目のグランドスラム準決勝であり、彼は今、このところの準決勝10試合に勝ったことになる。元女子世界ランク1位のアメリー・モレスモー(フランス)の指導を受け始めた24歳のプイユにとって、グランドスラム大会の準決勝進出は今回が初めての経験だった。
その風の強い曇りの夜、ジョコビッチがメルボルンパークでの準決勝の成績を7勝0敗に更新する過程で、ふたりの経験と実績の大きな溝がはっきりと見られた。
また、ジョコビッチはここまでのところオーストラリアン・オープン決勝で無敗でもあり、同大会で6度優勝という記録を、1960年代に活躍したロイ・エマーソン(オーストラリア)、そしてフェデラーと分け合っている。
あるポイントですべって顔から転んだことを除き、金曜日の試合でジョコビッチにとってプラン通りにいかなかったことは何だろうか?
彼はプイユのセカンドサーブからの34ポイントのうち25本を取り、相手のサービスゲームを7度ブレークした。彼は53回あった自分のサービスからのポイントのうち45本を取り、一度も相手にブレークポイントを与えなかった。そして、セカンドサーブからのサービスエースを奪いさえした。
プイユは、ようやく1ゲームをつかむのに30分以上を必要とした。彼がそれをやってのけた瞬間、おそらく観客たちは、より長く試合を見ることはもちろん、より競争のある試合になる見込みにホッとしたのか大きな歓声を上げた。しかし、それが実現することは決してなかったのである。
「間違いなく、これまでプレーした中で最高の試合のひとつだった」とジョコビッチは言った。それから彼は一呼吸おき、「このコートの上での」と必ずしも必要ではない修正をつけ加えた。
これは、彼が手にしうる中でもっともよい結果であり、2018年オーストラリアン・オープンとは比べ物にならなかった。昨年の大会で痛む肘を抱えていた彼は、4回戦で敗退した。そのすぐあと、彼は肘に手術を受け、ふたたびトップに向けて登り始めたのである。
「12ヵ月前には、1年後に僕が今日いる場所にいるというのは非常にありえそうもないことだった」とジョコビッチは振り返った。
「でも以前にも言ったが、僕は常に自分を強く信じていた。そして自分を信じる力は、常に勝つんだよ」(C)AP(テニスマガジン)
※写真は準決勝で対戦したノバク・ジョコビッチ(セルビア/左)とルカ・プイユ(フランス/右)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 25: Lucas Pouille of France congratulates Novak Djokovic of Serbia on winning their men's semi final match during day 12 of the 2019 Australian Open at Melbourne Park on January 25, 2019 in Melbourne, Australia. (Photo by Michael Dodge/Getty Images)
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