ノバクとなおみ

 オーストラリアン・オープン(1月14〜27日/オーストラリア・メルボルン/ハードコート)で起こったことは、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が現在のテニス界で最強だということを、世界に教えたという訳ではなかった。しかしながら、間違いなくそのことを確認させたとは言える。

 そして、テニス界の中にいる者は、大坂なおみ(日清食品)がどんな選手なのかをよく知っている一方で、彼女は今回、自分の才能がより多くの人の目により明らかになるよう取り計らった。

 31歳ですでに世界1位のジョコビッチは今、ここ3つのグランドスラム大会で優勝したことになる。一方、21歳にして初めてナンバーワンの座を勝ち取った大坂は、ここ2つのグランドスラム大会のトロフィーを獲得した。

 今から4ヵ月後に、次のグランドスラム大会――フレンチ・オープン(5月20日〜6月9日/フランス・パリ/クレーコート)――がやってきたとき、すべての注目は彼らに注がれることになるだろう。

「言うまでもなく、まだシーズンの出だしだ。ロラン・ギャロス(フレンチ・オープン)の前に、プレーする多くの大会があるのはわかっている。だから僕には、ゆっくりと調子を築いていくための時間がたっぷりあるわけだ」とジョコビッチはコメントした。

「僕のテニス、クレーコートでのテニスに、もう少し磨きをかけていかなければならない」

 オーストラリアン・オープンの男子シングルス決勝でのラファエル・ナダル(スペイン)に対する印象的な6-3 6-2 6-3のストレート勝利のあと、ジョコビッチは4連続でのグランドスラム大会優勝を目指すことができる。

 昨年ウインブルドンとUSオープンに優勝し、今回オーストラリアン・オープンを制した彼に残されたのはフレンチ・オープンだけだ。彼はそれを2015年から2016年にかけて、すでに一度やってのけていた。

 しかし彼が、同一年の間に4つのグランドスラム大会を制す、『真のグランドスラム』をやってのける可能性も存在するのだ。それがロッド・レーバー(オーストラリア)によって最後に達成されたのは、50年も前のことである。

 それは、皆にテニスについて話させることのできるような、画期的なことだ。

 土曜日に行われた女子シングルス決勝でペトラ・クビトバ(チェコ)に対して7-6(2) 5-7 6-4の勝利をおさめた大坂に関して、彼女が突然世界のトップに急上昇したことについて特に注目すべきなのは、層の厚さはあるが支配的立場に立つ者はいないかに見えていた時期のすぐあとに起きたということだ。

 このオーストラリアン・オープンまで、これに先立つ8つのグランドスラム大会は8人の女子選手が分け合ってきた。

 セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が2014年から2015年にかけて4つのグランドスラム大会を連続で獲って以来、4大大会に連続で優勝した女子プレーヤーはひとりもいなかったのである。

 そして、初めてのグランドスラム・タイトルに続き、その次のグランドスラム大会ですぐに2つ目のタイトルを獲った者に至っては、2001年のジェニファー・カプリアティ(アメリカ)にまで遡らなければならない。

「私はずっと、ベストの選手たちは、彼女たちの最高のテニスをしていないときでさえ試合に勝つことができるのだという話を耳にしてきた。そして私はいつも、そういう選手たちはいったいどうやってそれをやっているのだろうと思いを巡らせていた」と大坂は語った。

「今、この大会は、私にとってそれだったと感じている」

 ジョコビッチは今、その力の高みにいる。大坂は、これからよくなっていくばかりだ。

 では、誰がこれから彼らに挑戦するのだろうか? ここで、2019年オーストラリアン・オープンで我々が知った、そのほかのことを見ていこう。

セレナとロジャー

 セレナとロジャー・フェデラー(スイス)は、ともに37歳だ。

 プロ化以降の時代で、23タイトルを持つセレナほど多くのグランドスラム・タイトルを勝ち獲った者はいない。そして歴史上、フェデラーのもつ20タイトルより多くを勝ち獲った男子プレーヤーもいない。

 セレナは7つのオーストラリアン・オープン優勝杯を持っており、フェデラーは6つだ。しかし、今回のセレナはメルボルンパークの準々決勝で敗れ、フェデラーは4回戦で敗退した。

 もしかすると、年齢が影響をもたらしているのかもしれないし、そうではないのかもしれない。

 しかしながら、このふたりともがビッグタイトルを求めて戦うことにおいて終わってしまった、という考えは信じがたいものだ。

 あるカギとなることが動き出しつつある。フェデラーが一連のヨーロッパのクレーコートの大会と、ロラン・ギャロスでのプレーを予定しているということだ。これは2015年以来、起きていなかったことである。

健康なナダル

 決勝でのナダルに、ジョコビッチの歩みを阻めるだけの力はなかったが、それを除けば、彼は素晴らしい調子であるように見える。そしてもっとも重要なことに、彼はいま健康だ。フランスのクレーコートの上で、誰が優勝候補であるかに、ほとんど疑いはない。

「ここ2週間に起きたポジティブなことによって、彼の将来とレベルについて、僕らは非常に前向きな感触を覚えている」とナダルのコーチであるカルロス・モヤ(スペイン)は大会を振り返った。

「向上の余地があることは知っているし、僕らはそれについて、多くの努力をつぎ込むつもりだ」

新進気鋭の選手たち

 過去15年にわたりテニス界を支配してきた者たちが舞台から去ったとき、一体何が起きるのかと思い悩む者たちがいたとしたら、その点でも興味深い動きはあった。

 オーストラリアで存在感を示した、何人かのニューフェイスたちがいたからだ。

 20歳のステファノス・チチパス(ギリシャ)は準決勝への道のりで、フェデラーに対して番狂わせを演じた。

 メルボルンでの過去の戦績0勝5敗で今大会に臨んだ24歳のルカ・プイユ(フランス)は、コーチのアメリー・モレスモー(フランス)に導かれ、彼にとって初のグランドスラム準決勝に進出した。

 大会中に21歳になった、シエラレオーネからの移民の子であるフランシス・ティアフォー(アメリカ)は、準々決勝までの道のりでいくつかの番狂わせをやってのけた。

 フロリダから来た25歳のダニエル・コリンズ(アメリカ)は、グランドスラム大会を3度制したアンジェリック・ケルバー(ドイツ)を倒し、初の準決勝進出を決めた。

 ニュジャージー出身で17歳のアマンダ・アニシモワ(アメリカ)は、その明るい未来を示して見せた。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はオーストラリアン・オープン女子シングルス優勝後の記者会見での大坂なおみ(日清食品)(撮影◎小山真司 / SHINJI OYAMA)

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