ジュディ・マレーが息子アンディはふたたびプレーすることが可能だと発言

アンディ・マレー(イギリス)は現在、臀部の手術から回復の過程にある。そして彼の母は、2度ウインブルドンを制した彼女の息子は、いまだ復帰するチャンスを手にしていると考えている。

 先月のオーストラリアン・オープンでマレーは、今年最初のグランドスラム大会でプレーするが、その後もう2度とプレーできないかもしれないと発言していた。彼はメルボルンの1回戦で敗れ、2週間前に金属製の人工股関節を入れる修復手術を受けた。

 アンディの母であり、彼の元コーチでもあるジュディ・マレーはAP通信に対し、自分は息子が終わったとは思っていないと打ち明けた。

「我々に分かっている確かなことは何もないわ。誰にも分からないのよ」と南米最大の大会であるリオ・オープンの会場で彼女は語った。

「でも、アンディがふたたびプレーするチャンスを手に入れるためにできるすべてをやるだろう、ということは分かっているわ」

 彼女はまた、「彼はボブ・ブライアン(アメリカ)がUSオープン後に受けたのと同じ手術を受け、ブライアンはオーストラリアン・オープンでふたたびプレーしていた。でもダブルスは、シングルスとは違う体の使い方をする。現時点では、待って様子を見てみましょうというところね」とも言い添えた。

 オーストラリアン・オープン前にマレーが驚きの発表をしたとき、彼は少なくともウインブルドンまではプレーしたいと口にしていた。それは彼が2013年に優勝し、77年ぶりのイギリス人チャンピオンとなった思い出深き大会だった。
 
 マレーは2016年にも、ふたたびウインブルドン優勝を遂げた。彼はまたUSオープンでも1度優勝し、ふたつのオリンピック金メダルも獲得した。そして41週の間、世界ランク1位の座に就いていた。

 リオの大会に招待され、スタイリッシュなジョッキークラブで講演や子供の指導を行ったジュディは、自分の息子は、いまだ、もう2度とプレーできないという考え(を受け入れるの)に苦しんでいるのだと思うと話した。そして彼が復帰できるチャンスを目にしたのなら、きっとそれに飛びつくだろうと彼女は語った。

「私は、アンディは復帰するだろうと思う。でも彼は、それが可能ではないかもしれないということを自覚しているのだと思うの」とジュディは自身の考えを述べた。

「彼は賢い子よ。彼は多くの違ったことに興味を持っている。テニスのキャリアが終わったあとにも、続く人生で多くのオプションを手にしているわ。でも、もっとも重要なことは、アンディがここ20ヵ月苦しめられてきた痛みから解放されるということなのよ。彼には、若い家庭がある。残りの人生での、質の高い生活を考えなければならない。実際、それがもっとも重要なことなのよ」

 アンディは、若いころにトレーニングし過ぎたことが、損傷した骨と軟骨を股関節内部の脚の付け根から取り除き、金属製の関節に置き換える最近の手術を受けなければいけない事態につながったのではないかとも話していた。ふたりの息子が幼いころに彼らのコーチを務めていたジュディは、練習のし過ぎがこの故障の理由という意見に、必ずしも同意していなかった。

「過剰な練習ではなかったと思う」とジュディは彼の考えを否定した。

「人は過ちから学ぶものであり、ジェイミーともアンディとも、やっていくうちに学んでいった。なぜって、スコットランドでは誰もそれをやったことがなかったのだから。お手本にできる者はいなかったし、アドバイスを与えてくれる人もいなかった」

 それでも、彼女は息子たちをコーチする中で、かなりいい仕事をしたと言える。アンディがウインブルドンで優勝してシングルスで世界1位となっただけでなく、兄のジェイミーもダブルスで世界1位となり、オールイングランドクラブで2回ミックスダブルス優勝を遂げたのだから。

「彼らは、素晴らしいことをやってのけた」とジュディは言った。

「中央スコットランドの小さな町からやってきた彼らが世界1位になるなどと、誰も予想できなかったはずよ」

 しかしながら、彼女の思い出のクライマックスはデビスカップで訪れた。イギリスは、スコットランドのグラスゴーで行われた準決勝でオーストラリアと対戦し、チームには彼女の息子たち2人ともがいたのだ。

「アンディがジェイミーと一緒にプレーした。いうまでもなくアンディは、金曜日と日曜日にシングルスをプレーしなければならなかったから、彼がダブルスでもプレーするかは分からなかった。ベスト・オブ5セットマッチで連続3試合をプレーするというのは、すごく大変なことだから」とジュディは振り返った。

「そんな訳でアンディがダブルスをプレーするかは、最後の瞬間までわからなかった。そしてそれは、私たちが住む町であり、テニスが非常に小さなスポーツ…総人口の1%しかテニスをプレーしていないスコットランドのグラスゴーでプレーされていた。誰も、自分たちの町からグランドスラム・チャンピオンが生まれるなどということを期待してはいなかったのよ」

「そして私は、陸上競技のアリーナだったその会場にいたわ。スコットランドの9000人ほどの観客たちと一緒に、ジェイミーとアンディが監督のレオン・スミスとともにコートに入っていくのを見た。監督のスミスは、彼が20歳のときに私がコーチとして一緒に仕事をしたから、彼は私の3番目の息子のような存在なの」

「私は周りを見回し、『私たちが、スコットランドでのデビスカップ準決勝に、スコットランド人の選手とスコットランド人の監督で臨むことになろうとは、いったい誰が信じたかしら!』と言ったわ。そんな訳で、それは私にとって本当に多くのことが同時に起きたもっとも大きな瞬間だったの」

 もうひとつの大きな瞬間、もしかすると最後の瞬間は、来たるウインブルドンでやってくるかもしれない。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はオーストラリアン・オープン1回戦で息子アンディの試合を見守る母のジュディ・マレー(右)、隣は長男のジェイミー・マレー
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 14: Jamie Murray (L) and Judy Murray look on as Andy Murray of Great Britain plays in his first round match against Roberto Bautista Agut of Spain during day one of the 2019 Australian Open at Melbourne Park on January 14, 2019 in Melbourne, Australia. (Photo by Cameron Spencer/Getty Images)

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