ナダルはチチパスに初黒星を喫し、クレーコートで3大会連続準決勝敗退 [ムトゥア・マドリッド・オープン]

ATPツアー公式戦の「ムトゥア・マドリッド・オープン」(ATP1000/スペイン・マドリッド/5月5~12日/賞金総額727万9270ユーロ/クレーコート)の男子シングルス準決勝で、第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)が第8シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)に4-6 6-2 3-6で敗れた。

 世界ランク2位のナダルはお気に入りのサーフェスにおいて、3大会連続で決勝行きを逃したことになる。2015年以降で最悪となるクレーコートシーズンを過ごしているナダルのスランプは、この連続3大会目の準決勝負けを加えて続くことになった。

 勝ち上がった世界9位のチチパスは決勝で、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対する。

 世界1位のジョコビッチはこの日の準決勝で、第5シードのドミニク・ティーム(オーストリア)を7-6(2) 7-6(4)で退けた。彼が決勝で勝てば、ナダルが持つATPマスターズ1000のタイトル「33」の最多記録に並ぶことになる。

「僕にとって最良の夜ではなかった」とナダルは試合を振り返った。

「何をしなければいけないかはわかっていた。でも、僕にはそれをやってのけることができなかったんだ。やりたかったことを行うための、いいフィーリングを覚えることができなかった。それだけだ。これ以上そのことについて説明する必要はない」

 今シーズンのナダルは、ここまで優勝に手が届かない状態にいる。彼はここ3シーズン連続で優勝してきたモンテカルロ、またバルセロナでも決勝に勝ち残ることができなかった。ナダルがひとつもタイトルを獲ることなしにマドリッドに至ったのは、2004年以来のことだった。

「僕は何年にも渡り、このサーフェスで多くのタイトルを獲得してきた。でも、今年はそうではなかった。本当に近くまで迫ったが、勝つことができなかった」とナダルはコメントした。

 この試合まで今大会でセットを落としていなかったナダルは、オーストラリアン・オープン準決勝を含めてチチパスとの過去3対戦のすべてでストレート勝ちをおさめていた。

 20歳のチチパスは4つ目のマッチポイントをものにし、『カハ・マジカ(マジック・ボックスの意)』のセンターコートで勝負に決着をつけた。

「冷静さを保ち、反撃することができたことを本当にうれしく思う。恐らくこれは、僕がここまでの人生で経験した中でもっともタフな勝利のひとつだった」とチチパスは試合後に語った。

「ショットにバラエティを加え、予想がつきにくくするということが今日の勝利のカギだった」

 出だしからアグレッシブにプレーしたチチパスは、ナダルのサービスゲームを6度もブレークした。彼は相手に許した16回のブレークチャンスのうち11本をセーブした。

「本当に、自分のファイティングスピリットに満足しているよ。コートに出て行ったとき、僕には精神的に戦う準備ができていた」

 今季4度目の決勝をプレーすることになるチチパスは、すでにマルセイユとエストリルで優勝しており、今季3つのタイトルを勝ち獲った最初の選手となるチャンスを擁している。また彼は現在マッチ27勝を挙げており、2019年にツアーでもっとも多くの勝利を記録した選手となっている。

「厳しい試合に向け、精神的に準備ができているようでなければならない」とチチパスは決勝を見据えた。彼は昨年のトロントで、ジョコビッチを倒したことがある。

「彼のテニスはかなりいい状態にあるようだから、容易ではないだろう」

 ティームに対する勝利で自信を得たジョコビッチは、オーストラリアン・オープンに続くタイトルに王手をかけた。

「ドミニクは現在、特にこのサーフェスで世界最高のテニスプレーヤーのひとりだ。だから僕にとって、これは非常に大きな勝利だった」とジョコビッチは手応えを口にした。

 準々決勝でロジャー・フェデラー(スイス)をフルセットの戦いの末に倒していたティームは、ジョコビッチに対するここ2試合に連続で勝っていた。

 マドリッドで3年連続となる決勝進出を目指していたティームは、2017年はナダルに、2018年にはアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)に敗れていたのだ。インディアンウェルズとバルセロナですでに優勝しているティームは、また今季3タイトルを獲った最初の選手なることを目指していた。

「バルセロナでの勝利、昨日のロジャーに対するプレーぶりを見て、彼のほうが有利だと僕は考えていた」と2011年と16年に優勝したことのあるジョコビッチは明かした。

「僕はいまだ、クレーコートでの自分のベストテニスを見つけようと努めているところだ。これらの試合は、まさに僕が必要としていたものだった。この勝利を、本当に心からうれしく思う」

 この試合でのティームは双方のセットでいいプレーをしたが、ジョコビッチは2つのタイブレークで打ち勝った。

「ノバクやラファのような選手を倒すには、自分に有利に働くようなちょっとした幸運も必要だと思うが、今日はそれがなかった」とティームは悔やんだ。

「いくつかのブレークポイントで僕は少しアンラッキーだった。その内のいくつかで、僕は通常やらないミスを犯してしまった」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はラファエル・ナダル(スペイン)
MADRID, SPAIN - MAY 11: Rafael Nadal of Spain walks off after his loss to Stefanos Tsitsipas of Greece in the semi finals during day eight of the Mutua Madrid Open at La Caja Magica on May 11, 2019 in Madrid, Spain. (Photo by Julian Finney/Getty Images)

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