フランス・パリで開催されている「フレンチ・オープン」(5月26日~6月9日/クレーコート)の女子シングルス1回戦。それはセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)にとって度を越したミスだった。

 確かにそのバックハンドのミスは、第2セットの出だしで彼女を15-30の劣勢に立たせただけだった。その打ち損ないを、それほど煩わしいものにしたのは何だったのか?

 その風の強い夕方、セレナは世界ランク83位のビタリア・ディアチェンコ(ロシア)に対して第1セットを落とし、おかしたアンフォーストエラーの数は「15」におよんでいた。彼女は頭を傾け、大声で叫んでいた。そしてサービスを打つためベースラインに行き、右足をどしんと地面につけると、舵を正した。

 すると彼女は続く13ポイントのうち11ポイント、13ゲームのうち12ゲームを取り、失望の第1セットから圧倒的な後半に移行。2-6 6-1 6-0というスコアでディアチェンコを倒したのである。

「あのときはただ、ひどくフラストレーションを感じていた。なぜって、ここまでとてもいい練習をしてきたからよ。ここ1週間半は本当によかった。それだけに、『これは私がいっしょに練習してきた――毎日見てきたセレナじゃない!』という感じだった」とセレナは試合後に語った。

「私はただあのとき叫んで、自分を取り戻した。だから、もしかするとあれが助けになったのかもしれない」

 彼女は『チャンピオン』『女王』『女神』『母』などの文字が書かれた黒と白のジャケットを着てコート上に現れた。

「それら(の言葉)は私にとって大きな意味があり、私と、それを着たい皆にとってのリマインダー(思い出させるための合図)なの」とセレナは説明した。

「ただ皆に、あなたたちもチャンピオン、女王であることができるのだと思い出させるためのね」

 記者が、それら4つの言葉は背負うのが重いものだと言うと、「ええそうね、でもセレナ・ウイリアムズであるということも同様なのよ」と彼女は答えた。

 セレナは1年前に、出産のため5つのグランドスラム大会をスキップしたあと、ロラン・ギャロス(フレンチ・オープン)に戻ってきた。しかし彼女は、胸の筋肉の故障のため4回戦を前に棄権し、それからウインブルドンとUSオープンの双方で準優勝した。彼女は左膝の故障、そして体調不全のため、これに先立つ2大会で出場を取り消していた。

 フォア、バックとも両手打ちで、昨年のウインブルドンでマリア・シャラポワ(ロシア)に対する番狂わせに成功していたディアチェンコに対し、第1セットのセレナは非常にまずいスタートを切った。

「コートでナーバスになってしまい、足を動かすのをやめてしまった。足にコンクリートの塊がついているみたいだったわ。私は自分に『何かしなければいけない!』と言い聞かせた」とセレナは振り返った。

「ただ調子がくるっていた。そして修正する代わりに、どんどん悪くなっていってしまったの」

 しかし、ひとたび切り替えると、彼女は主導権を取り戻した。

 第1セットで14本あったアンフォーストエラーを、セレナは第2セットで6本に、第3セットでは4本まで減らした。そしてウィナーの数は、第1セットの5本から、第2セットでは9本、第3セットでは11本まで増やした。

 ディアチェンコは試合の序盤には、「私のほうが上だった。私たちふたりの間で、私のほうがナンバーワンだった」と言った。しかし試合が進むにつれ、より強いセレナが浮上した。

「セレナに対しては常に100%ではなく、150%でプレーしなければいけないのよ」とディアチェンコは試合後に語った。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)
PARIS, FRANCE - MAY 27: Serena Williams of the United States during her first round victory over Vitalia Diatchenko of Russia on day 2 of the 2019 French Open at Roland Garros stadium on May 27, 2019 in Paris, France. (Photo by Jean Catuffe/Getty Images)

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