ジョコビッチがズベレフを退け準決勝へ、テニス史の偉業までもう一息 [フレンチ・オープン]

今年ふたつ目のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月26日~6月9日/クレーコート)の男子シングルス準々決勝。

 もちろんノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、プレーするすべての試合で勝ちたいと思っている。そして彼は、このフレンチ・オープン準々決勝の第1セットでブレークされたときのような、カギとなる瞬間をうまく切り抜けたいと思っている。そのとき彼は、今大会で初めてセットを落とす危機にさらされていた。

 しかしながらジョコビッチにとってもっとも大事なのは、より大きな展望だった。そんな訳で彼は、テニス界でロッド・レーバー(オーストラリア)だけがやってのけた偉業――2度に渡って4つのグランドスラム大会に連続で優勝すること――まであと2勝と迫ったことに興奮している。

「長くプレーすればするほど、あるいはキャリアで先に進めば進むほど、歴史に跡を残すことの意味は大きくなってくる。それは言うまでもなく、僕が持っている最大のモチベーションのひとつだ」

 第1シードのジョコビッチは木曜日、 第5シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を7-5 6-2 6-2で順序だてて崩していった試合のあとにこう言った。

 ジョコビッチは2015年から2016年にかけてすでに一度、4つのグランドスラム大会に連続で勝っている。そして昨年のフレンチ・オープンでの当時そう有名ではなかったマルコ・チェッキナート(イタリア)に対する準々決勝でのショッキングな敗戦のあと、ジョコビッチはウインブルドン、USオープン、オーストラリアン・オープンで優勝し、グランドスラム大会で26勝0敗という戦績を挙げている。

「テニスの歴史に名を刻むためには、グランドスラムで勝つこと、最大の舞台でベストのプレーをすること以上によい方法はない」とジョコビッチは語った。

「それらは、我々のスポーツで手にし得る最高峰の成果なんだ」

 水曜日の日程がすべて雨で翌日に延期されたため、ジョコビッチは1日の休みもなく、金曜日にドミニク・ティーム(オーストリア)に対する準決勝のためにコートに戻っていくことになる。

 前年の準優勝者で第4シードのティームはこの日の準々決勝で、第10シードのカレン・ハチャノフ(ロシア)を6-2 6-4 6-2で退けた。

「ポイントの主導権を握るということがカギだったと思う」とティームは振り返った。彼は試合を通して12本しかアンフォーストエラーを犯さず、これはハチャノフより25本も少なかった。

「今日の僕は、あまり多くのミスを犯していなかったと思う」

 もうひとつの準決勝では、フレンチ・オープン優勝歴11回のラファエル・ナダル(スペイン)がロジャー・フェデラー(スイス)とのライバル関係を再興させることになる。

 ロラン・ギャロスでトップ4シードが揃って準決勝に進出したのは、2011年以来のことだ。

 しかしながら、日曜日にジョコビッチがトロフィを掲げたとしても、レーバーは変わらず2度に渡って(1962年、69年)同じ1年の間に4つのグランドスラム大会を制した唯一の男であり続けることになる。

 それでもレーバーは、ジョコビッチが成し遂げようとしていることに畏敬の念を感じていた。

「ノバクのように能力と一貫性のある選手には、驚嘆するよ」とレーバーはコメントした。

「彼のプレーの仕方を見てみると、彼はエースやボレーをバンバン決めていくようなテニスはしていない。彼はほとんどすべてのポイントを、ベースラインから取っているんだよ」

 肉体的な負担が多大だったため、この日の試合でバックハンドをワイドに外してズベレフにブレークチャンスと次のサービスゲームをキープして第1セットを取るチャンスを与えてしまったあと、ジョコビッチの息が上がっているように見えた瞬間があった。

 しかしジョコビッチは、そこから第2の追い風を見つけた。彼はズベレフを前後への動きも絡め、角から角へと窓ふきのワイパーのように揺さぶって、直ちにブレークバックに成功。そこから5ゲームを連取して、第2セット3-0リードまで突き進んだのだった。

「僕は本当に、第1セットは僕の方に転んで然るべきだったと思った」とズベレフは悔しさをにじませた。

「彼がひとたびコントロールをその手に握ってしまうと、彼を倒すのは本当に難しくなる。彼が世界ナンバーワンであることには、それなりの理由があるんだよ」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はノバク・ジョコビッチ(セルビア)
撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU

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