新世界1位バーティの急上昇----それは単なる“始まり”となり得る

23歳のアシュリー・バーティ(オーストラリア)は、4月まで一度もWTAランキングのトップ10位内に入ったことはなかった。その彼女が月曜日から、ナンバーワンとなった。1月まで、グランドスラム大会で準々決勝まで勝ち進んだこともなかった。その彼女が今月から、フレンチ・オープン・チャンピオンとなった。そして来週から、彼女はウインブルドンの優勝候補となる。

「私にとって目まぐるしい数週間だったわ」とバーティは語り、「目まぐるしい年だった」とも言った。

 間違いなくそうだ。

 バーティが披露した技術とオールラウンドな能力、並びに、部分的にはテニス選手としての活動を休止してプロクリケット選手としてプレーしていた期間のおかげで彼女が精神的にも非常にしっかりしていることを鑑みれば、この急速な上昇は彼女にとって長い疾走の始まりにほかならない。

 彼女は6月8日に起きたフレンチ・オープンにおけるブレイクに続き、セットを落とさずに勝ち抜いたバーミンガムのタイトルを携え、1年前に3回戦で敗退したウインブルドンに12戦連続勝利の勢いに乗って向かっていく。

 バーミンガムでの勝利により、バーティはWTAランキングで現USオープンとオーストラリアン・オープンのチャンピオンである大坂なおみ(日清食品)を追い越し、トップに躍り出た。

「子供のときには、いつもそれ(世界一)を夢見るものだけど、それが現実になるというのは信じられないようなことだわ」とバーティは世界1位になることについてコメントしていた。それは、1973年にコンピューター・ランキングが導入されて以来、ほかに26人の女性のみがやってのけた偉業だ。

 2019年を世界15位で始めたバーティは、グランドスラム大会に出場した過去17回のケースで一度4回戦に進出したことがあるだけだった。バーティ本人が、今年の最初に立てた目標はトップ10入りだったと公言している。

 それなのに、彼女が今季ここまでにやってのけたことを見てみるといい。ツアー最多の36勝(41試合のうち)、ツアー最多の3タイトル(それぞれを違うサーフェスで獲得)、オーストラリアン・オープンで初のグランドスラム大会準々決勝進出で、それからフレンチ・オープンでの優勝。

 ツアーでの辛い営みから離れる必要があったために1年半テニスの活動を休止したあと、バーティがランキングも何もない状態でツアーに戻ってきたのは約3年前のことだ。

 彼女は18歳のときにテニスから離れ、短い期間、スポーツを変えてオーストラリアでクリケットをプレーしていた。彼女のテニスの能力自体は、一度も問題だったことはなかった。彼女は結局のところ、2011年ウインブルドン・ジュニア・チャンピオンだった選手であり、グランドスラム大会の女子ダブルスで5度決勝に進出しているのだ(準優勝4回、昨年のUSオープンで優勝1回)。

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