15歳のコリ・ガウフがセンターコートでふたつのマッチポイントを凌いで勝利 [ウインブルドン]

今年3大会目のグランドスラム「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦7月1~14日/グラスコート)の女子シングルス3回戦。

 今大会で注目の的となっているコリ・ガウフ(アメリカ)が、まだ15歳だということを忘れるのは簡単だ。

 彼女は金曜日、ウインブルドンで勝負を第3セットに持ち込む32ストロークのポイントをもぎ取り、「レッツゴー! カモン!」と声を上げて胸を叩きながらセンターコートの芝の上に立っていた。

 観客席では母親が立ち上がって拳を突き上げながら「イエス!」と叫び、何千という観客も大声を上げながら席から飛び上がった。

 そこに至る前に、ガウフはこの3回戦でポロナ・ヘルツォグ(スロベニア)に敗れるまであと1ポイントという窮地に、すでに2度も立たされていたのだ。

 年齢がいくつであれ、ほとんどの選手たちはこのような壮大な舞台で、このような著しい劣勢を克服する道を見つけることはできなかっただろうし、このようなストレスに対処して勝ち抜く方法を考え付くことはできなかっただろう。ガウフはかなり明らかに、“ほとんどの選手たち”ではなかった。

 この2週間、そしてさらなる未来に、彼女はどのくらい遠くまで行けるのだろうか? テニス界はこの答えを知るために彼女を見つめ、そして待っている。

 世界ランク313位のガウフと、彼女と対戦するもうひとりのノーシードプレーヤーであるヘルツォグの試合がセンターコートで行われたという事実は、この15歳がすでにどれほどのセンセーションを巻き起こしているかについて多くを語っている。

 彼女がこの試合に勝ったという事実、そしてそれをいかにしてやったのけたか――2つのマッチポイントを凌いでカムバックし、28歳のヘルツォグを3-6 7-6(7) 7-5で下した――は、ガウフが一体どのような選手になり得るのかについて、ある見識を提供してくれていた。

「たった今、私はただただ、(試合が)終わってこの上なくほっとしている」とガウフは試合後にコメントした。

「スコアがなんであれ、挽回することは可能だとずっと信じていたわ」

 先週のガウフは自分よりランキングの高い選手に対する3試合に勝ち、プロ化以降の時代で予選を通してウインブルドン本戦に至った最年少プのレーヤーとなった。

 それから1回戦でウインブルドンで5度優勝した経歴を持つ39歳のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)を倒す番狂わせを演じ、ジェニファー・カプリアティ(アメリカ)が15歳で準決勝に至った1991年以降にウインブルドン本戦で勝利を挙げた最年少プレーヤーとなった。

 それに、2017年ウインブルドンで4強入りした30歳のマグダレナ・リバリコバ(スロバキア)に対する勝利が続いた。

 ガウフは次の4回戦で、2018年フレンチ・オープン優勝者で元世界1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)と対戦する。ハレプはこの日、グランドスラム大会優勝歴2回のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)を6-3 6-1で下した。

 この日行われたそのほかの試合では、第3シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)、第8シードのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)対第24シードのペトラ・マルティッチ(クロアチア)、デヤナ・イエストレムスカ(ウクライナ)、ジャン・シューアイ(中国)、カロリーナ・ムチョバ(チェコ)が月曜日に行われる4回戦に勝ち進んだ。

 ジャンは3回戦で、元世界1位で第14シードのカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)を6-4 6-2で退けた。

 誰が勝つのか予想のつかない混戦の様子を呈している女子シングルスだが、彼女は間違いなく来たる数年のうちに遠くまで突き進める選手であるように見えている。

 彼女は金曜日に最高で時速190kmを記録したビッグサーブの持ち主で(今週に彼女より速いサービスを記録したのはセレナ・ウイリアムズとヘルツォグだけだ)、フォアバック双方からよいグラウンドストロークを打ち、さらにタッチのよさと狡猾さも備えている。そして彼女は何より、嵐の中ですら落ち着きを保つ能力を擁している。

 ヘルツォグが、試合後に完璧に表現したように…。

「彼女は恐らく頭の中で、数字が見せるよりも年齢が高いのよ」

 この日の結果で世界60位のヘルツォグは、グランドスラム3回戦での戦績を0勝4敗とした。ヘルツォグは7ゲームを連取して第1セットをつかみ――それは予選本戦を通してガウフが落とした最初のセットだった――第2セットでも5-2とリードしていた。

 ガウフのサービスゲームで30-40となり、ヘルツォグは勝利まであと1ポイントと迫った。しかし、ガウフはそこで魔法のようにライン上に落ちたバックハンドスライスのウィナーを生み出したのである。

「あのスライスのダウン・ザ・ラインが入ってよかったわ」とガウフは試合を振り返った。

 そこでガウフのアグレッシブなプレースタイルが功を奏したあと、非常に注意深くプレーしながら次々にミスを犯して殻にこもってしまったのはヘルツォグの方だった。

 第2セット5-3からキープすれば勝利となる自分のサービスゲームを迎えたヘルツォグは、ついにマッチポイントを手にしたときに大きなミスをした。その場面でヘルツォグは、ダブルフォールトを犯してしまったのだ。

 結局、第2セットはタイブレークへとなだれ込んだ。これはガウフにとって、ツアーレベルの大会では初めてのタイブレークだった。

 これらすべてが彼女にとっていかに新しいことかをまたも思い出させられる話しだが、そこからの彼女のプレーはまた、彼女がどれほどそれらすべてに対処し得る能力を持っているかを思い出させるものでもあった。

「1年中、彼女が落ち着きを保てるよう訓練しているんですよ」とガウフの父コリーは、週の出だしに話していた。

「それができるようになったら、本当にテニスを向上させていくことができる。なぜって、落ち着きを保てているときにはそう感情的になっていないから、(的確に)問題を解決するための方法を割り出すことができるんです」

(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真はコリ・ガウフ(アメリカ)
LONDON, ENGLAND - JULY 05: Cori Gauff of The United States celebrates match point in her Ladies' Singles third round match against Polona Hercog of Slovenia during Day five of The Championships - Wimbledon 2019 at All England Lawn Tennis and Croquet Club on July 05, 2019 in London, England. (Photo by Shaun Botterill/Getty Images)

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