藤原智也が三井駿介を倒して初優勝、インターハイとの2冠を達成 [2019全日本ジュニア]
日本テニス協会(JTA)などが主催する「DUNLOP SRIXON 全日本ジュニアテニス選手権 '19 supported by NISSHINBO」(大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター、江坂テニスセンター/8月8~17日/ハードコート)は最終日となる8月18日はU18の男女シングルス決勝が行われ、男子は第3シードの藤原智也(東山高)が第2シードの三井駿介(アクトスポーツクラブ)を6-3 6-4で破り、インターハイとの2冠を達成した。
◇ ◇ ◇
歓喜というより安堵の優勝だった。
スコアからはさほど苦しんだ印象は受けないが、要した時間は2時間3分。デュースの多さ、ラリーの長さがこのゲーム数で1セットに1時間以上もかかった原因だ。
最後になると藤原の右手の指はケイレンし、もう限界だった。顔を歪めて何度も手首を振ったり手のひらを揉んだりしている。これ以上試合が長引けばどうなるかわからない状態で迎えた40-0でのマッチポイント。三井のフォアハンドはベースラインに乗ったかにも見えたが、主審のオーバールールでゲームセットとなった。
特に苦しんだのは第2セットだ。三井の守備力は驚異的で決まるはずのショットが決まらず、終わるはずのラリーが終わらない。ワンブレークを生かして第1セットをものにした藤原が第2セットも第3ゲームをブレークしたが、第6ゲームをブレークバックされて流れが変わる。三井は続けてキープし、第8ゲームの藤原のサービスゲームは0-30。疲労で足も動かなくなっていた。
「このセットは捨てて、(ヒートルールによる)10分間の休憩で立て直してマッチタイブレークにかけようと思った」と藤原。そんな矢先、三井の凡ミスがにわかに目立ち始めた。
これで息を吹き返すと、4ポイント連取でこのゲームをキープしてピンチをしのぐ。続く第9ゲームは三井の40-0からデュースに追いつき、4度のデュースの末に値千金のブレークに成功。最後はラブゲームで締めくくった。
U18の準優勝者は翌年優勝する------。それは、過去3年続いていた不思議なドラマだった。偶然といってしまえばそれまでのことを、昨年準優勝の藤原は自分に課された責任のように感じ続けてプレッシャーの中で本当に優勝を遂げた。
終盤の苦しい局面を乗り越えることができたのは、自負する「気持ちの成長」だろう。あんなに“ジンクス”を気にしていたはずなのに、最後の夏を迎えたときには、「楽しんで試合ができたらいい」と自然と思えるようになっていた。
下の年齢で決勝に勝ち上がってきた三井は三井で、過去3年間の敗者の連鎖を意識していた。
「自分が破ってやろうと思ってたんですけど、力が足りませんでした」
その三井もまた、藤原と同じ重圧を抱えながら来年のこの大会を迎えるのだろうか。そうである必要はないし、極端な話、出なくたっていい。しかし、「これで来年出なかったら『逃げるな』ってコーチからも言われるでしょうね」と苦笑いした。
心くすぐるストーリーを紡いでくれた両者を称えたい。そして、さらにエキサイティングな未来の物語に期待する。
(ライター◎山口奈緒美)
※写真はインターハイとのジュニア2冠を達成した藤原智也(関西/東山高)
撮影◎牛島寿人 / HISATO USHIJIMA
Pick up
-
2024-02-20
最先端のテニスコーナーにテニマガ編集部が潜入!
オーストラリアン・オープンのオフィシャルストリンガーブース
-
2023-10-30
「テニス丸ごと一冊 戦略と戦術」シリーズの第4巻、テーマは「あなたは必ずゲームがうまくなる! [ドリル編]」(堀内昌一著)
「テニス丸ごと一冊 戦略と戦術」シリーズの第4巻、テーマは「
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)2月5日発売
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2024-03-26
【ITテニスリーグ】アーシャルデザインが史上初、3連覇の快挙!
ITスポーツ連盟が主催する「第26回ITテニスリーグ」が3月
-
2023-06-13
『ライバルに差をつけろ!自主練習シリーズ テニス』(宮尾英俊著)好評発売中!
『ライバルに差をつけろ!自主練習シリーズ』のバレーボール、バ
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
2024-02-20
最先端のテニスコーナーにテニマガ編集部が潜入!
オーストラリアン・オープンのオフィシャルストリンガーブース
-
2023-10-30
「テニス丸ごと一冊 戦略と戦術」シリーズの第4巻、テーマは「あなたは必ずゲームがうまくなる! [ドリル編]」(堀内昌一著)
「テニス丸ごと一冊 戦略と戦術」シリーズの第4巻、テーマは「
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)2月5日発売
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2024-03-26
【ITテニスリーグ】アーシャルデザインが史上初、3連覇の快挙!
ITスポーツ連盟が主催する「第26回ITテニスリーグ」が3月
-
2023-06-13
『ライバルに差をつけろ!自主練習シリーズ テニス』(宮尾英俊著)好評発売中!
『ライバルに差をつけろ!自主練習シリーズ』のバレーボール、バ
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Ranking of articles
-
2024-04-12
大坂なおみが相手エースのプティンセバを倒して日本が初のファイナルズ進出に王手 [ビリージーンキングカップ日本対カザフスタン]
-
2024-04-13
青山修子/柴原瑛菜が代表戦9試合目で初黒星、日本は3勝1敗でカザフスタンに勝利 [ビリージーンキングカップ日本対カザフスタン]
-
2024-04-12
大会4日目が終了、男女のファイナリストが出揃う [MUFGジュニア2024]
-
2024-04-11
大会3日目が終了、男子のベスト4が出揃う [MUFGジュニア2024]
-
2024-04-14
18歳の石井さやかがITFツアー初優勝、プロ転向後の初タイトルを獲得 [W35富士薬品セイムス ウィメンズカップ]