高校選抜チャンピオンの山口瑞希が全日本ジュニアも初制覇、接戦で木本海夢夏を下す [2019全日本ジュニア]

日本テニス協会(JTA)などが主催する「DUNLOP SRIXON 全日本ジュニアテニス選手権 '19 supported by NISSHINBO」(大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター、江坂テニスセンター/8月8~17日/ハードコート)は最終日となる8月18日はU18の男女シングルス決勝が行わた。

 接戦の末、女子の頂点に立ったのは春の高校選抜個人戦を制した第12シードの山口瑞希(城南学園)だった。第1シードの木本海夢夏(トップランAIOI)を7-6(4) 4-6 [10-4]で退けた。

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 あきらめないテニス。選抜で優勝、インターハイ4強と、今年躍進した山口がその持ち味を存分に示した。

 インターハイ・チャンピオンの照井妃奈(札幌啓成)を準決勝で破ってきた木本との決勝戦は、意外なブレーク合戦となった。

 山口は第1セットで3-5とリードを奪われたが、木本のサービング・フォー・ザ・セットでブレークバック。「無我夢中だったのであんまり記憶にないんですけど、あきらめなかったのがよかったと思います」と振り返った。

2019年全日本ジュニア地区大会|PHOTOアルバム

 第10ゲームのサービスゲームでは2度セットポイントも握られたが、これらをしのいでタイブレークに突入。ピンチになると粘りが増す。パワーがあるタイプではないが、相手の動きをよく見たコース選択は間違いが少なく、チャンスボールは逃さない。タイブレークでも後半でリードを広げ、7-4でものにした。

 第2セットも2-5から4-5まで追い上げたが、ここは逆転ならず。ヒートルールにより10分間の休憩をはさんで、最終セットの代わりに採用されている10ポイントのマッチタイブレークで決着がつくことになった。山口は4-2から4ポイントを連取。勝利を一気にたぐり寄せ、流れを奪われることなく2時間10分の接戦を制した。

 敗れた木本は、ここまで勝ち上がる中でタイブレークに2度勝っている。しかし今日はうまくいかなかった。

「私はタイブレークになると最初にリードして気持ちを楽にしたいんですけど、それをさせてもらえなかった」

 そんな木本は山口にとって1歳下になるが、年上のプレッシャーはなかったという。同様に、ほとんど無名の状態で手にした春の選抜でのチャンピオンという肩書きに関しても、超感激したという感じでも重荷になったという雰囲気でもない。

「あまり気にしないようにしてきました」

 それができる力の抜け具合が、今日2つのタイブレークをものにした勝負強さの秘密なのかもしれない。

 昨年から山口をコーチする小城千菜美は、11年前に同じU18で優勝した元トップジュニアだ。

「もともと粘り強かったんですが、ショットの選択や攻め方という点では単調なところがありました。その辺りは、自分のテニスプレーヤーとしての経験からアドバイスをしてきたつもりです」

 11年ぶりに優勝カップを触らせてというお願いを叶えてくれた優秀な教え子は、約1週間後に選抜優勝の特典としてジュニア予選のワイルドカード(主催者推薦枠)をもらったUSオープンに向けて出発する。

 今日まで全日本で頭がいっぱいだったというが、実はこれが初めての海外という一大事。夢のような初体験の連続が待っていることだろう。

(ライター◎山口奈緒美)

※写真は18歳以下女子シングルスで優勝を果たした山口瑞希(関西/城南学園)
撮影◎牛島寿人 / HISATO USHIJIMA

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