涙を流す15歳ガウフを大坂が慰める----ガウフは感謝 [USオープン]
アメリカ・ニューヨークで行われている「USオープン」(8月26日~9月8日/ハードコート)の女子シングルス3回戦。大坂なおみ(日清食品)はコリ・ガウフ(アメリカ)の進撃を終わらせたあとネットの向こうを見やって、15歳のガウフの目に涙があふれているのを見た。
3-6 0-6で敗れたばかりの少女の中に、大坂は自分の姿をも垣間見たのだろう。それゆえ、自身まだ21歳である前年度覇者で第1シードの大坂は、ガウフを抱擁と慰めの言葉で元気づけようとした。それから彼女は、ずっとガウフを応援していたアーサー・アッシュ・スタジアムの約2万3000人の観客に、挨拶するよう励ました。負けるのがどんなに辛いか知っている大坂は、彼女に「これらの人たちに、あなたがどう感じているか知ってもらう必要があるわ」と声をかけた。
そんな訳で、ガウフはその通りにした。試合の敗者がコートから観客に声をかけるのは稀なことである。ガウフは大坂の行為に感謝していた。
「彼女は真のアスリートであることを示して見せた。私にとってアスリートの定義は、コート上で対戦相手を価値のある存在として扱い、コート外では最良の友であれる者ということなの」とガウフはのちの記者会見の際にコメントした。
「彼女が今夜やったのは、まさにそれだと思うわ」
このように言葉を紡げるオフコートの成熟と、通常その年齢の者が持つものを超えた賢いプレーが、ガウフがすでにこうも多くの注目を集める助けとなっていた。彼女は1996年以降のフラッシングメドウで2試合に勝ったもっとも若い選手であり、それは彼女が7月のウインブルドンで見せた4回戦への“魅惑の進撃”の続編だった。
照明の下でのこの大いに注目されたナイトセッションで、ガウフは頻繁に彼女たるものであるように見えた――つまり、いまだテニスのトップレベルに至る方法を学び続けている膨大な才能を持つ選手であるように。
「まだまだ多くのやるべき仕事があることは、はっきりわかっている」とガウフの父コリーは言った。「彼女はこの試合に勝ちたいと思っていた。“どのくらいうまくできるか見てみましょう”などという姿勢ではなかった」とも言った。
ガウフは時速191km強のサービスを打ち込んだが、同時に7本のダブルフォールトをおかした。第1セットのガウフはスロースタートを克服して3-4と大坂に迫ったが、また最後の8ゲームを落としもした。
忘れてはいけない----。USオープンは彼女にとって、まだ2度目のグランドスラム大会に過ぎないのである。彼女はウインブルドン開始時には世界ランク313位で、今は140位だ。
大坂の年齢(21歳)とすでに成し遂げたことによるアドバンテージは、この試合の中である役割を演じた。彼女は今年1月のオーストラリアン・オープンを含め、これまでに2度グランドスラム大会で優勝している。また彼女の正確さをともなうパワーも違いを生んだ。大坂のウィナー24本に対し、ガウフのそれが8本という数字もそのことを示している。
「オーストラリア以降でもっとも集中できた試合だった」と大坂は自己評価した。彼女はオーストラリアン・オープン以降、非常にアップダウンの激しいシーズンを送っていた。また彼女は最近問題となった左膝にサポーターをつけている。
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