忘れがたきタイブレーク(1) 史上最高の試合「ナダル対フェデラー」|2008年ウインブルドン決勝
今月号からタイブレークが絡んだ歴史に残る名勝負を紹介していこう。最初のストーリーは、2008年ウインブルドン決勝「ナダル対フェデラー」。どちらを応援していたとしても、1ポイントごとに苦しみとエクスタシーをもたらした忘れがたきタイブレークがそこにある。【テニスマガジン2018年12月号掲載記事】
文◎ポール・ファイン 翻訳◎編集部 写真◎Getty Images
タイブレークにまつわる名勝負| STORY 1
史上もっとも
忘れがたきタイブレーク
史上最高の試合
前年決勝でタイブレークを2つ落とした〜そこからナダルの物語は始まる
ラファエル・ナダルは2011年に出版した自伝“RAFA”の中で、「人生においてスポーツで勝利することほどの喜びを味わえるものはほかにない。それがどんなスポーツであろうと、どんなレベルであろうと」と記している。「同じくらい激しい、あるいはうれしい感情もほかにない。そして勝利を切望すればするほど、成功したときの喜びも大きい」と続けている。
2007年ウインブルドン決勝は、ナダルのキャリアの中でもっとも壊滅的な敗北だったが、それがもっとも重大な勝利へのモティベーションになった。ライバルのロジャー・フェデラーに6-7(7) 6-4 6-7(3) 6-2 2-6で敗れた直後、ナダルはシャワー室の床に30分間座り込み、涙を流して自分を責め続けた。「こんな気持ちは二度と味わいたくない」と固く誓った。
強靭なメンタルを持つことで知られるナダルは、第5セットの序盤に4つのブレークポイントを無駄にしたとき、集中力を失い、自分のゲームプランを変えなければならなかった。長く夢見ていたウインブルドン優勝は打ち砕かれ、世界2位のナダルはその敗戦から学ぶことを決心した。そして翌年に借りを返した。
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