日本テニス協会(JTA)が主催する「三菱全日本テニス選手権 94th」(賞金総額2874万円/本戦10月26日~11月3日/東京都江東区・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/ハードコート)の本戦8日目、女子シングルス決勝は第5シードの本玉真唯(島津製作所)と第16シードの秋田史帆(橋本総業ホールディングス)で争われ、本玉が4-6 6-1 6-1で優勝を手にした。

 20歳の本玉、29歳の秋田、初優勝をかけたふたりの戦いは、試合開始から6ポイント連続で本玉が奪った。全日本の決勝、その立ち上がりには独特の雰囲気がある。それを肌で知る秋田の緊張が伝わってくるようなスタートだった。

 だが、第1セットを6-4で奪ったのは秋田だった。出だし好調の本玉は「そのペースのままいきすぎて無理をしてしまった」とミスを重ね、逆転を許してしまった。秋田がベテランらしいプレーで追いつき、追い越した。

画像: 「もっと足を動かさないといけない場面が多かった」と秋田

「もっと足を動かさないといけない場面が多かった」と秋田

 それでも本玉は慌てなかった。第1セットの反省を頭に入れ、第2セットからは「同じコースに打ちつつ、相手のミスを探った」と言う。ていねいな配球で強打を控え、我慢のテニスで流れを変えていった。

 第2セットは6-1で本玉。秋田は一度もサービスゲームを守れず、リズムに乗れなかった。ポイントは奪ってもゲームが取れない。最終セットも流れは変わらず、9度のデュースが続いた第3ゲームを奪った本玉が、その勢いのまま、6-1で歓喜の瞬間を迎えた。

「ぜんぜん実感がなくて…第2セット、第3セットは同じような感じでした。最後の第3ゲームがカギというか、落としたら(秋田が)カムバックしてくると思って」と本玉が試合を振り返った。

画像: 決勝は1時間55分の熱戦だった

決勝は1時間55分の熱戦だった

 兄2人の影響でテニスを始め、全国小学生、全国中学生のタイトルを手にし、世界スーパージュニアも制した。17年全豪ジュニアでは8強進出。昨年5月にプロ転向を果たしたが、ジュニア時代とは違い、プロではなかなか勝てずにいた。本玉にとって大きな大きなタイトル獲得となった。

 25年前のチャンピオンでもある神尾米コーチが言う。「今年はあと少しというところで落とす試合が多かったけれど、今回は本当によく頑張った。必死に食らいついていくプレーがよかった」。その神尾コーチと抱き合ったときは、さすがに涙がこぼれた。

 優勝賞金は400万円。自分へのご褒美に何か買う予定はあるかと聞けば、「大好きなパンケーキをたくさん食べたい」と笑った。ただ、これで満足しているわけにはいかない。「目標はグランドスラム出場」と力強く語った。

 秋田は2年前に続いて準優勝に終わった。「今週で一番よくないテニスだった。一昨年の負けよりも悔しい」と話し、「20%の出来。準優勝の悔しさよりも、自分のプレーがやりきれなかった悔しさが強い」と肩を落とした。

 テニスができる喜びを感じながら、気迫あふれるプレーで戦ったが、第2セット以降はもったいないミスが目立った。それでも「収穫もあったし、練習環境も含め、充実した一週間でした」と前を向いた。3度目の正直を信じ、まだまだ戦い抜く覚悟だ。

※トップ写真は、優勝を決めた本玉真唯(島津製作所)

取材◎牧野 正 写真◎菅原 淳


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