大坂なおみがUSオープンで日本選手初のグランドスラム制覇を達成。2018年9月13日の早朝便でニューヨークから帰国、横浜市内のホテルで9時30分から記者会見を行った。会見には61社、157名の報道陣が詰めかけ、大坂は少し緊張した面持ちでいたが、それでも、一つひとつの質問にていねいに答えた。(質問、回答は要約、省略あり)【2018年11月号掲載記事】

構成◎編集部 写真◎大賀章好

会見後のフォトセッション。10月16日の誕生日で21歳となる

「ハッピーなトーナメントだった。 十分なことを成し遂げられたと思う」

――USオープン優勝は夢のようで実感がない、と言っていましたが、帰国して心境の変化は?

「こうしてたくさんの方々が記者会見に駆け付けてくれているので、少しそういう気持ち(実感がわいてきた)になってきている感じがします」

――日本のファンの声は届いていましたか。帰国して日本のファンへメッセージをお願いします。

「私の試合にたくさんの日本人の方々が応援に来てくれ、日本の方々が注目してくれているのも聞きました。今日、空港に着いたときにも多くの方が出迎えてくれて、少し驚いたけれど、みんなの声援を受けていると実感しました」

――「試合中によくネガティブになると言っていましたが、それをどうやってポジティブに変えたのでしょうか?

「自分はできるだけポジティブになることでポイントが取れると信じているし、今回はそれができたのだと思います」

――今朝4時半に着き、まだ5時間しか経っていませんが、調子は?

「眠い。けど、とても幸せ」

――2019年までにトップ10に入り、グランドスラムで優勝したいと言っていましたが、2018年で達成しました。次の目標、ゴール、世界ランク1位などについては?

「直近の目標は(ツアー最終戦の)シンガポールに出場することです。そのためにツアーで結果を出さないといけません。年末ランクで5位以内を目指したいけど、あまりプレッシャーをかけないようにしたい」

――優勝して誰の言葉が一番うれしかったですか?

「優勝したあとに、たくさんのメールをもらいました。一番は(錦織)圭ですね。常にずっと私を応援してくれていたので」

――日本は大坂なおみブームで、東レPPOテニスのチケットも完売だそうです。この現状をどう受け止めていますか?

「たくさんの応援に感謝しています。(東レでも)いいプレーができればと思っています。いい波に乗っているなと思います」

――日本でやってみたいことはありますか?

「原宿に行きたいし、東京ドームの隣りにあるジェットコースターにも乗りたい」

――決勝は少し残念な内容だったと思いますが、優勝したあとも楽しめなかったのでは?

「それほど残念、悲しいとは思っていません。初めてのグランドスラム決勝進出で、初めての優勝。何を期待していいかわからなかったし、終わってみれば、全体的にはハッピーなトーナメントだった。十分なことを成し遂げられたし、いろいろな経験を私にもたらしてくれた」

――日本に戻って会いたい人は?

「姉です。ウインブルドンくらいから会っていないので、会って少しでも楽しい時間を過ごしたいです」

――東京五輪への想い、目標を聞かせてください。

「どのアスリートも夢に思っていること。私もとても楽しみですし、もしプレーできるのであれば、当然狙うは金メダルで、それを目標にして頑張りたいです」

会見の答えは、ほぼ英語。時折、飛び出す日本語が大坂の魅力を引き出していた

――日本語で日本のファンにメッセージをお願いします。

「いつもありがとうございます」

――子供たちにもメッセージをお願いします。

「楽しくテニスを続けてもらいたい。戦いですけどゲーム。できるだけ自分のベストを尽くして頑張ってほしいですね。私は目標にしないでください。責任がとれないので」

――先ほどの錦織選手からのメッセージは、どのようにやりとりしたのでしょうか?

「おめでとうと送ってくれたので、ありがとうと返しました。圭はローマ字で送ってくるので、わからないときがあるのですが、私はひらがなで返しました」

――アメリカで生活する中で、どのように日本語を学んでいますか?

「ドラマをたくさん見たり、音楽を聴いたり、YouTubeを見たり」

快挙から4日後の凱旋帰国。会見は各局が朝のワイドショーで生中継を行った

――ご自身のアイデンティティーについて。

「あまり深く考えることはなく、私は私でしかないと思っています。私が育てられてきた通りです。自分のテニスについては、あまり日本のスタイルらしくないと思っています」

会見後はブランドアンバサダーとして3年契約を結んだ日産自動車へ。左は専務執行役員の星野朝子氏

――この優勝で、さらに日本のテニス熱が高まると思いますか?

「(年頭の)オーストラリアでいいプレーができて、続く大会でも結果を残せたことで、私もそんなことを考えていました。この全米で圭とともにベスト4に残り、それは日本で初めてのことだと聞きました。子供たちによい影響を与えていればなと思います。圭は男子選手の中でも素晴らしい存在、ロールモデルになっているので、私は女子でそのような存在になれたらないいなと思っています」

※ともに2018年9月10日付。Race to Singaporeの上位8名がツアー最終戦(シンガポール)に出場できる

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