片手打ちバックハンドは絶滅危機か!?_元世界4位、ジーン・メイヤーのバックハンド・レッスン第2弾

フェデラー、ワウリンカ、その後のディミトロフ、ティームなど、片手打ちバックハンドのトレンドは今後も続くものなのか、あるいは恐竜のように絶滅してしまうのかはわからない。だが、ファンがスタイリッシュな片手打ちバックハンドの台頭を楽しんでいるのは確かだ。何人かの元選手やトップコーチは「次にグランドスラムを獲得する片手打ちバックハンドの使い手」について、明るい未来を予想している。この特集では、片手打ちバックハンド、両手打ちバックハンドのメリットや、片手打ちの未来がどうなるかについて、元世界4位のジーン・メイヤー(アメリカ)に話を聞いた。インタビュー第2弾。取材・文◎ポール・ファイン【2017年8月号掲載記事】

メイヤーが考える片手打ちバックハンドのナンバーワンは写真のワウリンカ。「凄まじいパワーをコントロールしている。高く弾むスピンと深くえぐるようなスライスのバリエーション」を評価している

取材・文◎ポール・ファイン 写真◎小山真司、菅原淳、Getty Images 構成◎編集部

Paul Fein◎インタビュー記事や技術解説記事でおなじみの、テニスを取材して30年以上になるアメリカ在住のジャーナリスト。多くのトップコーチ、プレーヤーを取材し、数々の賞を獲得。執筆作品はamazon.comやBN.comで何度も1位となっている。テニスをこよなく愛し、コーチとしても上級レベルにある。

ジーン・メイヤーはこういう人

Gene Mayer◎1956年4月11日生まれの61歳。アメリカ・ニューヨーク出身。スタンフォード大学卒。右利きの両サイド両手打ちのプレースタイルでツアー通算14勝を挙げた。ATP最高4位(1980年10月6日付)

テーマ6
片手打ちバックハンドとサーブ&ボレーの関係

かつては片手打ちバックハンドで強烈なパスを打てる選手がいなかった。だから
サーブ&ボレーが効果的だった

Q 片手打ちバックハンドを打つ選手の減少と、サーブ&ボレーヤーが絶滅に近い状態にある事実との間には、何か関係があるのでしょうか?

A 1975年に私がツアーに参加するようになったときは、ほとんどの選手が片手打ちバックハンドだったんだ。これらのバックハンドは主にスライスで、リターンのときのチップリターン(いわゆるブロックリターン、弾き返すリターン)との組み合わせになっていたよ。

 また、この頃はサーブ&ボレーが主流で、バックハンドでボレーヤーの横を抜く(パスを打つ)ことができる選手がほとんどいなかったため、サーブ&ボレーが勝利への近道だった。

 ところが、ジミー・コナーズ(アメリカ)とビヨン・ボルグ(スウェーデン)が登場して、サーブ&ボレーヤーたちを脅かすようになった。彼らは両手打ちバックハンドで力強いパスが打てた。それから、ラケットの進化、スピンのかかりやすいストリング、スピードの遅いコートやボールの登場もあって、サーブ&ボレーヤーはほぼ絶滅していくことになった。

片手打ちバックハンドのワウリンカが、ネットについたマレーに対してパスを打つシーン

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