ナダルはグループ・ステージ敗退も、自信を胸にマドリッドへ [Nitto ATPファイナルズ]

男子トップ8によるエリート大会「Nitto ATPファイナルズ」(イギリス・ロンドン/11月10~17日/賞金総額900万ドル/室内ハードコート)の大会6日目はグループ・アンドレ・アガシのラウンドロビン(総当たり戦)第3戦が行われ、第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)と第7シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)が勝ち星を挙げた。

 この結果でナダルはグループ・ステージを2勝1敗で終えたが、それでは勝ち上がりに十分ではなかった。ラウンドロビン最後の試合で前年度覇者のズベレフが第4シードのダニール・メドベデフ(ロシア)を6-4 7-6(4)で破り、大会のルールに基づいてナダルを上回ったのである。

 もしズベレフが敗れていればナダルは準決勝で第3シードのロジャー・フェデラー(スイス)と対戦し、そこで長年のライバル関係を更新することになるはずだった。

 シーズン最後のこの大会でまたも優勝することができなかったにもかかわらず、ナダルは大きなトロフィーを手にこの大会をあとにすることになった。

 今大会の結果でナダルはノバク・ジョコビッチ(セルビア)を振り切って年末世界ランク1位を確保し、それなりの成功をおさめた一週間を振り返ることができた。

 年末世界1位を祝うため、ナダルはラウンドロビン最後の試合で第6シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)を6-7(4) 6-4 7-5で倒したあとにO2アリーナのコート上でATPからトロフィーを授けられた。それは敗退にも関わらず、彼が満足感とともにロンドンから去ることを可能にする成果だった。

「このトロフィーの獲得は期待していなかったことであり、それだけにすごく感動している」とナダルはコメントした。「正直言って、故障という意味で僕がキャリアの中で通り抜けてきた数々の困難のあと、33歳過ぎでこの手に年末ランキング1位のトロフィーを手にすることになろうとは思っていなかった」。

 ナダルが世界1位でシーズンを終えるのは、これが5度目となる。これはジョコビッチ、フェデラー、ジミー・コナーズ(アメリカ)とタイとなる記録だ。最多記録保持者は、6度のピート・サンプラス(アメリカ)となっている。

 ジョコビッチはこの大会に優勝することでナダルを追い抜く可能性を手にしていたが、フェデラーに敗れてグループ・ステージ敗退が決まった瞬間にその希望は絶たれた。

 33歳でこの栄誉を受けたナダルは、世界1位でシーズンを終えた最年長男子プレーヤーだ。そしていっそう特筆に値するのは、これが彼が最初に年末世界1位に輝いた2008年から数えて11年後に実現したことだろう。このギャップもまた、新記録となる。

「最初の栄誉から11年という年月を経て、今またこのトロフィーを受け取ったというのは大きなことだ」とナダルは語った。「誰かがこれ以前にそれをやったかどうかは知らないが、難しいことであるのは確かだ。なぜって、最初の年末世界1位から5度目までに11年というのは大きな数字だよ」。

 今シーズンのナダルはフレンチ・オープンとUSオープンでタイトルを獲得し、グランドスラム優勝総数を「19」に伸ばした。しかしATPファイナルズでの彼は、15年連続で出場権を得てきたにも関わらず一度も優勝したことがない。彼は故障のために6度に渡って棄権を強いられており、決勝に至ったのも2度しかないのだ。彼が最後に決勝の舞台に立ったのは、2013年のことだった。

 それでもナダルは腹筋の故障でパリ・マスターズを棄権して満足に練習もせずにこの大会を迎えたあと、この週を通して自分の調子を向上させたことを非常にうれしく思っているという。

 月曜日の初戦でズベレフに敗れたとき、彼はベストの調子から程遠いように見えた。しかしメドベデフに対する第2戦で彼は第3セット1-5でマッチポイントを握られながらもそれを凌いで不可能に見えた挽回劇を演じ、金曜日にも1セットダウンを覆してチチパスを退けた。

 USオープン優勝以降、ナダルは一度も大会を完了させることができずにATPファイナルズを迎えていた。しかしロンドンでの迅速な調子の向上は、来週に彼の母国スペインのマドリッドで開催されるデビスカップに向けて彼の自信を膨らませることになった。

「僕は3時間近くかかった2試合を戦ったが、それはある意味で助けとなる。この手の試合で踏ん張り切ることができるようになることが、僕に必要なものだったんだ。この大会前の僕の準備は理想的なものではなかったからね」とナダルは大会を振り返った。

「僕は日に日にプレーの調子を上げているというポジティブな自信を胸に、マドリッドに行く。僕にとってそれは、準決勝に進出するか否かということよりも重要なことだったんだ」

(APライター◎マティアス・カレン/構成◎テニスマガジン)

※写真はラファエル・ナダル(スペイン/右)とステファノス・チチパス(ギリシャ/左)
LONDON, ENGLAND - NOVEMBER 15: Rafael Nadal of Spain and Stefanos Tsitsipas of Greece embrace at the net after their singles match during Day Six of the Nitto ATP World Tour Finals at The O2 Arena on November 15, 2019 in London, England. (Photo by Linnea Rheborg/Getty Images)

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