山崎郁美が神鳥舞に逆転で勝利し、初の全日本タイトルを獲得 [第40回全日本ジュニア選抜室内]

今年最後の国内ジュニア全国大会「JOCジュニアオリンピックカップ 第40回全日本ジュニア選抜室内テニス選手権大会」(12月12~15日/兵庫県三木市・ブルボンビーンズドーム/室内ハードコート)の最終日は、順位別トーナメントの決勝と3位決定戦が行われた。
 
 女子1位トーナメントの決勝ではC組1位の山崎郁美(秀明八千代高)がA組1位の神鳥舞(桜田倶楽部)を0-6 6-4 6-2の逆転で破って優勝。3位決定戦ではB組1位の木本海夢夏(トップランAIOI)がD組1位の吉本菜月(岡山学芸館高)を2-6 7-6(4) 6-3で破った。

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 インターハイ・ベスト8、全日本ジュニア・ベスト8------ビッグトーナメントの終盤の壁を叩き割れずにいた山崎が、ジュニア時代を締めくくる大会で初の全国タイトルを手にした。

 前日の準決勝で全日本ジュニア準優勝の木本に逆転勝ちし、決勝の相手はインターハイ・ベスト4の神鳥。ともに来春からの大学進学が決まっている高校3年生対決となった。全国大会では決勝を戦うのも初めての山崎は、もともとスロースターター気味のところへ緊張感が加わって鈍い立ち上がり。自分から積極的に展開する神鳥に対し、1ゲームも奪えずに第1セットを終えた。

「相手がよかったので、気持ちで引いてしまわないように、なんとかついていこうと工夫しました」

 緩急を織り交ぜ、ネットにも出た。すると第2セットは山崎にブレークチャンスが増え、第5ゲームでついにブレーク。すぐにブレークバックを許し、またブレーク…というブレーク合戦が第9ゲームまで続いたが、山崎が5-4からのサービスを締めくくった。最終セットは勢いづいた山崎が一方的にゲームを重ね、6-1でものにした。

 後半ミスが増えて集中力をキープできなかった神鳥は、「準備不足」を認める。最大の要因は、1週間前に終わったばかりの卒業試験のために勉強に時間を費やし、十分に練習ができなかったことだ。そうでなくても最後の夏を終えた高校3年生にとって、冬の間モチベーションを持ち続けることは難しい。

後半ミスが増えて集中力をキープできなかった神鳥舞(桜田倶楽部)(撮影◎宮原和也 / KAZUYA MIYAHARA)

 会心の初優勝を遂げた山崎も、「夏以降、勝てなくて気持ちもテニスも落ち込んでいた」という背景があった。そこへ、この大会に出場できそうだという知らせを受けた。まったく期待していなかったことだという。確実に出場資格があるのは、インターハイ、高校選抜、全日本ジュニア(U18&U16)のそれぞれの決勝進出者と、各地域テニス協会からそれぞれ選出された9人。しかし今回、女子は資格取得者の多くが辞退したため、コンスタントな成績を残していた山崎にチャンスが回ってきた。

「目標ができたのがうれしかったです。夏の大会が終わってから大学が始まるまでの半年間をどう過ごすかが大事だという話をよく聞くので、その間に目標をクリアしていきたかった」

 目標はもちろん優勝。〈半年間〉を充実させるために、9月からはフィジカルトレーナーにメンタルトレーナーまでつけて、心身それぞれの弱点に取り組んでいた。「特にメンタルを変えようと頑張ってきました。私は自分を追い詰めすぎるところがあって、もともとネガティブ思考なので」。そのプロセスにおいて、ここで高い目標を一つクリアした自信は今後大きな意味を持つだろう。

初の全日本タイトルを獲得した山崎郁美(秀明八千代高)(撮影◎宮原和也 / KAZUYA MIYAHARA)

(ライター◎山口奈緒美)

※トップ写真は山崎郁美(秀明八千代高)
撮影◎宮原和也 / KAZUYA MIYAHARA

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