広瀬一郎_書籍『スポーツマンシップを考える』_連載最終回_スポーツマンシップをどのように教えるか?

あなたはスポーツマンシップの意味を答えられますか? 誰もが知っているようで知らないスポーツの本質を物語る言葉「スポーツマンシップ」。このキーワードを広瀬一郎氏は著書『スポーツマンシップを考える』の中で解明しています。スポーツにおける「真剣さ」と「遊び心」の調和の大切さを世に問う指導者必読書。これは私たちテニスマガジン、そしてテニマガ・テニス部がもっとも大切にしているものでもあります。テニスを愛するすべての人々、プレーするすべての人々へ届けたいーー。本書はA5判全184ページです。複数回に分け、すべてを掲載いたします。全16回の最終回です。(ベースボール・マガジン社 テニスマガジン編集部)

 指導者はプレーヤーたちに、スポーツマンシップを示し、教える義務があります。ここでは、教えるための方法とし て3つの原則を提示します。

1| わかりやすい指示で教える

2|例を用いて教える

3|スポーツマンシップを実践してみせる

 スポーツマンシップという原則を日頃のコーチング活動にうまく適用させるためには、結局現場の指導者の判断に負うところが決定的に大きいのです。冷静で公正な判断力が必要となるため、指導者自身もその判断力を育て、備えなくてはなりません。

 そこで、現場でスポーツマンシップを実践するのに少しでも役に立つよう、ガイドラインを示します。参考にして
ください。

スポーツマンシップを教えるガイドライン

1|自らが良いお手本であれ

 指導者の行動は、その言葉よりも大きな影響力があるということを常に肝に銘じておきましょう。その競技自体、チームメイト、その他の関係者たち、対戦相手の監督とプレーヤーたちに、できるかぎりの敬意をもって接することで、選手たちに、「良いスポーツマンシップとは何か」を示す必要があります。最も肝要なのは「尊重」する態度です。

2|初期の段階からスポーツマンシップを重視しましょう

 プレーヤーと指導者の関係は、初めて出会ったときから始まります。ですから最初のミーティングの中で、あなたがどれほどスポーツマンシップを大事にしているかを説明しましょう。スポーツマンシップとは何か、スポーツマンシップがどうして重要なのか、そしてあなたが期待することは何なのかをわかりやすい言葉で説明してください。

3|楽しむことと、まじめにやることの両方の側面があることを説明しましょう

 スポーツマンシップの原理は「競う形式の遊び」です。プレ—ヤーたちにスポーツとは真剣な遊びであることを説明してください。

 プレーヤーたちが、勝つこと以外にスポ—ツの良さを見出すことを忘れてしまったり、真剣になりすぎてしまうのは一番起こりがちなまずいケースと言えます。時々、競技のルール、伝統や習慣の枠内で勝利を求めることの必要性を説きつつ、「真剣になりすぎずに競技すること」も競技をする上で不可欠であることを理解させましょう。

 このバランスは、あなたの言葉、態度で実際に示すようにしてください。真剣にすべきときは真剣に、楽しむべきときは、楽しんでください。このバランスをどう取るか、どう示すかは指導者自身のパーソナリティによりますが、遊びの部分と真剣な部分とのバランスが必要であり、重要であるということだけは、認識させておく必要があります。

 確かにバランスをどう取るか、には指導者の個性や価値観が大きく反映されますが、バランスが必要であることは議論の余地がないものなのです。なぜなら、あなたの取り組んでいるスポーツ(競う形式の遊び)の原理から来るものだからです。

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