コリ・ガウフが2回戦に勝ち、大坂なおみとの大一番へ [オーストラリアン・オープン]

「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月20日~2月2日/ハードコート)」の大会3日目、女子シングルス2回戦。
 
 コリ・ガウフ(アメリカ)にとってうまくいかないことはたくさんあった。この水曜日の試合はダブルフォールトがあとを絶たず、合計9本を積み重ねた。また、劣勢にも立たされた。世界ランク74位のソラナ・シルステア(ルーマニア)に対し、まず彼女は第1セットを落としたのだ。それから勝負を第3セットにもち込んだあと、ガウフは一連のミスで16ポイント中14ポイントを落とし、先にブレークを許してリードされた。また3-3に追いついたあとにも、敗戦まであと2ポイントと迫った。

 しかしそのどれも、そう重要ではない。これまでもう何度にも渡って見せているように、ガウフは普通の15歳ではなかったし、典型的なテニス選手でもなかった。そして後半のよりアグレッシブなアプローチのおかげもあり、2時間あまりの戦いの末にシルステアを4-6 6-3 7-5で倒した。そのことにより彼女は今、オーストラリアン・オープン前年度覇者の大坂なおみ(日清食品)と対戦することになったのである。

「試合の流れが変わったと感じたの」とガウフはシルステア戦で形勢を逆転させたことについて話した。「相手にプレッシャーをかけ続けなければならないことはわかっていた」。

 大坂がストレート勝ちし、そのあと涙にくれるガウフを慰めて観客に向かって話すよう促したUSオープンでの思い出深き対戦から5ヵ月弱後、ふたりはふたたび顔を合わせる。そのとき同様、大坂はそのグランドスラム大会のタイトル・ホルダーで、ガウフは大会初出場を果たしたばかりのところだ。

「今回はあのときほどナーバスにはならないと思う」とガウフは語った。彼女は月曜日の1回戦で、グランドスラム優勝歴7回のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)を倒していた。「今回は、より自信をもって臨めると思う」。

 ニューヨークで試合後に大坂が彼女を慰めたことについては、「もし私に子供がいたとしたら、自分の子供に見てもらいたいと思う類いのことだわ。真の競技者とはどのようなものかを示して見せている」とガウフはコメントした。

「コート上でその人を憎むことはあったとしても、コート外では愛する…“憎む”というのはちょっとニュアンスが違うわね…倒したい、勝ちたいと思うということ。ときにコート上で選手はそのメンタリティゆえに、本当に思っていないことを言ってしまったりする。でも、いろいろなことをやったり言ったりしても、変わらず敬意をもって相手を見つめるのよ」

 シルステアと相対した風の強いその日、ガウフはベストの調子ではなかったが、トラブルから抜け出す術を繰り返し見つけ出すことができていた。ガウフが大いにガッツを、そして情熱を見せ、試合を通して成功をおさめたほとんどのポイントのあとにこぶしを振り、「カモン」と叫んで自らを奮い立たせた。

 そしてその間中、ガウフは「レッツゴー、ココ!レッツゴー!」と叫ぶメルボルン・アリーナの観客たちのサポートを受け続けた。

 彼女の父コリーも観客席で盛んに応援していたが、重要な瞬間には目をぎゅっと閉じていた。

 昨年ウインブルドンで史上最年少の予選勝者となり、それからビーナスを破って4回戦に駒を進めたときは313位だった早咲きの娘にとって、重要かつ危険な瞬間はいくつもあった。

 時期尚早に来てしまったスターダムゆえ、ランキング60位以下の選手同士の対戦で、うちひとりが10年以上前に一度グランドスラム大会の準々決勝に至ったことがあっただけの対戦にも関わらず(シルステアは2009年フレンチ・オープンでベスト8入りした)、彼女はメルボルン・パークで3番目に大きいスタジアムでプレーした。

 実際、現67位のガウフの始まったばかりのキャリアですべてのグランドスラムの試合は――すべての、といってもこれはガウフにとってまだグランドスラム大会での9試合目な訳だが――ショーコートに組まれている。これはガウフにとって、対戦相手より高いランキングの選手としてプレーした最初のグランドスラム本戦の試合だった。

 そして試合の出だしには、彼女が上であるようには見えなかった。前述のように彼女は第1セットを落とし、奮起して勝負を第3セットにもち込んだものの0-3とリードされた。3-3と追いついたあと、ガウフはさらなる“闘魂のテスト”を潜り抜けなければならなかった。彼女は2度、敗戦まで2ポイントというところに立たされたのだ。

 しかしガウフは最後から2ゲーム目でブレークを果たし、それからサービスをキープして勝利をつかんだ。ガウフはどのようにして、このテストをパスしたのだろうか?

「ただ、勝ちたいという私の意志よ」と彼女は答えた。「私の両親はいつもスコアがなんであれ、私には挽回することができると言っていたわ」。

 この日のそのほかの勝者の中には、女子世界1位のアシュリー・バーティ(オーストラリア)、グランドスラム大会優勝歴2回で昨年のオーストラリアン・オープン決勝で大坂に敗れて準優勝だったペトラ・クビトバ(チェコ)、そして男子の前年度覇者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)もいた。ジョコビッチはこの日、ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場した日本の伊藤竜馬(北日本物産)を6-1 6-4 6-2で倒すのに95分を要した。

 第3シードの大坂は水曜日の試合で、何度かフラストレーションを経験した。彼女はその試合でラケットを地面に無造作に投げたり、テニスボールを放り投げたり、ラケットを蹴ったりした。それから彼女はサイドライン際の自分の席にどすんと座り、タオルで頭を覆った。

 だが彼女は態勢を立て直し、ジェン・サイサイ(中国)を6-2 6-4で倒した。

「ラケットが、魔法のように私の手から飛んでいってしまったの。コントロールできなかったわ」と大坂はいたずらっぽい笑みを浮かべながら弁解した。「少し子供っぽかったわね。ごめんなさい。ラケットを投げたり蹴ったりしないで、一試合をプレーしたい。それが私の望み」。

 おそらく彼女の記者会見が、ガウフとシルステアがまだプレー中に行われていたためだろう。大坂は3回戦への展望を求める質問をかわし、ただその試合の終わりを見に行くとだけ言った。

 大会3日目のそのほかに目を惹く結果は、元世界1位で2018年オーストラリアン・オープン優勝者のカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)が劣勢を覆して第23シードのデヤナ・イエストレムスカ(ウクライナ)を7-5 7-5で倒し、キャリア最後の大会と宣言しているこのトーナメントで次のラウンドに駒を進めたことだった。

 29歳のウォズニアッキは第1セットで一時1-5、それから第2セットでも0-3とされ、勝利を決めるのに6本のマッチポイントを必要とした。そして試合後、彼女はマーガレット・コート・アリーナでスピーカーから『スウィート・カロライン』が鳴り響く中で涙を流した。

(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真はコリ・ガウフ(アメリカ)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 22: Coco Gauff of the United States celebrates during her second round match against Sorana Cirstea of Romania on day three of the 2020 Australian Open at Melbourne Park on January 22, 2020 in Melbourne, Australia. (Photo by TPN/Getty Images)

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