気をつけろ、ロジャー&ラファ! ジョコビッチが接近中だ

オーストラリアン・オープンで8度目のタイトルを獲得したあとにノバク・ジョコビッチ(セルビア)がまたも長いインタビューを行っている中、準優勝のドミニク・ティーム(オーストリア)は白い大会送迎車の助手席に滑り込んだ。

 現地時間ですでに午前1時半をまわっており、ジョコビッチがその日曜日の夜、いかにしてティームに6-4 4-6 2-6 6-3 6-4で競り勝って17度目のグランドスラム制覇を成し遂げたかについて説明している間に彼は大きな銀の優勝杯をどこにでも持ち歩いていた。一方のティームはロッカールームから直接やってきて、記者会見とメディア・サービスをずっと前に終わらせていた。

 ティームはずっと、簡易な準優勝のトレイを左手に抱えていた。それはラケットや靴、汗まみれのシャツの入った袋などといっしょに家に運んでいくもののひとつだった。

 それはグランドスラム大会が終わったときの、非常に見慣れた風景だった。ビッグ3のメンバーのひとりがコートを支配し、もっとも大きなトロフィーを抱えている。より若い選手は多くの賛辞を浴びながら、しかし欲していた勝利なしに去っていくのだ。そして日に日に、皆がうらやむトロフィーを持った男は彼のふたりのライバルであるロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)よりも、ジョコビッチになりつつある。

 それはもちろん、今この時点でのポイントだ。ロジャーとラファは気をつけなければならない。なぜなら、ノールという呼び名を持つ男が彼らに近づきつつあるからだ。ジョコビッチは2018年ウインブルドンから始まって、ここ7つのグランドスラム大会のうち5つで優勝しているのだ。

 そんな訳でオーストラリアからツアーが始まる中、フェデラーはグランドスラム優勝回数「20」でトップに立ち、「19」のナダルのひとつ前にいるが、ジョコビッチがかなり急激にあと3つというところまで迫ってきたのだ。

「僕のキャリアのこの段階では、当然ながらグランドスラム大会はもっとも重要とみなしているものだ。それらは僕が最優先している大会だ」とジョコビッチはコメントした。彼は昨年のウインブルドン決勝で、またこのオーストラリアン・オープン準決勝でもフェデラーを倒していた。

「シーズンが始まる前に、僕はこれらの大会のために自分の調子を整えようと努めている。そこで僕のテニスを、メンタル的にも肉体的にも能力が最高レベルに至るようにしているんだ」。

 それから彼はこう言い添えた。「言うまでもなく、多くの歴史がそこに懸かっている」。

 皆が、テニス史上誰がもっとも偉大かを定める“自分の基準”を決めることができる。あるいは、これら驚くべき成功をおさめた3人の選手全員をありがたく鑑賞することもできる。

 フェデラー、ナダル、ジョコビッチは、3人の間でここ「13」のグランドスラム大会を連続して獲った。同じ期間に11人がグランドスラムでその数のタイトルを分け合った女子テニスと比べてみるといい。もっとも最近の初優勝者は、今年のオーストラリアン・オープンでのソフィア・ケニン(アメリカ)だった。

 2003年から見るとビッグ3は、過去67のグランドスラム大会で56タイトルを彼らの間で分け合っている。

 ナダルとジョコビッチを相手にグランドスラム大会決勝で3敗しているティームは、「これらの男たちはテニスを新しいレベルにいざなった」と語った。

 さらにジョコビッチは、フェデラーの記録に近づきあるもう一つのカテゴリーについて言及した。それは、ATPランキング1位で過ごした週の数だ。

 2019年大会準優勝者で大会開始時に世界ランク1位だったナダルが今年のオーストラリアン・オープンの準々決勝でティームに敗れた中、優勝したジョコビッチはナダルを2位に押しやり、世界ナンバーワンの座を取り戻した。フェデラーは変わらず3位で、ティームが4位に浮上した。フェデラーは世界ランク1位310週で、記録のトップに立つ。2位は286週のピート・サンプラス(アメリカ)で、3位のジョコビッチは275週だ。

「それは、もうひとつの大きなゴールだ」とジョコビッチは明言した。「僕は現在、とてもいいポジションに身を置いている。自分のシーズンのスタートぶりをこの上なくうれしく思っているよ。それが年の残りのための調子を整えてくれた」。

 この警告を考慮したまえ。

 ジョコビッチはまだ32歳で、このトリオの中でもっとも若い。ナダルが33歳で、フェデラーは38歳だ。

 12タイトルを保持するナダルよりも、多くの回数フレンチ・オープンに優勝した選手はほかにいない。8回の栄冠を勝ち獲ったフェデラーより多くウインブルドンに優勝した選手もおらず、ジョコビッチより多くの回数オーストラリアン・オープン優勝を遂げた選手もいない。これは非常に魅惑的なトピックだ。

 そして、それぞれの男たちに1タイトルしか獲れていない大会がある。ナダルにとってはオーストラリアン・オープン、フェデラーとジョコビッチにとってはフレンチ・オープンだ。

 グランドスラム・カレンダーの次の停留所がどこか、ご存じだろう? 次はフレンチ・オープンだ。

(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真はオーストラリアン・オープンで8度目、グランドスラムで通算17度目の優勝を飾ったノバク・ジョコビッチ(セルビア)
MELBOURNE, AUSTRALIA - FEBRUARY 03: Novak Djokovic of Serbia poses with the Norman Brookes Challenge Cup in the locker room after winning the Men's Singles Final against Dominic Thiem of Austria on day fourteen of the 2020 Australian Open at Melbourne Park on February 03, 2020 in Melbourne, Australia. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

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