復活したエドムンドが決勝進出「努力が報われてうれしい」 [ニューヨーク・オープン]

ATPツアー公式戦の「ニューヨーク・オープン」(ATP250/アメリカ・ニューヨーク/2月10~16日/賞金総額80万4180ドル/室内ハードコート)の男子シングルス準決勝が行われ、第8シードのカイル・エドマンド(イギリス)とアンドレアス・セッピ(イタリア)が決勝に駒を進めた。

 エドマンドは自分の体に力が戻ってきたと感じている。選手が踏ん張り、最大の能力を絞り出さなければならないときに必要な底力を。彼の健康状態は回復しつつあり、テニスの調子もふたたびよくなってきているようだ。

 すべての準々決勝の試合がフルセットのもつれ込んだ翌日、エドマンドは20歳のミオミル・キツマノビッチ(セルビア)を6-1 6-4で退け、2018年以来となるATPツアー決勝進出を果たした。

 ナッソー・ベテランズ・メモリアル・コロシアムでのこの日最初の準決勝で、エドマンドは迅速に仕事をやってのけた。エドマンドはキツマノビッチの最初の2つのサービスゲームをブレークしてあっという間に5-0とリードし、それから第2セットで一時3-4とリードされながらも最後の9ポイントを連取した。

「僕の回復力が、最後には証明され過ぎたかもしれないね」とエドマンドは振り返った。

 彼はキャリア2度目のタイトルを目指し、日曜日の決勝でセッピと対戦する。セッピはもうひとつの準決勝でジャン・ジェイソン(台湾)を6-3 6-2で下し、2012年以来のタイトルまであと1勝というところまで駒を進めた。

 2018年10月に世界ランク14位にまで登ったエドマンドは、自国のトップ選手としてのアンディ・マレー(イギリス)の覇権を終わらせた。彼はその年のオーストラリアン・オープンで自己唯一のグランドスラム大会準決勝進出を果たし、同年の終わりにベルギーのアントワープでツアー初優勝を飾っていた。

 しかし2019年に彼は左膝の故障に苛まれ、わずか1年の間にランキングを60段以上も転げ落ちてしまったのだ。

 この日の彼はニューヨークの黒いコート上で楽々とドロップショットを追い、ベースライン沿いを右へ左へと駆け回って後方でのラリーに打ち勝った。

「自分の体に自信があり、自分はここにいると感じられて戦う準備ができているときには、間違いなく助けになるよ」とエドマンドは語った。「ベストを尽くす準備ができていれば、明らかにフィジカル面でもパフォーマンスレベルは向上するんだ」。

「努力が報われたのを目にできてうれしい」とエドマンド

 第6シードのキツマノビッチに対して、エドマンドは決して試合の核心に入り込むチャンスを与えなかった。エドマンドはキツマノビッチの最初のサービスゲームでブレークを果たして数分のうちに2-0とリードし、セットの残りでも滅多に力を緩めなかった。

 第2セットで4-4に追いついたエドマンドは次のゲームをラブゲームでブレークし、最後のゲームでは3本連続でサービスエースを決めて試合を締めくくった。

 昨年の終盤によいフィーリングを取り戻し始めたとエドマンドは明かしたが、それがまだ勝利につながっていなかった。しかし今週のここロングアイランドではすべてがいい形でまとまり、成果を生んだ。

「もちろん、努力が報われたのを目にできてうれしいよ」とエドマンドはコメントした。「テニスの1年は長く、何年にも渡って多くの努力をつぎ込んでいるんだ。だからこそこのような結果が出たときには、その報酬を目にできたと感じられてうれしいものだ」。

 台湾のジャンは予選を勝ち上がって本戦入りしたあと、大会の過去の優勝者であるケビン・アンダーソン(南アフリカ)と第3シードのライリー・オペルカ(アメリカ)を倒し、ツアーレベルの大会で初の4強入りを決めた。しかし彼の進撃は、安定性のあるセッピを前に終わった。セッピは過去にツアーで3度優勝したことがあったが、昨年のシドニーまで4年近く決勝に進出することができないでいた。

 35歳のセッピはダミアー・ジュムホール(ボスニア・ヘルツェゴビナ)に対する1回戦で第3セットのタイブレークでマッチポイントを凌がねばならず、より早い段階で敗退しかかっていた。しかし本人によれば今週最高の試合をやってのけたあと、彼はタイトルなしの長い期間を終わらせるためのチャンスを手に入れた。そのことは決勝に近づくたびに、ときどき頭に忍び込んでいたと彼は認めた。

初戦敗退の危機を乗り越え決勝に進出した35歳のアンドレアス・セッピ(イタリア)(Getty Images)

「明日はもうひとつの決勝、もうひとつのチャンスだ」とセッピは最終日を見据えた。「そして、そこでふたたびいいテニスができるよう願っている」。

(APライター◎ブライアン・マホニー/構成◎テニスマガジン)

※トップ写真はカイル・エドマンド(イギリス)
UNIONDALE, NEW YORK - FEBRUARY 15: Kyle Edmund of Great Britain hits a backhand during his Men's Singles semifinal match against Miomir Kecmanovic of Serbia on day six of the 2020 NY Open at Nassau Veterans Memorial Coliseum on February 15, 2020 in Uniondale, New York. (Photo by Steven Ryan/Getty Images)

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