春の高校センバツ大会展望 [第42回全国選抜高校テニス大会]

男女各48校が日本一の称号を目指し、博多の森に集結する。仲間の支えを背に、コートに降り立つ7名の選手たち。シングルス3本、ダブルス2本の5ポイント制が生み出す数々のドラマが、今年も繰り広げられる。3月21日から試合が始まる高校センバツを展望しよう。【2020年4月号掲載】

取材協力◎石原弘也(全国高体連テニス部部長) 構成◎中野恵太(テニスマガジン編集部)

団体戦展望(男子)

 過去10年間、男子では相生学院(兵庫)、湘南工大附(神奈川)、四日市工(三重)、そして柳川(福岡)の4校が日本一を独占。そのうち、相生学院と湘南工大附は昨年の選抜・インターハイの決勝カード。今大会もシードに入り、両校を中心に大会が進むことが予想される。

 前回大会を制した相生学院は中心選手だった3年生たちが抜け、今年は新たな世代でV2を狙う。金田諒大、川田瑞基、三田陽輝といった全国大会で結果を残す選手たちが多く揃い、近畿大会も危なげなく1位通過を果たした。部員全員が掲げる「大会連覇、2年連続3度目のアベック優勝」に向け、準備は整った。

 その相生学院にもっとも闘志を燃やすのは湘南工大附だろう。昨年は選抜、インターハイ決勝と相生学院に行く手を阻まれ、悔しさを味わった。前回大会を経験した鈴木久統、庄子大慎、青木一晟、齋藤成ら2年生を中心に、シングルス、ダブルスともに隙がない。宿敵を破り、4年ぶり8度目のV奪還を誓う。

 シード校では、四国1位の新田(愛媛)、九州1位の鳳凰(鹿児島)にも注目したい。新田は、ジュニアオリンピックカップで準優勝を果たした中村元、中牟田杯で準Vの丹下颯希、全日本ジュニアU16でダブルスを制した片上智貴を擁し、層も厚い。鳳凰は地区大会の準決勝で大分舞鶴(大分)、決勝では柳川を破って九州王者に輝くなど、勢いに乗る。彼らが本番でも実力を発揮できれば、面白い存在になることは間違いない。

 残るシードにも松商学園(長野)、名経大市邨(愛知)、四日市工、岡山理大附(岡山)と実力校が名を連ねる。松商学園は9名のうち7名が2年生で、全員が前回大会でメンバー入り。小柄なメンバーが多いが、プレースタイルはみな攻撃的で粒揃い。目標とする全国優勝を虎視眈々と狙う。

 東海を制した名経大市邨、同2位の四日市工も侮れない。地区大会では全国常連の名古屋(愛知)や静岡市立(静岡)から勝利をつかみ、決勝は名経大市邨が3勝2敗で四日市工を下して1位通過。団体戦を熟知する両校だけに、その勝負強さを見せつけるはずだ。岡山理大附は昨年こそ思う結果が残せなかったが、全国私学大会では準優勝を果たすなど、伸びしろ十分のチームだ。

 ノーシードの注目校は、柳川、大分舞鶴、名古屋といった常連校に、関東2位の東京学館浦安(千葉)、同3位の慶應義塾(神奈川)、近畿2位で初出場の興國(大阪)、関西(岡山)と挙げればキリがないほど混戦模様。どのチームにもチャンスはある。大会の中で成長した選手たち、チームこそが最後に栄冠を手にするだろう。

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