日本がまさかの3連敗、マクラクラン/内山も敗れてファイナルズ進出は叶わず [デビスカップ]

男子テニスの国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten」のファイナルズ予選「日本対エクアドル」(3月6、7日/兵庫県三木市・ブルボンビーンズドーム/室内ハードコート)の2日目は、ダブルスからスタートだ。初日2敗であとのない日本はマクラクラン勉(イカイ)と内山靖崇(北日本物産)に逆転の望みを託したが、ゴンサロ・エスコバル/ディエゴ・イダルゴ(エクアドル)の左利きペアに6-7(3) 3-6で敗退。11月にスペインのマドリッドで開催されるファイナルズ進出は叶わなかった。

 長い一日になってほしいと誰もが願っていた。日本が勝つためには、3試合を勝たなくてはならない。前日のエクアドルのプレーと勢いを見る限り、日本チームが冷静に本来の力を発揮したとしても楽勝はないだろう。覚悟した3つのタフマッチ。しかしその結果として大逆転勝利をつかむことは、無謀すぎるシナリオではなかったはずだ。

 シングルスでマッチポイントを握りながら敗れた内山も、「昨日はむちゃくちゃ悔しくて、しばらく顔も上げられない感じでした。でもみんなで食事をする中で少しずつ気が紛れて、今日に向けて気持ちを切り替えることができて、会場に来たときは、皆が3連勝を信じてしっかり準備ができていた」という。岩渕聡監督は予定通り、その内山とマクラクランという鉄板ペアをダブルスに送り出した。

 エクアドルもオーダーを変えなかった。69位というダブルスの世界ランクを持つ31歳のエスコバルは要警戒だったが、ダブルス257位でシングルス361位のイダルゴとのコンビ経験は一昨年からのデビスカップのみ。マクラクランと内山のコンビ歴も2017年からではあるが、その間にワールドグループを維持して昨年は新フォーマットでのファイナルズで強敵相手に戦ってきた日本チームでの経験は、地域グループに属するエクアドルより豊かだったことは間違いない。

 しかし、「昨日シングルスで2勝してくれたおかげで、より大きな自信を持って攻撃的なプレーができた」と言ったイダルゴは、そのランキングから想像するよりはるかにハイレベルのプレーを展開。大事なポイントでの度胸のよさ、機敏な反応で日本チームを苦しめた。

波に乗るエクアドルを止めることができなかったマクラクラン勉(イカイ/左)と内山靖崇(北日本物産/右)(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)

 第1セットは第5ゲームと第6ゲームで互いに相手のブレークポイントを凌ぎ、マクラクラン/内山は6-5のリターンゲームで3つのセットポイントを握ったが、イダルゴのサービスとエスコバルの堅いボレーに阻まれた。タイブレークは2-2から内山のダブルフォールトなどで4ポイント連取を許して一気にセットポイントを握られ、そのままセットを失った。

 前日から積み上げてきたエクアドルの自信を潰し、加速する勢いを止めるための〈プラスα〉な力を発揮する心の余裕はもうなかっただろう。「チャンスを生かせなくて、セカンド(セット)もいいスタートが切れなかった」とマクラクラン。第2ゲーム、内山のサービスで早々にブレークを喫した。第5ゲームでブレークバックのチャンスを3回握ったが、奇跡の逆転につなげることができたかもしれない最後のチャンスを逃し、5度のデュースの末に結局キープを許した。

 5-3でサービング・フォー・ザ・タイを迎えたエクアドル。エスコバルはすべてファーストサーブを叩き込み、圧倒的な締めくくりを披露した。

ファイナルズ進出を決めて歓喜に沸くエクアドル代表チーム(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)

 錦織圭(日清食品)と西岡良仁(ミキハウス)を欠いてもまだ日本が断然有利のはずだった。無観客で応援がないとはいっても、今回は大丈夫だろうと思われていた。

「相手チームの情報は可能な限り集めて、映像も見て分析はしていた。ただ、2日間とも想定以上にいいプレーをされたという印象」と岩渕監督は振り返った。そのプレーを出させた原因は、やはりコロナウイルス騒動の中で起きたさまざまな事態に対する、チームの心の揺れだったのではないだろうか。

(ライター◎山口奈緒美)

※トップ写真はエクアドルに完敗を喫した日本代表チーム
撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU

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