上達の近道はココにあり! ストリングを究める
テニスはやさしいことから難しいことへ移行していくべきです。新しいことに取り組もうとするときは、多くの人が問題に直面します。道具を使うテニスは特にそう。では、やさしい道を進むにはどうすればよいのでしょうか。難しい道を進んで遠回りしてしまわないために知っておきたいことがあります。上達の近道は「ストリング」にあり! ストリングの知識を身につけましょう。【2016年5月号掲載】
文◎松尾高司 イラスト◎サキ大地
いまさら聞けない「基本編」|1|
ストリングの大切さについて
ストリングのタイプと
それぞれの特徴を知る
テニス用のストリングは、素材によって大きく性能が違ってくる。素材の種類を知ることは、自分にマッチするストリング選びの基本だ。
「ナチュラルガット」は主に牛の腸を原料とする天然素材で、反発性能が高く、切れさえしなければ、もっとも性能寿命が長い最高級品質。ただ、原料が希少であり、1本を作るのに3ヵ月もかかるため、非常に高価なのが玉にキズ。
人工素材のものはシンセティックストリングと呼ばれ、ナイロンを素材とするものが多く、構造の違いで、打球感のメリハリがはっきりしていて、俊敏な反発性能を特徴とする「モノフィラメント」と、マイルドな打球感と、球持ちの長さが個性である「マルチフィラメント」がある。
そして最近、プロ選手が多く使っているために流行っているのが「ポリエステル系」だ。打球感は極めて硬く、飛び性能はもっとも低く抑えられている。中速スイング程度では伸縮性を発揮しない……つまり反発性が低いが、超高速スイングになると、独特なホールド感と俊敏な伸縮性を発揮する。確かに切れにくいが、性能寿命は非常に短い。
テンションの数値は
どんなことに
影響するの?
ストリングを張るときにマシンがストリングを引く力のことを「テンション」と言うが、その数値と反発性能との関係はどうなっているのか?
ストリングの素材やゲージによって、テンションが与える影響は差があるが、基本として覚えておくべきは「低めのテンションはボールがよく飛び、高めならば飛ばない」ということだ。
しかしテンションが低ければ低いほど反発力が高いというわけではなく、極端に低くなると、むしろ飛ばなくなるが、例えば20ポンド以下というような、あまり現実的でない場合だ。
例えば100平方インチ、300g、最大フレーム厚26㎜の黄金スペックならば、50ポンドくらいなら「やや硬め」だろう。
張り上げテンション指定は、フレームの面サイズによって違い、面が大きければ高く、小さければ低めにするもの。基準となる数値はなく、自分で試しながら探るしかない。
勘違いしてはいけないのは、ラケットのカタログに表記されている「推奨テンション」は「この範囲で張ればいいですよ」という最大幅を示すものだ。
ストリングと
フレームには
相性というものがある
ラケットは「フレーム」+「ストリング」で完成形となる。自分のプレースタイルに適したフレームとストリングを選ぶわけだが、フレームとストリングとの相性があることも忘れてはならない。
例えば、反発性能の高い厚ラケに、反発性能の低いポリエステル系ストリングを張るのは、どう見てもミスマッチだ。飛ばしたいのか、飛ばしたくないのか、どっちなんだ?
そう言うと、「ナダルは、飛ぶ中厚に、飛ばないポリを張ってるじゃないか!」と反論する人がいるが、彼はあまりに猛烈なスピンをかけるため、短くなりがちな飛球距離を中厚のパワーで補っているのである。そこを誤解してはいけない。
我々一般プレーヤーは、自分のプレーにはどういうラケットが必要かをよく知り、合理的な組み合わせについてショップスタッフと相談して決めるのがなによりだ。
テニスは、ボールがネットを越えて、相手とラリーが続かなければ楽しくないスポーツだ。
初中級プレーヤーが楽しくテニスを続けるには、自分のスイング力に適したパワーを持ったラケット+ストリングを選ぼう。
まずはシンプルに飛ばしてくれるモノフィラメントのようなストリングを選んでみて、自分のプレーに個性が生まれてきたら、それに適した好みや性能を備えたストリングに張り替えてみよう。
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