思い出深きフレンチ・オープンの試合『2009年ナダル対ソダーリング』【AP Was Thereシリーズ①】
ラファエル・ナダル(スペイン)はその日、フレンチ・オープンでの最初の敗戦を喫した。セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)はビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)に対し、最初の勝利をおさめた。
イワン・レンドル(当時チェコスロバキア)はジョン・マッケンロー(アメリカ)に対して劇的な逆転勝利でグランドスラム初制覇を果たし、そしてその5年後にはマイケル・チャン(アメリカ)が王者レンドルに対して世紀の番狂わせを演じた。
スポーツの大会はさまざまな理由で、人々にとって忘れがたいものになる。番狂わせ、歴史的重要性、劇的な瞬間、大逆転劇など…ときにいくつかの理由が重なることもある。
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによりフレンチ・オープンが9月に延期された今――ナダルは木曜日、「もっとも好きな大会をプレーできず寂しい」と語った――AP通信は、パリで伝説的な試合がプレーされたときに報道されたいくつかのストーリーをふたたび紹介していく。
この「AP Was There」シリーズは、2009年5月31日のストーリーから始まる。これはナダルがフレンチ・オープンでプレーした95試合の中で、敗戦に終わったわずか2試合のうちのひとつに関するものだ。
それ以外にも、過去40年からのロラン・ギャロスの試合で際立ったものをピックアップしている。
31勝0敗から31勝1敗へ
2009年フレンチ・オープンの男子シングルス4回戦、ロビン・ソダーリング(スウェーデン)はラファエル・ナダル(スペイン)を6-2 6-7(2) 6-4 7-6(2)で破った。このときのナダルは単にフレンチ・オープンで31試合負けなしだっただけでなく、そこで間違いなく5連覇を遂げる最初の男になるだろうとみなされていた(彼は2019年にロラン・ギャロスで12度目の栄冠に輝いた)。衝撃だったのは、ソダーリングが過去にグランドスラム大会で1度も2回戦を超えたことがなかったからでもある。
そのほかの記憶に残る番狂わせは、同じくソダーリングがロジャー・フェデラー(スイス)を3-6 6-3 7-5 6-4で倒した2010年男子シングルス準々決勝だ。当時のフェデラーは23度連続でグランドスラム大会の準決勝に進出しており、19のグランドスラムのうち18大会で決勝に進出していた。
また2012年の女子シングルス1回戦で、ビルジニー・ラザノ(フランス)はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を4-6 7-6(5) 6-3で破った。それはセレナにとって、そこまでのグランドスラム大会における74回の1回戦で初の黒星だった。その後、セレナは現コーチであるパトリック・ムラトグルー氏と一緒に働き始め、以来彼とともにグランドスラムで10タイトルを勝ち獲った。
やはり驚きを誘った出来事の中には、世界ランク66位ながら優勝を遂げたグスタボ・クエルテン(ブラジル/1997年)、47位で優勝したエレナ・オスタペンコ(ラトビア/2017年)の快挙がある。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真は2009年のフレンチ・オープン4回戦で対戦したロビン・ソダーリング(スウェーデン/右)とラファエル・ナダル(スペイン)(Getty Images)
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