ムラトグルー氏らが創設の「UTS」は新世代テニスファンへのアピールを目指す
USオープンとフレンチ・オープンが今年の秋に開催されるかという議論が進行中である中、4人のトップ10選手が出場する新しい発想のフレンドリーなテニス大会が土曜日から南フランスでスタートする。
創設者のひとりで頻繁にトップ選手たちの練習の場ともなっている自分のテニスアカデミーを南仏に構えるパトリック・ムラトグルー氏は、若い視聴者に臨場感あふれるプレーヤーの姿に触れる機会を提供することで「アルティメット・テニス・ショーダウン(UTS)」がテニスの見方を変えることができるよう願っている。UTSの第1回大会には、ATPファイナルズ優勝者のステファノス・チチパス(ギリシャ)やUSオープン準決勝進出者のマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)らが出場する予定だ。
「特に行動規範が大きな障害となっているコート上でのプレーヤーたちの感情に、ファンたちがよりアクセスしやすいようにしたいと私は思っている」とムラトグルーは説明した。「UTSはファンベースのコミュニティを拡大させるため、より若くより熱心な新世代のファンたちにアピールすることを目指している」。
主催者によれば、プレーヤーたちは5週間に渡って毎週末にラウンドロビン(グループ内総当たり戦)形式で対戦し、彼らの試合はすべての音声とシーンをとらえる複数のスクリーン、カメラ、スピーカーを用いたライブプラットフォームを通してストリーミング放映される。
この試みの重要な点として、視聴者が試合中に起こることすべてに前例のないアクセスを可能にするということ、部分的に抽出して伝えるのではなく臨場感を最大限にするということを強調した。
グランドスラム大会優勝歴23回のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)のコーチでもあるムラトグルー氏は、この大会にも出場するアレクセイ・ポプリン(オーストラリア)の父親とともにUTSを設立した。
試合ではコート上でのコーチングが禁じられる代わりに奨励されるなど、相互作用を特徴とするテンポの速いフォーマットを通してテニス観戦の形を変えたいと彼らは願っている。
「プレーヤーたちはリアルタイムでファンたちと交流し、彼らの間の会話やコーチたちとの会話をシェアし合い、コート上でのびのびと振る舞うことができる」とUTSは説明した。
「観客たちは、そこで起きていることの中で役割を果たすことになる。彼らはプレーヤーたちと交流し、コートチェンジの際に質問したり、プレーヤーたちの人生のシーンの背後で何が起きているのかを目にしたり、コーチとプレーヤーが交わすすべての言葉を耳にすることになる」
それが実現すれば、ブノワ・ペール(フランス)を世界的なオンラインスターにするかもしれない。この世界ランク22位で30歳のフランス人は、その不安定だがときに天才的なプレーでと同じくらいカッとなりやすい気性とコート上でわめき散らす癖――彼の大言壮語は頻繁に彼自身に向けられている――でも知られている。
このイベントは、太陽の輝くフレンチ・リビエラ海岸のアンティーブに程近い「ムラトグルー・テニスアカデミー」で行われる。新型コロナウイルス(COVID-19)に関する規制のため、会場にファンがやってくることは許されない。人と人との間に距離を取り、スタッフの人数を制限する安全のための手順も定められた。
大会はATPツアーの一環ではない。フォーマットやルールの詳細はまだ公式発表されていないが、試合は公式戦よりも短くなることが予想されている。
賞金に関しては、プレーヤーのランキングとパフォーマンス次第となる。勝者は70%を、敗者は30%を受け取る。プレーヤーはまた、広告収入と放映権料の一部を受け取ることになるとUTSはウェブサイト上で発表した。
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