ユニットターンに始まった準備はフルターン、バックスイングへ続く_ジョコビッチのフォアハンド検証第3弾

(※原文ママ)ノバク・ジョコビッチのフォアハンド検証の第3弾は、第1弾「フェデラー+ナダル=ジョコビッチ(2人との比較、検証)」、第2弾「ユニットターン」に続き「フルターン&バックスイング」へ。フォワードスイングを開始する前の、ボールを打つ腕のセットアップに注目!解説◎ジョン・ヤンデル【2012年1月号掲載】

解説◎ジョン・ヤンデル 翻訳◎木村かや子 写真◎小山真司、毛受亮介

Novak Djokovic's Forehand
The Full Turn & Backswing

John Yandel

ジョン・ヤンデル◎1952年12月20日、アメリカ・オクラホマ州出身。エール大学卒。第一線のビデオグラファーかつモダン・プロテニス研究者の一人として、世に広く認められた人物。ハイスピードビデオカメラによるプレー映像は、80名以上のトッププレーヤーから6万種類以上におよび、そのデータベースは、プレーヤー、コーチ双方のテニス研究の方法、理解の方法を変える、新しいビジュアル的資料となった。現在、世界複数国のテニス協会コンサルタントを務めるほか、トッププレーヤーたちのビデオ分析において厚い信頼を受けている。ジョン・ヤンデル・テニススクールがカリフォルニア州サンフランシスコにある。ヤンデル氏が運営するインターネットサイトTennisplayer.net

\体を完全にターンする/

フルターン|The Full Turn

よいフォアハンドを打つための基礎
左腕は完全に伸びて、
肩は最大限まで
ひねられる

と肩を約45度ひねるユニットターン(写真)のあと、何が起きるのでしょうか。ボディターンは途切れなく続いていきますが、そのとき、手と腕はボディターンとは別に独自の動きを始めます。

ユニットターン(腕、肩、上体が一体となってターンする総合的なひねり)で始まる。腰と肩は45度回転し、同一線上に並ぶ

 両手はラケット上に置かれた形から始まります。肘が先行する形で、腕は肩よりも上がって開始される動きです。

 そして、腕が上がっていくのに従い、肩はターンし続け、一方で右手と左手が離れていきます。この離れる動きのタイミングと形は、プレーヤーによって異なります。

\あごが左肩越しに前を向く/

腕を伸ばす|The Arm Stretch

腕(非利き腕)は、ラケットから離れたあと伸びて、プレーヤーの右側サイドラインの方を指し始めます。左腕が完全に伸びて、肩が最大限までひねられたときに、準備段階/フルターンは完了します。これはフォアハンドの基礎となるポジションであり、すべてのレベルのプレーヤーにとって、よいフォアハンドを打つために欠かせないものです。

 ターンが完了した時点で 肩は少なくともベースラインに対して90度の角度、トッププレーヤーの場合は通常、もう少し深い角度までひねられます。あごが左肩越しに前を向くイメージです。

 左腕は、サイドラインの方を指しつつ、ベースラインとほぼ平行になります。この時点で、あるプレーヤーは完全に肘を伸ばしますが、ジョコビッチのように両手をより長くラケットに置いているプレーヤーは、このとき肘を幾分曲げている傾向があります。

①ジョコビッチのバックスイングは、ターン完了時点でわずかに下方に落ち始めている、②フルターン完了時に、肩はベースラインに対して90度以上の角度で深くひねられ、腰はベースラインに対して45—60度程度と少ないひねりとなる、③ジョコビッチは両手を、他のプレーヤーよりも長くラケット上に置く。両手が胴体の中央ラインを超えたあと、右手と左手を離す、④右手と左手が分かれたあと、左腕は体の前を横切ってサイドラインの方を指す

注意ポイント1
ボールのバウンドとフルターンのタイミングを合わせる

イントは、フルターンのタイミングにあります。フルターンと腕の伸ばしは、ボールがコートにバウンドする瞬間と重なります。これはプレーヤーによって幾分異なるのですが、トッププレーヤーの場合は、ボールがコートにバウンドする瞬間よりあとになることもあります。

 ただし、クラブプレーヤーにとってはボールのバウンドとフルターンのタイミングを合わせることは、すばらしい準備をするための魔法の鍵となり得ます。一方で、フルターンのタイミングが遅すぎると、続くフォワードスイングをしっかり行なうことができなくなるので注意しなければなりません。

 ターンの完了時には、肩と腰の角度に違いがあるのに気づきます。ユニットターンの時点では肩と腰はだいたい45度回転して、似通っているのですが、フルターンの時点では、肩がより深くひねられ、ベースラインに対して90度以上の角度になります。一方で腰のターンは、だいたい45度から60度の角度になり、これらのことから、肩はかなり余計にひねられるということです。

注意ポイント2
一連の動きのすべてが“出だし”のユニットターンにかかっている

の後、大切なポイントとなるのが、ユニットターンの開始時に腰を正しく回転させることにあります。

 フォアハンドを打つ準備段階において、体全体を連動させながら部分的に横に回転させるターン(ユニットターン)を行ない、そのとき肩を自然にできる範囲で最大にひねり、左手が伸びて、足のポジションも正しければ、フルターンに至った時点での腰の角度は、おそらく自動的に正しくなっています。

 ターンが完了しつつあるとき、ラケットのグリップは、左腕から離れて上方に上がり始めます。ターンが完了したときには、ラケットはバックスイングの頂点あたりに至っているか、ジョコビッチの場合を含め、あるケースでは、やや下方に動き始めています。

 次に、バックスイング全体をより詳細に見ていきますが、その前に足の使い方やスタンスを含む、準備段階の残りの部分に目を向けてみましょう。

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles