テニスボールがこれほど危険だと、誰が知っていただろうか?間違いなく、世界ランク1位のテニスプレーヤーであるノバク・ジョコビッチ(セルビア)は知らなかった。

 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中で一連のチャリティテニス大会を予防措置無しで決行するという彼の誤った決断が、世界最高のプレーヤーと彼の妻、そしてどのくらい大勢か分からない他の人々をウイルスに感染させることになったのである。

 今の彼はもちろん申し訳なく思っているが、彼がコートに戻ることを待ちきれなかったがために人工呼吸器をつけなければならない羽目に陥る誰かにそう教えるべきだ。

 彼の同僚であるテニス選手たちは、これに先立ちワクチン接種の義務化に反対する意見をまくしたて、自ら企画したチャリティ大会でソーシャルディスタンスやマスクの着用を薦めなかったジョコビッチを支持することはなかった。

「(感染した)仲間には早くよくなって欲しい。でもそれがすべての(ウイルス対策の)手順をないがしろにした際に起きることなんだ。これは冗談ではない」とニック・キリオス(オーストラリア)はツイートした。

 今の新しい世界で危険はあらゆる場所に潜んでおり、それはジョコビッチの活動範囲の中だけではない。セルビアとクロアチアで彼の主催した「アドリア・ツアー」に出場した選手のうちさらに3人が、ウイルス検査で陽性と診断された。3ヵ月前にスポーツを休止させたパンデミックは、リーグやチーム、そしてプレーヤーたちが前進するための新しい道を見つけ出そうとしている中で損害を出し続けている。

 アメリカの大学ではすでにキャンパスに戻ったアスリートの中に感染した選手がいたことを報告していおり、ダラス・カウボーイズのスターであるエゼキエル・エリオット(アメリカ)を含むNFLにも何件かの陽性が報告されている。

 これは我々が日常生活の中でそうせざるを得なかったように、スポーツ界でも新しい現実を受け入れるべき時期なのかもしれない。我々がかつて当然とみなしていたことは、今や健康を第一の優先事項として再考されなければならないのだ。

 それには変わらず8月に予定されているUSオープンから不運なジョコビッチのチャリティ大会まで、テニスの大会も含まれる。

「皆の全快を心から祈る」とジョコビッチは自責の念を込めた声明文の中で語った。

 NBAのスターたちの多くが検査で陽性を示し始めたとき、或いはNFLチームの半分が感染したときに、誰が謝罪するのだろうと疑問に思わなければならない。皆が応援したくなるような大学のフットボール選手の両親に、あなたの息子が感染したと誰が伝えるのだろう。そして考えられないようなことが起き、実際にアスリートが命を落としたときに、誰が何かを言えるだろうか。

 そしてそれは、確実に起こる可能性があることなのだ。

 もっとも肝心なのは、――お金以外に――リスクを冒すべき真の理由はないということだ。我々はここまでスポーツなしでやってきたのだから、今年の終わりまでその状態が続いても大丈夫なはずだ。

 その頃までには、ワクチンも完成していることだろう。そうすれば我々は普通に生活を送ることができ、制限なくスポーツをプレーし、ファンたちは観客席で楽しむことができる。そのときがくるまで、ほとんどのスポーツはただ休みを取るべきなのだ。

 何故なら愚かなことをしなければ、申し訳ないと言わなければいけない羽目に陥ることもないからである。(APライター◎ティム・ダールバーグ/構成◎テニスマガジン)

※写真は「アドリア・ツアー」ベオグラード大会でのノバク・ジョコビッチ(セルビア)(Getty Images)


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