ウインブルドンのグラスコート、白いテニスウェア、雨、ストロベリー&クリーム…
ウインブルドンはもちろん、丁寧に整備されたグラスコートで知られている。イギリスではそれを、正式には“ローンコート”と呼んでいる。
そのサーフェスは、1870年代に初めて開催されたオールイングランド・クラブが主催するグランドスラム大会のもっとも特徴的な側面のひとつだ。
今年のウインブルドンは新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、4月1日に開催中止(戦争以外では史上初)が決まっていた。テニスでもっとも古い歴史を持つ同大会のキャンセルは、第二次世界対戦中だった1945年以来のこととなる。
男女のプロテニスツアーは3月途中から休止されていたが、公式戦は8月から再開される予定となっている。
だから今は過去の大会を想い出し、この場所を独特なものにしていることを垣間見ておくことしかできない。
鮮やかな緑のグラスと紫の花々、オールホワイトが義務付けられた選手たちの衣装、雨をしのぐか太陽の日差しを遮る傘、そして大会名物の“ストロベリー&クリーム”…。
ロイヤルボックスの最前列には王室メンバーやセレブたちを含む、多くの有名人が姿を見せる。
昨年は当時15歳のコリ・ガウフ(アメリカ)がセンセーショナルなデビューを果たし、ニック・キリオス(オーストラリア)はいつも目を見張るトリックショットを披露する。かつてはボリス・ベッカー(ドイツ)がダイナミックなダイビングボレーで観客の度肝を抜き、ピート・サンプラス(アメリカ)は切れ味鋭いビッグサーブで君臨した。そしてジョン・イズナー(アメリカ)は最終セット70-68という世界最長記録の試合でニコラ・マウ(フランス)を倒した。
何千ものファンたちが歩道を行き交い、かつては「ヘンマン・ヒル」の名で知られ現在は「マレー・マウント」と呼ばれている場所でピクニックのように集い、スクリーンに映し出されるプレーに熱狂的な声援を送る。USオープンが8月31日からニューヨークで予定通り始まったとしても、そこでこのような光景を見ることはできない。
この2週間、ウインブルドンは静寂に包まれる…。(C)AP(テニスマガジン)
※写真はウインブルドン名物のストロベリー&クリーム(Getty Images)
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