シティ・オープンが中止の決断もUSオープンは変わらず開催予定

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中での男子ツアー再開第一戦となるはずだったアメリカの首都のハードコート大会が、中止されることになった。しかしこの決断が火曜日に告知された直後にUSオープン運営を担う全米テニス協会(USTA)は、前哨戦のキャンセルが直ちにUSオープン開催に打撃を与えることはないと明言した。

 8月13日から予選が始まる予定だったシティ・オープンは会長であるマーク・アイン氏によれば、「さまざまな国際的な渡航制限や最近の傾向として健康と安全について懸念されるなど、未解決の問題が多すぎる」ためにキャンセルされることになった。

 アメリカ全土における感染者の数は、いくつかの場所で急激に増加している。

 シティ・オープン中止の決断は、ATP(男子プロテニス協会)会長のアンドレア・ガウデンツィ(イタリア)にとって失望を誘うニュースだった。ガウデンツィ会長は、「不運なことに、現時点では変わらず我々のコントロールの範疇を超えた数多くの要因があるのです」と語った。

 男女のプロテニスツアーはパンデミックにより3月途中から中断しており、8月から再開することを目指している。先月発表された暫定カレンダーの最初のイベントは、8月3日からイタリアで始まるパレルモ女子オープン(WTAインターナショナル/クレーコート)となっている。

 WTA(女子テニス協会)のスポークスマンを務めるエイミー・バインダー氏は火曜日、ツアーの暫定カレンダーは現時点で変わらず予定通り実施される予定であると述べた。

「現在の私たちのシーズンへの取り組み方は、渡航制限に関係なく可能な限りプレーの機会を提供するというものです。従って旅をする資格があり意欲を持った多くのプレーヤーが、この比類なき難しい時期に競技を行うことができるのです」とバインダー氏は電子メールを通してコメントした。

 現時点で8月10日からの週に行われる大会の中には、アメリカ・ケンタッキー州レキシントンとチェコ・プラハでの女子トーナメントが含まれている。グランドスラム大会優勝歴23回のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、レキシントンのハードコート大会に出場を予定している。しかし同週に、男子の公式戦の予定はない。

 昨年ニック・キリオス(オーストラリア)が優勝したワシントンDCの大会が中止となった今、次に予定されている男子のツアー公式戦は8月22日にスタートするウェスタン&サザン・オープン(ATP1000/ハードコート)となる。同大会は通常ならオハイオ州シンシナティで開催されるが、8月31日からニューヨークで始まるUSオープンと同じ会場で行われることになっている。

 そのあと続けて、同会場でUSオープンが無観客で開催される。その次のグランドスラム大会は、クレーコートのフレンチ・オープンだ。フレンチ・オープン開幕は本来であれば5月だが、パンデミックを理由に9月に延期されていた。

 USTAはATPとシティ・オープンが今年プレーすることをあきらめたあとに声明を発表し、その中で中止を決めた「理論的根拠は理解している」と認めた。

 その上でUSTAは、「この決断は決して、USオープンとウェスタン&サザン・オープン開催に打撃を与えない。USTAは双方の大会に関わるプレーヤーや関係者のために、健康面でのリスクを軽減する安全でコントロールされた環境を生み出すつもりである」と続けた。

ワールドチームテニスにおけるコリンズのプロトコル違反が発覚でUSTAの計画に警鐘

 その矢先、2週間のグランドスラム期間中にプレーヤーと大会に関与する選手や関係者たちを安全に保つためのUSTAの大計画への警報が鳴った。女子テニス選手のダニエル・コリンズ(アメリカ)がワールドチームテニス(WTT)が課したウイルス対策のプロトコルを遵守しなかったため、大会から追い出されたのだ。

 WTTの最高経営責任者(CEO)であるカルロス・シルバ氏は、コリンズがリーグの3週間のシーズン中にすべての試合を行うグリーンブライアーを去り、ウェストバージニア州を離れたのだと明かした。

「プロトコルは選手、コーチ、スタッフの健康と安全を守るために導入され、繰り返し何度も伝えていました」とシルバ氏は説明した。

 26歳のコリンズは2019年オーストラリアン・オープンでノーシードから4強入りを果たし、世界ランク自己最高23位をマークした。

 現在世界51位のコリンズは、今回のWTTでオーランド・ストームズに所属していた。今年のWTTはパンデミックを理由にアメリカ各地を転戦せず、7月12日から8月2日まで9チームをひとつの会場に集めて行われている。

 ATPやWTAのプロツアーとは提携していないWTTは、公式戦休止期間にもシーズンを行うことができた。そのためセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)のコーチとして知られるパトリック・ムラトグルー氏らが創設した非公式大会「アルティメット・テニス・ショーダウン(UTS)」をはじめとする、小規模で独立したエキシビション大会を開催することが可能となっていた。

 なおUTSは火曜日、来たる7月25日からの2回の週末に新たな対戦を行うプランを発表した。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真は昨年のシティ・オープンの男子シングルス表彰式でのニック・キリオス(オーストラリア/右)と大会会長のマーク・アイン氏(Getty Images)

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