大坂がブレオナ・テイラーさんにオマージュを捧げるマスクを着用 [USオープン]

今年ふたつ目となるグランドスラム「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月31日~9月13日/ハードコート)の女子シングルス1回戦での勝利の前とあと、大坂なおみ(日清食品)は警官に撃たれ亡くなった黒人女性ブレオナ・テイラーさんの名前が入ったマスクを身に着けていた。

 これは大坂がフラッシングメドウに持ってきた7枚のマスクのひとつで、そのそれぞれに違った人物の名前が刻まれている。「7」という数字は、グランドスラム大会の優勝杯を獲得するのに必要な勝利の数だ。大坂はニューヨークにいる間にそのすべてのマスクを使うことで、人種差別に対する注意を喚起するチャンスを得たいと願っている。

USオープン2020|トーナメント表

「すべての名前を入れるのに7枚のマスクでは足りないというのは、かなり悲しいことだわ。決勝まで行き、7人全員の名前を見せられるよう願っている」と2018年USオープンと2019年オーストラリアン・オープン優勝者の大坂は語った。

「私はテニスが世界中で見られていること、そしてブレオナ・テイラーさんの話を知らない誰かがいるかもしれないということに気付いている。(マスクを見ることで)人々はグーグルで調べてみるかもしれない」と大坂は意図を明かした。

「私にとって重要なのは、皆にこのようなことが起きているという認識を広めるということなの。より多くの人々がストーリーを知れば、人々はもっと興味を示すようになってくれるはずだと感じているわ」

 コートの上では空っぽのアーサー・アッシュ・スタジアムで行われた日本人対決の1回戦で、第4シードの大坂はプレーの不安定さを克服して世界ランク81位の土居美咲(ミキハウス)を6-2 5-7 6-2で下した。

 試合中には、大坂の動きが問題となる場面が時折見られた。彼女は左のハムストリングの故障のため、土曜日のウエスタン&サザン・オープン決勝を棄権していたのだ。

「肉体的には、もっとよくなれるはずだと感じている(つまりあまりよくない)わ。でも試合に勝てたから、文句は言わない」と大坂はコメントした。「試合中、だんだん状態が悪くなっていった。回復のための時間が足りていないように感じた。ほとんどの時間帯で、何とかやってのけてはいたけれど」。

 先週のウエスタン&サザン・オープンで大坂は準決勝でプレーしない意思表示をすることでウィスコンシン州の警官に射殺された黒人男性のジェイコブ・ブレイク氏の事件に抗議するため、活動を停止した多くのアスリートたちの列に加わった。彼女の決断に促されて主催者は大会を一時中断し、このことでこの人種差別問題への関心が高まったからという理由で大坂は結局プレーすることに同意した。

 その月曜日のナイトセッションで、大坂は白い文字でテイラーさんの名前が描かれた黒いマスクを着用してコートに入場した。26歳のテイラーさんは、3月の麻薬捜査中に警官がノックなしの捜査令状を使ってケンタッキー州ルイビルの彼女のアパートに突入した際に撃たれて命を落とした。大坂は試合後のインタビューの際に、ふたたびマスクを着けた。

「より声を大にしてこの問題について話し始めてから、もっと大きなストレスを感じているかと多くの人々に尋ねられたわ。正直に言うけれど、そんなことはないわ」と大坂は明かした。「現時点でもし私のことが嫌いでも、こうなんだから仕方がないわという感じね」。

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