USオープンのシード選手たちが眺めのよいスイートルームを満喫
今年ふたつ目となるグランドスラム「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月31日~9月13日/ハードコート)のアーサー・アッシュ・スタジアムにあるコーポレートスイートで見られるシーンは、例年とは様子が違う。有名人、スポンサー、社交界の人々など常連たちは新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのために一般の観客たちとともに入場を禁止されており、そこにいるのはテニスのスター選手たち自身となった。
64人いる男女シングルスのシード選手たちは、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)、キム・クライシュテルス(ベルギー)、アンディ・マレー(イギリス)ら過去のチャンピオンととともに大会期間中は個人的なラウンジとして使える特別なボックスを割り当てられた。
スイートには屋外の席があり、プレーヤーたちはここに出て試合を楽しむことができる。ビーナスの妹であるセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、アパートの中庭のバルコニーを思わせるその場所に愛犬を連れてきた。
「邪魔されず、また誰の邪魔をすることなく、たた試合を観ることができるというのは素敵なことだわ」と2017年優勝者のスローン・スティーブンス(アメリカ)は高く評価した。「実際、テニスプレーヤーでありながら同時にファンとして観ることができるというのはすごく素敵なことよ」。
スティーブンスは水曜日にノバク・ジョコビッチ(セルビア)が2回戦に勝った試合の間、紙のボウルから枝豆を食べながら観戦を楽しんだ。
シャツを着ていないドミニク・ティーム(オーストリア)も現れ、今年のオーストラリアン・オープン決勝で自分を倒した男のプレーを見守った。
「彼らは見ているんだろ?彼らはそこにいるんだ」とジョコビッチは言った。「彼らの前でいいプレーをしなければという余計なプレッシャーもあるよ」。
火曜日に2012年覇者のマレーが20ヵ月ぶりのグランドスラム大会に臨んだ試合は、4時間半をかけた5セットマッチにもつれ込む過程で様々な種類の注目を集めた。
元世界ランク1位の大坂なおみ(日清食品)がマスクを着けて姿を現し、マレーの2回戦の相手となるフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)もそうだった。
グランドスラム大会を2度制したガルビネ・ムグルッサ(スペイン)もそこにいて、フォークとナイフを使いながらランチを食べていた。アンドレイ・ルブレフ(ロシア)が使っていたのは箸だった。
「最後の数ゲームを観たかったんだ」とルブレフは説明した。「非常に高いレベルのラリーになると分かっていたからね」。
マレーは2万3000人を収容できるキャパシティを持ちながらも観客がおらず静かなそのスタジアムで、彼らが観ていることに気付いた。
「最大のテニススタジアムでありながらガラガラのスタジアムで何人かの人々が観ているという事実は、間違いなく助けになったよ」と語ったマレーは、同胞のカイル・エドマンド(イギリス)がジョコビッチに敗れた試合をチェックした。
「僕にとって、必ずしも人々が何を言っているかではないんだ。僕はプレーしているとき、観客が大勢いるとき頻繁に彼らと関わり、目を合わせるよ」とマレーは明かした。「僕にエネルギーをくれ、というふうにね。それが助けになるんだ」。
22歳のステファノス・チチパス(ギリシャ)は過去に、自分は決してこのようなシートを得ることはできなかったただろうと指摘した。彼は角にある自分のボックスからの見え方について、「最高の景色ではないんだ」と冗談ぽく文句を言った。
「僕のスイートに自分の写真があったらよかったんだけど、あるのはセレナやロジャー、ラファの写真だけなんだ。それに関しては待たなきゃいけないだろうね」
クライシュテルスはベランダを少しカスタマイズし、スタジアムで練習している選手がテニスボールでリングを狙えるようにバスケットボールのフープを設置した。
「ある人たちはよくやったけど、他の人たちは大外れだったわ」と彼女は笑いながら話した。クライシュテルスはこのスイートを「素敵なボーナス」と呼んだ。
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