またも劣勢を覆したセレナが準決勝へ「大事なのは“どう終えるか”よ」 [USオープン]

今年ふたつ目となるグランドスラム「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月31日~9月13日/ハードコート)の大会10日目は、ボトムハーフの男女シングルス準々決勝と女子ダブルス準決勝残り試合が行われた。

 セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がフルセットでカムバックした最新の試合には、ふたつの特別なポイントがあった。それらは極めて重要であり、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックがない年であったなら何千という観客たちが立ち上がって拍手喝さいを送ったであろう高い運動能力と輝きに満ちた長いラリーから成り立つポイントだった。

 その曇った水曜日に空っぽのアーサー・アッシュ・スタジアムで行われたツベタナ・ピロンコバ(ブルガリア)に対する準々決勝で、セレナは45分のうちに第1セットとワンブレークを奪われた。彼女がこの劣勢を覆すためには、左手で打ったショットを含めたそれらのポイントの双方が必要だった。

 2時間を超える闘いをセレナが4-6 6-3 6-2のスコアで勝者として終えるためには、試合の行方を変える5ゲームの間に起きたその2ポイントのどちらも必要だった。彼女はこの試合を通し、ここ8年で1試合に決めた数としては最高となる20本のサービスエースを決めた。

USオープン2020|トーナメント表

「肝心なのは、“どう始めるか”でなく“どう終えるか”でしょう?」とセレナはコメントした。

 あと2勝すれば、彼女はグランドスラムのシングルスで史上最多に並ぶ24回目の優勝を果たすことができる。

「私は試合の出だし、少し疲れを感じていたの。理由はわからないけど」とセレナは明かした。「言うまでもなく、勝ち続けたければそのままではいけないわ。だからどうすべきかを見出す必要があった」。

 もしピロンコバが勝っていたら、どれほど大きな番狂わせとなっていただろうか? ピロンコバはノーシードであるだけでなく、WTAランキングさえ持っていない。出産と育児のためにツアーを離れていたため、これは彼女にとって3年ぶりの大会だった。

「信じられないほどすごいことだわ」とセレナはピロンコバの印象的な大会復帰に拍手を送った。「私だってこんなことはできないと思うわ」。

 プレーヤーがコートに出て行ったとき、スタジアムのアナウンサーは試合前の紹介の際にある種のミステリーである彼女について、32歳のピロンコバを「アレクサンダーの母」、そしてセレナを「オリンピアの母」とコールした。

「それはまさに、いかに母であることが大変かを示しているわ」とセレナは試合後に語った。

「試合をプレーし、家に帰って、変わらずおむつを替えなければならない」とセレナは言った。彼女の娘は9月1日に3歳となり、ピロンコバの息子より少し年上だ。「ふたつの生活があるようなものよ。本当にシュールだわ」。

 あと3週間ほどで39歳になるセレナは過去に6度USオープンでチャンピオンになっているが、ここ2年は連続で準優勝に終わっている。

 フラッシングメドウでセレナが準決勝より早く敗れたのは2007年のことで、そのときはジュスティーヌ・エナン(ベルギー)が彼女を準々決勝で破った。

 第15シードのマリア・サカーリ(ギリシャ)を6-3 6-7(6) 6-3で倒して4回戦をクリアするときにも、セレナは挽回して今大会での最多ゲーム数を戦わなければならなかった。

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