女子ダブルス優勝のシグムンド/ズボナレワ「抱擁してもいいかしら?」 [USオープン]

今年ふたつ目となるグランドスラム「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月31日~9月13日/ハードコート)の大会12日目は、男子シングルス準決勝と女子ダブルス決勝などが行われた。

 ベラ・ズボナレワ(ロシア)とラウラ・シグムンド(ドイツ)はラケットと腕を宙に挙げたまま困惑し、ぎこちない様子で立っていた。シグムンドはついに主審のほうを向き、「抱擁を交わすことは許されるのかしら?」と尋ねた。

 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック渦中でのテニスのルールは、初めて一緒に組んだこの大会においてズボナレワとシグムンドが理解していない唯一のことだった。

 ふたりは金曜日に第3シードのニコール・メリカ(アメリカ)/シュー・イーファン(中国)を6-4 6-4で下し、女子ダブルスのタイトルを獲得した。

USオープン2020|トーナメント表

 シグムンド/ズボナレワは双方のセットで迅速にリードを奪い、対戦相手が調子を上げてきたときにも踏みこたえ、40万ドルの賞金と抱擁の権利を手に入れた。

 大会直前に一緒にプレーしようと決めたシグムンド/ズボナレワはノーシードだったがお互いのテニスが上手くマッチしていると感じており、次のフレンチ・オープンでもペアを組むことを予定している。

「3試合目で本当に上手くコミュニケーションが取れるようになり、お互いをよく理解し合えるようになり始めたと感じたの」とズボナレワは明かした。「そこからは試合ごとに、どんどんよくなっていったわ」。

 今週36歳になったズボナレワは、ナタリー・ドゥシィ(フランス)と組んで勝ち獲った2006年USオープンの優勝杯にこのタイトルを加えた。シングルスでも輝かしいキャリアを持つ彼女は2010年の同大会で決勝に進出しており、キム・クライシュテルス(ベルギー)に敗れて準優勝していた。そしてその翌月に、彼女はシングルスでキャリア最高の2位に浮上した。

 女子ダブルスでも2012年オーストラリアン・オープンを制したズボナレワはそのあと故障に苦しめられ、特に2016年に娘のエベリナを出産してからはプレーの頻度が減り始めた。

「簡単なことではなかったわ」とズボナレワは語った。「私は過去に多くの故障に見舞われ、常にカムバックしようとしてきた。そして今日、ここにいられるというのは私にとって大きなご褒美にほかならないわ」。

 ともに同大会のミックスダブルスで優勝した実績を持つズボナレワとシグムンドは第1セットでいきなり5-1とし、第2セットの序盤でも3-1とリードした。

 出だしから鋭い動きを見せたシグムンドは、彼女がニューヨークにいる間に癌で亡くなった叔母に哀悼の意を表した。彼女の両親は葬儀から戻り、試合の開始時間には間に合わなかったそうだ。

「彼女は家で最高の席に座っていたと思うから、このタイトルを彼女に捧げたいわ」とシグムンドは表彰式のスピーチで話した。

 メリカ/シューは同会場で行われた前哨戦のウェスタン&サザン・オープンでも決勝に進出していたが、2大会連続で準優勝に終わった。(APライター◎ブライアン・マホニー/構成◎テニスマガジン)

※写真は女子ダブルスで優勝を果たしたラウラ・シグムンド(ドイツ/左)とベラ・ズボナレワ(ロシア)
NEW YORK, NEW YORK - SEPTEMBER 11: Laura Siegemund (L) of Germany and Vera Zvonareva (R) of Russia celebrate winning match point during their Women's Doubles final match against Nicole Melichar of the United States and Yifan Xu of China on Day Twelve of the 2020 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on September 11, 2020 in the Queens borough of New York City. (Photo by Al Bello/Getty Images)

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