今年ふたつ目となるグランドスラム「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月31日~9月13日/ハードコート)の男子シングルス準決勝の最初の2セットを通してアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)は困惑し、物憂げな様子だった。彼のボディランゲージは、この試合でのウィナーとミスの比率と同じくらい痛々しかった。

 ダブルフォールトを犯したズベレフは、自分の左腿を叩いた。彼はバックハンドをネットにかけて第1セットを落とし、両手で顔を覆った。彼は次のセットの序盤でフォアハンドをネットに引っかけ、それからゲストボックスのほうに途方に暮れた表情で顔を向けて両手の平を上に向けた。

 1時間25分プレーしたあとバックハンドをアウトして頭を振ったズベレフは、2セットダウンの窮地に陥った。これは23歳の彼がこれまで1度も覆したことのない劣勢であり、彼はグランドスラム大会決勝に至ったことは1度もなかった。

 しかし、彼はやってのけた。ズベレフはギアを上げ、次第に力を弱めていった第20シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)を3-6 2-6 6-3 6-4 6-3で下して見事なカムバックを果たしたのである。

USオープン2020|トーナメント表

 第5シードのズベレフは大会最終日の決勝で、第2シードのドミニク・ティーム(オーストリア)と対戦する。ティームはこのあとに行われた準決勝で、第3シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)を6-2 7-6(7) 7-6(5)で退けた。

 そしてどちらかひとりが、初のグランドスラム優勝杯を手にアーサー・アッシュ・スタジアムから去ることになるのだ。

「メンタル的に、僕は何とか踏みとどまっていた。あの状況では、多くのプレーヤーが崩れてしまっていたことだろう」とズベレフは振り返った。「もはや簡単な試合などひとつもない。ときに尋常ではない力を絞り出していかなければならない。そして今日、僕はそれを絞り出した。本当に持てる力の限りを…」。

 見事に劣勢を覆したズベレフは、2011年にジョコビッチがロジャー・フェデラー(スイス)に対してやってのけて以来となるUSオープン準決勝で2セットダウンから挽回勝ちした選手となった。また彼は、2010年のジョコビッチ以降でグランドスラム決勝に進出したもっとも若い男子選手ともなった。当時のジョコビッチもまた、今のズベレフと同じ23歳だった。

 ズベレフは今年1月のオーストラリアン・オープンで初めてグランドスラム大会準決勝進出を果たし、そこでティームに敗れた。ティームはふたりの間の対戦成績で、7勝2敗とリードしている。

「素晴らしい友情、素晴らしいライバル関係がある」とティームは語った。

 大坂なおみ(日清食品)とビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)という非常にいいプレーを見せているふたりの女性がレベルの高い準決勝に勝った翌日、カレーニョ ブスタとズベレフは最初の2セットの間はその意味で大したものを提供できていなかった。

「大きなチャンスだった」とカレーニョ ブスタは悔しさを滲ませた。そのときのズベレフはただターゲットを外し続け、何でもないボールでさえミスしていた。

 しかし最初の2セットで25本のウィナーに対して36本のアンフォーストエラーを犯したあと、ズベレフは最後の3セットでは46本のウィナーを決めてアンフォーストエラーを21本に抑えた。

「僕はより早いタイミングでボールを捕らえ始めた。ライジングで打ち始めたんだよ。僕はよりアグレッシブにプレーする側の選手となることで、自分でチャンスを作り始めたんだ」とズベレフは説明した。

「最初の2セットでは、パブロのほうが僕よりもずっと試合の主導権を握っていたからね。そんなふうにして、試合はゆっくりと流れを変え始めたんだよ」

 第4セットのあるポイントでカレーニョ ブスタに2度ボールをぶつけられても挫けなかったズベレフは、最後には頭をそらせて天を仰ぎ、大きな笑みを浮かべることができた。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真はアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
NEW YORK, NEW YORK - SEPTEMBER 11: Alexander Zverev of Germany celebrates winning match point during his Men's Singles semifinal match against Pablo Carreno Busta of Spain on Day Twelve of the 2020 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on September 11, 2020 in the Queens borough of New York City. (Photo by Matthew Stockman/Getty Images)


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