2020年フレンチ・オープンは9月27日開幕、大陸とサーフェスの変化に対処できるか?
今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)の男女シングルスの組み合わせが発表され、開幕日が近づいてきた。
セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)はフレンチ・オープンに先立つクレーコートでの前哨戦をすべてスキップしたため、ロラン・ギャロスでの彼女の初戦はUSオープン以来の試合ということになる。
大坂なおみ(日清食品)はUSオープンで2年ぶりに女王の座に返り咲いたが、フレンチ・オープンは欠場することを決めた。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのために本来の5月から日程を変えて行われる2020年フレンチ・オープンは、15日間に渡る本戦を日曜日から開始する。
USオープンでグランドスラム初制覇を成し遂げたドミニク・ティーム(オーストリア)は家で少しの間休み、それから直接パリに向かう決断を下した。
ニューヨークのハードコート大会をスキップしたシモナ・ハレプ(ルーマニア)はツアーが再開してからクレーコートでのみプレーしており、そこでいい成績を挙げている。ラファエル・ナダル(スペイン)もやはりUSオープンをスキップしたが、彼は2020年にお気に入りのサーフェスであるクレーコートで3試合しかプレーしていない。これはクレーの王者と呼ばれる彼にとって、通常行っている準備とはかけ離れている。
「まったく特別な年だ」と彼は先週のローマ準々決勝で敗れたあとにコメントした。「そして、予想することが難い年でもある」。
そしてノバク・ジョコビッチ(セルビア)は? 彼はアメリカに出向いてウエスタン&サザン・オープンを制してUSオープンで失格となるという波乱に満ちた経験をしたあと、飛行機に飛び乗ってヨーロッパに戻るとイタリア国際でタイトルを獲得した。彼は恐らくそれを、今年最後のグランドスラム大会のための最良の準備とみなしたことだろう。
「このような状況に置かれるというのは常軌を逸したことだが、同時に我々――僕、そしてほとんどのプレーヤーがそうだと思うが――はツアーで戦えるチャンスを得たことに感謝している」とジョコビッチは語った。彼はフレンチ・オープンで第1シードとなっている。
彼は2度目のフレンチ・オープン優勝と18回目のグランドスラム制覇を目指しており、それが実現すれば男子の最多記録保持者であるロジャー・フェデラー(スイス)まであとふたつ、そして2位のナダルまであとひとつと迫ることになる。ちなみにフェデラーは右膝の2度目の手術から回復するため、今季はもうプレーしないことを決めている。
「アメリカで1ヵ月プレーして疲労困憊したあと、戻ってきて直ぐに違う大陸の違うサーフェスでプレーするというのは間隔が近すぎる」とジョコビッチは話した。「非常に骨の折れる挑戦だ」。
人生に一度しかない――そうであるよう祈ろう――状況である今年とパンデミックにより変更を余儀なくされた北アメリカからヨーロッパ(ハードコートからクレーコート)の急激な移行を伴う日程にどうアプローチするかについて、すべての選手が自分なりの決断を下さなければならない。このような形に対処することに慣れている者など、ひとりもいはしないのだ。
世界ランク13位で3度グランドスラム大会準決勝に至った実績を持つジョハナ・コンタ(イギリス)はそれについて、「私たちにとって非常に違った、非常に奇妙な、非常に型破りなミニシーズン」と表現した。
USオープン終了の2週間後にフレンチ・オープンがスタートする中、皆が最終的に向き合う必要のあるいくつもの問題に対する答えのすべてがコートに現れるのだ。
「自分のカードを賢く使ってプレーしなければならないのだろうと思う」とティームは私見を述べた。彼はここ2年のフレンチ・オープン決勝でナダルに敗れ、準優勝に終わっている。
それはこの2連続のグランドスラム大会のどちらかひとつだけにエントリーするということだろうか? もしそうなら、どちらを選ぶのか? それともハードコートとクレーコートの双方で成果を求めるのか? もしそうなら、その移行をうまく行うための最良の方法は?
このふたつのサーフェスでは違ったフットワークを駆使しなければならず、違った戦略に適応することが要求される。より遅いクレーコートではスピードのあるサービスの効力が弱まるため、ポイントを取るためには忍耐が必要となる。
「いかに有能だろうか関係ないわ」と2004年制したUSオープンをスキップし、2009年に優勝したフレンチ・オープンにエントリーしたスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)は指摘した。「試合の準備は必須であり、その代わりになるものなどありはしないのよ」。
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