突如としてブレイクスルーのジダンセクがスロベニア人として初の快挙「感慨で胸がいっぱい」 [フレンチ・オープン]

写真はタマラ・ジダンセク(スロベニア)(Getty Images)

今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月30日~6月13日/クレーコート)の大会10日目は、ボトムハーフ(ドローの下半分)の男女シングルス準々決勝各2試合などが行われた。

 今大会を迎える前、タマラ・ジダンセク(スロベニア)はグランドスラム大会で一度も2回戦を超えたことがなかった。元スノーボード選手のジダンセクは今、四大大会で準決勝に進出した初のスロベニア人となった。

 フィリップ・シャトリエ・コートでのコーチングチームの声援に拍車を掛けられ、世界ランク85位のジダンセクは第33シードのパウラ・バドーサ(スペイン)を7-5 4-6 8-6で倒した。

 フレンチ・オープンはグランドスラム大会の中で唯一、いまだ最終セットでタイブレークが採用されていない大会だ。伝統と格式を誇るウインブルドンもごく最近、最終セット12-12になったらタイブレークを採用することを決めていた。

「感慨で胸がいっぱいよ」と2019年6月に世界ランク自己最高56位をマークしたジダンセクは語った。

 スロベニアのスノーボード全国ジュニア大会で3度チャンピオンに輝いたジダンセクは決勝行きの切符をかけて、第31シードのアナスタシア・パブリウチェンコワ(ロシア)と対戦する。パブリウチェンコワは前の試合と同じように最後まで競ったフルセットの末、今大会のダブルスパートーナーでもある第21シードのエレナ・リバキナ(カザフスタン)を6-7(2) 6-2 9-7で振りきった。

 パブリウチェンコワは10年前のロラン・ギャロスの同じ段階で敗れており、この試合までグランドスラム大会準々決勝での戦績は0勝6敗だった。

「今朝は精神的に本当に厳しかったの。特に私はエレナと対戦しなければならなかったから。でもこれがテニスであり、私たちはお互いに勝ちたいと思っていた。カギは彼女のサービスをうまくリターンすることだったわ」とパブリウチェンコワはコメントした。

 ライバルであり友人でもあるリバキナに対し、パブリウチェンコワは手にした17のブレークチャンスのうち6本をものにした。前ラウンドで第7シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を破る番狂わせに成功していたリバキナは、試合を通してサービスで苦労していた。

 フレンチ・オープンベスト8に進出した女子選手のうち、ジダンセク、バドーサ、リバキナを含む6人がこれまでグランドスラム大会で一度も準々決勝に勝ち上がった経験がなかった。

「試合中、精神面をうまくコントロールことができなかった」とバドーサは明かした。ジダンセクと彼女の試合では15回のサービスブレークがあり、アンフォーストエラーの数は2人合わせて「86」に及んだ。

 勝利について振り返るように求められたジダンセクは、「今日はどうにか彼女よりもちょとだけ落着きを保つことができていたように思う」と答えた。

 最初の2セットを分け合ったあと、第3セットでジダンセクがサービスゲームをキープして6-5とリードしたときにバドーサは怒りに任せて乱暴にラケットを投げつけた。彼女は冷静さを取り戻して6-6に追いついたが、ジダンセクが3つのブレークポイントをセーブして7-6とし、次のゲームで2つ目のマッチポイントを強力なフォアハンドでものにした。

 完璧な天候の中で双方の選手が壮観なウィナーを叩き出したが、同時にお粗末なショットも多かった。

「試合全体を通し、自分自身を感じることができなかった。今大会とクレーコートシーズンで最悪の試合をしてしまったから、少し悲しいわ。残念だけど、ときにはそういうことが起こるものよ」とバドーサは振り返った。

 今年のロラン・ギャロスを第6シードのビアンカ・アンドレスク(カナダ)に対する番狂わせ開始した23歳のジダンセクは、そのときに初めてトップ10プレーヤーから勝ち星を挙げた。その試合での彼女は、第2セットと第3セットの双方で、敗戦まで2ポイントと迫りながらその都度持ち直した。(APライター◎サミュエル・ペトレキン/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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