チチパスが5セットの末にズベレフを倒して初のグランドスラム決勝へ「諦めるつもりはなかった」 [フレンチ・オープン]

写真はステファノス・チチパス(ギリシャ)(Getty Images)


 今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月30日~6月13日/クレーコート)の大会13日目は、男子シングルス準決勝2試合などが行われた。

 第5セット最初のゲームで第5シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)がダブルフォールトを犯して0-40となったとき、彼はすでに2セットのリードを手放していた。

 そこでブレークされていたら、その試合は彼の手から完全に滑り落ちてしまっていたかもしれない。しかしチチパスはそこからフォアハンドのパッシングショットのウィナーを決めるなどして挽回し、5ポイントを連取して危機を脱出した。

 ここでキープできたことがチチパスを正しい方向に引き戻し、彼は初のグランドスラム決勝へとたどり着いた。彼は最終セットの山場で相手よりもいいパフォーマンスを発揮し、第6シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を6-3 6-3 4-6 4-6 6-3で振りきった。

「僕は戦う男だ。諦めるつもりはなかった。僕はいくつかのことを自分に有利に働くように正しく実行したと思う」とこの日までグランドスラム準決勝で0勝3敗だったチチパスはコメントした。

「あの(第5セットの)第1ゲームを取ったのは、新鮮な空気を吸い込んだようだったよ。あれで僕はふたたび元気を取り戻したように感じたんだ」

 相手がミスを連発したことにつけ込み、チチパスは最終セットで先にブレークして3-1とリードした。ズベレフはダブルフォールトを犯し、グラウンドストロークで3本のミスを重ねてしまった。ズベレフが顔をしかめ、チチパスは右拳を上げた。最終的にチチパスは5つ目のマッチポイントをものにし、3時間半の戦いの末に最後のサービスゲームをキープしてキャリア最大の勝利をもぎ取った。

「感情が大きく揺さぶられ、多くの大事な局面に直面した試合だったよ。最終的にいい形で終わらせられたことで、大きな解放感があった。本当に大変だった」と22歳のチチパスは振り返った。

 この勝利でチチパスは、22歳の誕生日の少しあとにタイトルを獲った2008年のラファエル・ナダル(スペイン)以降でもっとも若いフレンチ・オープン決勝進出者となった。

 大会最終日の決勝で、チチパスは世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)とトロフィーをかけて対決する。第1シードのジョコビッチは同日夜に行われたもうひとつの準決勝で、ディフェンディング・チャンピオンで第3シードのナダルを3-6 6-3 7-6(4) 6-2で倒して『キング・オブ・クレー(クレーの王者)』の14回目の全仏制覇を阻んだ。

 その曇りがちな午後、チチパスは堅実なリターンとズベレフのアンフォーストエラーにも助けられて最終セットにコントロールを取り戻した。

「第3セットになってようやくいいプレーができるようになった。ステファノスのような選手に対してはやや遅すぎたかもしれない。もし第5セットの最初のゲームでブレークすることができていたなら、結果は違ったものになっていたかもしれない」と2020年USオープン準優勝のズベレフは悔しさを滲ませた。

 これはチチパスにとって、唐突に起きた上昇ではなかった。彼はここ数シーズンに渡って着実に地位を築いてきており、グランドスラム3大会連続で準決勝に進出した。今シーズンの彼はクレーコートで22試合に勝ち、全体ではマッチ39勝といずれも男子ツアーでトップの戦績を残している。彼はここまでツアーレベルでの7タイトルのうち3つをクレーコートで獲得しており、今年はモンテカルロとリヨンで優勝を飾った。

 この日敗れたことで、ズベレフのグランドスラム大会におけるトップ10との対戦成績は0勝10敗となった。彼は他の舞台では31勝30敗と50%以上の勝率を残しており、特に困惑させられる統計となっている。

「僕はもはや、素晴らしい試合をしたことに満足する段階にはいない」とズベレフは語った。

「僕は負けた。決勝にいけなかった。いい試合だった? ああ。でも結局のところ、僕は明日には家に帰るんだ。ポジティブなことは何もないよ」

 ふたりの予選勝者と世界46位のアレハンドロ・ダビドビッチ フォキナ(スペイン)に対する準々決勝を含め、彼はベスト4に勝ち進む過程でシード選手と一度も対戦しなかった。それに対してチチパスは第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)を筆頭に、第12シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)と第31シードのジョン・イズナー(アメリカ)を破って勝ち上がっていた。

 もうひとつの準決勝が終わる前に話したチチパスは、ここ2週間で5人目のシード選手との対決に視線を向けた。

「相手がどちらでも、フィジカルな戦いになるだろう。彼らの双方が細部に注意を払い、完全な集中力で戦ってくる選手だからね。このふたりのどちらでも、大きな違いはないだろう」とチチパスは最終日を見据えた。(APライター◎サミュエル・ペトレキン/構成◎テニスマガジン)

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

写真◎Getty Images

Pick up

Related

Ranking of articles