男子団体は四日市工が「夢のような」7年ぶり3度目の優勝 [北信越インターハイ]

7年ぶり3度目のインターハイ制覇を果たした四日市工(写真◎菅原淳)


 長野県松本市を舞台に開催されている北信越インターハイ「第78回全国高等学校対抗テニス大会(団体)」「第111回全国高等学校テニス選手権大会(個人単複)」の大会3日目は男女団体の準決勝・決勝が浅間温泉庭球公園で行われ、男子団体は決勝で四日市工(三重)が東京学館浦安(千葉)を2勝1敗で下して7年ぶり3度目の優勝を飾った。

 準決勝からは3面展開の3セットマッチ、最終セットは10ポイントのマッチタイブレーク方式になる。そのルールの絡みもあって準決勝の2試合はともにしびれる展開となった。まず決勝に名乗りを上げたのは東京学館浦安(千葉)。橋本圭史/金田晴輝がダブルスをストレートで先勝すると、S2加藤晃大がファイナルセットの10ポイントタイブレークを10-12で落としたものの、最後は代島侑真が北陸・中村修大とのS1対決を制した。

 福井県勢初のベスト4入りという快挙を成し遂げた北陸だが、さらなる高みに上り詰めることはできなかった。ここまでダブルス&シングルス2で勝ち上がってきただけに、「ダブルスで先手をとられたのは誤算だった」という岡本光平監督。「自分も含めてベスト4入りに満足している部分があった。最終的にはよくやったと思うが、さらに上に行くために、この経験を次の選手たちに伝えていきたい」と大会を振り返っていた。

北陸はS2大沼広季の勝利で望みをつないだが……(写真◎菅原淳)

 四日市工と関西(岡山)のもうひとつの準決勝はさらにしびれる展開となった。ダブルス、S2がほとんど同時に第3セットの10ポイントタイブレークに突入。まずS2を関西・岩本晋之介が10-7で奪取すると、直後にダブルスを四日市工の馬場亮汰/本山知苑が奪い返す。勝負のかかったS1は第1セットを先取した眞田将吾が、第2セット序盤の関西・髙悠亜の巻き返しをはね返し7-5、6-3でチームを決勝に導いた。

「S2が取ってくれて元気をもらい第2セットは3-1までいったが、ダブルスが負けて勝負がかかった瞬間に自分のプレーができなくなってしまった。強引に攻めてミスを重ねてしまった」と敗れた関西のエース・髙。「緊張に襲われたのか」という問いに「そうですね」と声を落とし、前崎直哉監督は「ダブルスもよくやってくれて、3本ともチャンスがあった。今の3年生たちがベスト4に押し上げてくれたのはありがたいが、目標は日本一だったので悔しい」と唇をかんだ。

関西はエースの髙が最後に踏ん張り切れず(写真◎菅原淳)

 7年ぶりの優勝を目指す四日市工と、初の決勝の舞台で全国初優勝を狙う東京学館浦安。先手をとったのは東京学館浦安だった。橋本圭史/金田晴輝が四日市工がダブルスで馬場亮汰/本山知苑を6-2、6-3で突き放す。3本勝負の短期決戦、早々と初戴冠に王手をかけた。

 しかし、四日市工に焦りはなかった。馬場が「シングルスに力を与えられるように最後まであきらめずに戦った。2人は心強い、こいつらならやってくれると思っていた」と言えば、1年生の本山も「シングルスが勝ってくれるから、いつもダブルスで思い切ってできる」と厚い信頼感を口にした。

四日市工はS2堤隆貴が優勝の架け橋となった(写真◎菅原淳)

 S1眞田将吾とS2堤隆貴は、チームの信頼に鮮やかに応えてみせた。堤は第1セットを6-2で奪うと、第2セットで流れが相手の加藤晃大に傾いていく中で、必死に食らいついていく。2年生エースの眞田も、代島侑真との第1セットのタイブレークで4ポイント連取から5ポイントを連続で落とす激しいアップダウンの中で、最後はギアを上げてこれを8-6で制した。

 ところが思わぬ形で勝負は急激に結末へと向かっていった。S1の第2セットの開始直後から東京学館浦安のエース・代島の動きが鈍る。第3ゲーム直後はメディカルチェックが入り、第4ゲームの途中にはコートに大の字に倒れ込んでしまった。猛烈な暑さによる疲労もあったのだろう。「第1セットの後半から両腿がつってしまい、右の肘も突っ張った感じになっていってしまった……」。

東京学館浦安のエース・代島はまさかのトラブルに見舞われた(写真◎菅原淳)

 下半身と利き腕にトラブルが生じて満足にサービスも打てなくなった代島は、それでもサンダーサービスも交えて必死に抵抗を試みる。スライスで粘り、機を見てカウンター。隣のコートでキャプテンの加藤は「団体のときはほかのコートのことを気にしないようにしているが、気にせざるを得ない部分はあった」。頼れるエースのトラブルが影響したことは否定したものの、その直後からプレーが乱れる。再び攻勢を強めた堤の猛攻をしのげず、第2セットを5-7で落として勝負はS1に委ねられた。

「自分に勝負がかかったときはつらかった」という代島だが、対する眞田はもちろん攻撃の手を緩めない。「やりにくさはあったし、守りに入ってしまうこともあったが、相手を前後に走らせることを意識して攻め切ることができた」。最後は代島のリターンが大きくベースラインを越え、四日市工の7年ぶり3度目の優勝が決まった。

四日市工の2年生エース・眞田は相手のトラブルにも動じず勝負を決めた(写真◎菅原淳)

 バックアップとしてチームのサポートに回っていた四日市工のキャプテン・田嶋晴太朗は「ダブルスを落としてもシングルス2人がやってくれると思っていた。春のセンバツでベスト8と悔しい思いをして、この3ヵ月の間にやってきたことを出すことができた。キャプテンをやってきてよかった」と目を潤ませた。

 一方、徳丸真史監督は「めちゃくちゃうれしいです!」と笑顔が弾けた。「これまでの2度の優勝は確たるエースがいて、優勝するという目論見があっての団体だった。今回はコロナ禍で思うような準備ができない中で、眞田はいたが日替わりでヒーローが出てきた。これだけの暑さと2年ぶりのインターハイという経験不足の中、何より選手たちが明るく楽しそうにプレーしてくれた。選手たちは『夢みたい』と言っていたが、自分にとっても夢のような優勝」と、過去2回とはまた違った喜びをかみしめていた。

あと一歩で頂点には手が届かなかった京学館浦安(写真◎菅原淳)

 頂点まであと一歩で夢破れた東京学館浦安の川井良真監督は、「センバツ初戦敗退の悔しさをバネに選手たちはよく頑張ってくれた。チャンスはあっても、ものにできるときもあれば自分から手放してしまうこともある。そこをいかに詰めて臨むことができるか。決勝の壁は厚い。ここで学んだことを来年につなげていきたい」と選手たちを称え、未来を見据えていたが、最後に「今は達成感よりも残念な気持ちのほうが大きい……」と本音ものぞかせていた。

 大会4日目となる8月5日からは男女ともに個人戦がスタート。男子は浅間温泉庭球公園でシングルスの1~4回戦が、女子はやまびこドームと信州スカイパーク庭球場でダブルスの1回戦~準々決勝が行われる。いずれも1・2回戦は1セットマッチ、シングルス3・4回戦、ダブルス3回戦・準々決勝は8ゲームズプロセットで行われる。試合開始時間は9時の予定。

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編集部◎杉浦多夢 写真◎菅原淳

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