多機能型フォアハンドを身につける“実践編”(記事)
「多機能型フォアハンドを身につける“最初のヒント”」の続き、第2弾は、なぜ“多機能型”と 命名したのか、ディテールに触れていきながら、「多機能型フォアハンドを身につける」と「こんなにいいことがある!」という8つのポイントを解説しよう。(テニスマガジン2021年2月号掲載記事)
指導◎駒田政史
こまだ・まさふみ◎1973年3月30日生まれ。愛知県出身。名古屋学院高校、亜細亜大学卒。全日本ジュニア18歳以下複優勝、全日本大学王座優勝、全日本選手権複優勝(大学4年時)。卒業後はミキプルーン所属で8年間選手活動、その後、2003年より竹内庭球研究所に所属し、11年間ナショナルコーチ(フェド杯、アジア大会、ジュニアフェド杯監督、ユースオリンピック監督)を務めた。現在は関西を中心にプロ選手、ジュニア選手の強化とともに、日本テニス界の環境整備(普及から強化のシステム作り)に力を注いでいる。
写真◎宮原和也、Getty Images 協力◎ブルボンビーンズドーム
様々なシチュエーションに対応できる、様々なショットを正確に繰り出せる、それが多機能型フォアハンドだ!
多機能型フォアハンドを覚えるとこんなにいいことがある! 8つのポイント
現在のスピード化するテニスでは、〈多機能型フォアハンド〉を覚えることをおすすめします。これはみなさんが習得できるものです。
多機能型フォアとは、コンパクトなテークバックから大きなエネルギーを生むフォアハンドを言います。シチュエーションに合わせて、「骨盤」と「胸椎」の動きを変化させることによって、様々なシチュエーションに対応でき、様々なショットを“正確に”繰り出すことができるフォアハンドです。
多機能型フォアを身につけるとどんないいことがあるのか、具体的に8つのポイントを挙げましょう。それぞれで理由を説明していきますが、いくつかの項目で理由が重複しています。それは、それぞれのポイントが影響し合っているため、ということを理解してください。
「多機能型フォアは、骨盤の向きと胸椎の向きがセットです」
多機能型フォアは、骨盤の向きと胸椎の向きがセットになります(本当はつま先の向きなどディテールも解説したいところですが、ここはシンプルに2つの着目点とします)。
多機能型(最新型)と従来型(旧型)という表現で2つのフォアを比較していきましょう。
両者はボールが速いとき、時間がなくて追い込まれたとき、横に動いたときなどに違いが顕著で、従来型はクローズドスタンスで骨盤と胸椎が横向きになるのに対し、多機能型はオープン、セミオープンまたはスクエアスタンスで対応でき、骨盤の向きと胸椎の向きが打球方向を向くという点です。(下記に続く)写真を比べてみましょう。
従来型はできることが限定されてしまうのに対し、多機能型は限定されません。様々なシチュエーションに対応でき、様々なショットを“正確に”繰り出すことができるフォアなのです。
ポイント1|構えてから打つまでに時間がかからない
「骨盤の向きや胸椎の回旋を変化させると、様々なシチュエーションに対応でき、 様々なショットを繰り出せます」
多機能型フォアは、骨盤の向きと胸椎の回旋を変化させることによって、様々なシチュエーションで様々なショットを繰り出すことができます。
従来型フォアでもっとも多いのが、❶右足を引いて横向きをつくり、❷体をひねってテークバック、❸左足を踏み込み、❹ボールを打つ(ラケットを振り出す/足を蹴り出す)という打法です。これは❶打球したい方向に対して骨盤を横に向けて、次に❷下半身のエネルギーを使おうとして、骨盤を深くひねり込みテークバックをします。そして❸その状態から体重を移動して踏み込むとクローズドスタンスになり、❹打点まで遠くなって時間がかかり、振り遅れる原因になります。
対して多機能型フォアの打法は、❶最初に右足を(つま先は前向きで)ついて、胸椎をローテーションします。❷続いて左足を(やはりつま先は前向きで)踏み込んで、❸ローテーションを戻してボールを打ちます(足を蹴り出します)。
最初から下半身のエネルギーを使う準備はできています。骨盤は前を向いているので、胸椎をひねり戻すだけで、腕も続いて出てきます。構えてから打つまで時間がかかりません。
骨盤の向きと胸椎の向きが打球方向を向くので、できることが限定されない!
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