日本対中国は1勝1敗で初日を終了「太郎が跳ね返してくれたのが大きい」と岩渕監督 [デ杯日本対中国]

男子テニスの国別対抗戦、デビスカップ(デ杯)ファイナルズ予選「日本対中国」(2月1、2日/中国・広州:広州オリンピックテニスセンター/ハードコート)が始まり、1勝1敗で初日を終えた。

 このデビスカップ・ファイナルズ予選は3セットマッチで実施されている。5セットの長い戦いに慣れたファンには、デビスカップらしさが失われると危惧もあるだろう。だが、日本対中国の第1日は、我々がよく知るデ杯らしさ、醍醐味を伝えていた。

 第1試合の西岡良仁(ミキハウス)は、その怖さを味わったはずだ。公式戦での対戦成績は1勝0敗だが、「よい状態になると止まらない」手強い相手と覚悟して臨んだ。それでも、悪い方の想定通りの内容となり、勢いを止めることができなかった。

 球足の速いコートサーフェスにリー・ジェ(中国)のフラット系の弾道の低いグラウンドストロークが合い、試合は終始、相手ペースのラリーを強いられた。

 試合開始時の気温は14度と前日の最高気温から10度以上も急降下した。ボールは飛ばず、落下後も大きく弾まないため、西岡が武器にしている相手に高い打点で打たせるプレーが不発に終わった。

「リーがよかった。どこへ打ってもミスしてくれない。正直、何をしたら(チャンスが)取れるかまったく分からなかった」と西岡が嘆いた。

 世界ランクは西岡の66位に対し、リーは262位。奮闘を称えるべきだが、ホームのコンディションが彼に味方したのは間違いない。ホーム&アウェー方式は、実績やランキング差を覆す番狂わせをしばしば演出する。

「いい勉強になった。明日は勝つしかないと思っている。今日以上に気を引き締めて臨みたい」

 シングルスの第3試合にふたたび登場する予定の西岡は、この反省を生かすだろう。

 第2試合に登場したダニエル太郎(エイブル)の目にも、西岡の苦闘ぶりは焼き付いていたはずだ。

「寒かったので弾みが低かった。それでヨッシー(西岡)は相手のペースのラリーになった。ヨッシーのボールが相手をダメージできなくて、相手がよいプレーになった」

 ダニエルの分析である。この日のコート環境は、彼にとってもベストではない。

「僕がデ杯のために完璧なコートを作るなら、こういうコートは使わない」

 しかも、対戦相手のジャン・ザ(中国)もフラット系のグラウンドストロークで押してくるタイプ。このサーフェスと気温の低さが相手に有利であることは明らかだった。

 だが、ダニエルは西岡の轍を踏まなかった。

「僕はボールを上げられるところまで上げて、ミスっても、たまにアグレッシブにしていったほうが相手のリズムを崩せると思った」

 相手のペースでラリーが進んだのは、序盤だけだった。第1セットはブレークダウンで4-5まで進んだが、この時点でダニエルには「少しずつ僕のラリーのペースになりかけている」のが分かっていた。

 ブレークバックは時間の問題だった。ひとたびペースをつかめば、ダニエルの69位とジャンの208位の実力差は明らかだった。

 西岡の苦戦から学んだダニエルは、より徹底した戦術を選び、それを遂行した。まさに団体戦の妙味である。

 初戦を落とし、第2試合もセットダウンの瀬戸際というピンチから、日本は1勝1敗に持ち直した。

 岩渕聡監督は「アウェーで相手が予想以上の力を出してくることは頭にあった」という。

 最初にチームを率いたのは2017年のブラジルとのワールドグループ・プレーオフ。監督としてはまだ日が浅いが、選手として日本歴代2位のダブルス11勝の実績があり、デ杯の怖さも身にしみている。

「太郎が跳ね返してくれたのが大きい」

 一人の失敗を誰かが取り戻せるのがデ杯。指揮官が胸をなで下ろした。

(ライター◎秋山英宏)

※写真はダニエル太郎(エイブル/右)と岩渕聡監督(左)
GUANGZHOU, CHINA - FEBRUARY 01: Taro Daniel(R) of Japan celebrates the victory with the Japan team captain Satoshi Iwabuchi after the Men's Singles match on day one of the 2019 Davis Cup Qualifiers at Guangdong Olympic Sports Center Tennis Center on February 1, 2019 in Guangzhou, China. (Photo by Shi Tang/Getty Images)

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