わずか19歳、世界54位のシフィオンテクがパリでグランドスラム初タイトルを獲得 [フレンチ・オープン]

 10度台前半と肌寒くて少し風が吹く気候の中、フィリップ・シャトリエ・コートで散り散りに陣取った数百人の観客たちは「イーガ!」と長く伸ばして大声でシフィオンテクの名前を叫んだ。

 最初の15ポイントのうち12ポイントを取ったシフィオンテクは4本のウィナーを決め、1本のアンフォーストエラーも犯さずに3-0とリードした。

 とは言え自らを『喧嘩好き』と称するケニンが、無抵抗のまま敗北を受け入れることを誰も予想してはいなかった。ケニンは次のサービスゲームをキープすることで試合の核心に入り始め、それからシフィオンテクのダブルフォールトにも付け込んでブレークバックした。

 それは事の重大さを彼女が感じ始めた最初の兆候かと思われた。すぐにスコアは3-3のタイに持ち込まれた。

 しかしシフィオンテクは、回復力の塊だった。彼女はブレ―クを果たして5-3としたあとサービング・フォー・ザ・セットでブレークバックされたが、次のケニンのサービスゲームで直ちにブレークして第1セットをもぎ取ったのである。

 同じことは、第2セットの出だしにも起きた。ケニンは最初のゲームでブレークを果たして1-0としたが、シフィオンテクは直ちにブレークバックした。そして彼女はツアーレベルでの初タイトルをロラン・ギャロスで獲るという偉業への道程で、それ以降はもう1ゲームも落とさなかったのである。

 第2セット2-1でのコートチェンジの際にケニンはメディカルタイムアウトを取ってコートを離れ、それから左腿にテーピングを施して戻ってきた。

 ケニンがコートを離れている間にシフィオンテクは白いジャケットを着て体が冷えないようにしながら体を動かし、サーブを打つなどして観客から拍手を受けた。

 プレーが再開されたあと、シフィオンテクはそこから勝利を決めるのにわずか12分しか必要としなかった。彼女はウィナー数で25対10と相手を上回った。

フレンチ・オープン2020|トーナメント表

 彼女に残されたやるべきことは、ただスタジアムに鳴り響いたポーランドの国歌を聴き――グランドスラム大会のシングルス決勝後に国歌が演奏されたのはこれが初めてのことだ――、輝くトロフィーを手に取り、スピーチやインタビューをこなすことだけだった。

 少し話したあと、彼女は「ほかに何か言うべきですか?」と尋ねた。彼女は司会者に“もし望むならもっと話して”と促され、「何も思いつきません…。ごめんなさい」と答えた。

 その辺も練習したほうがいいだろう、イガ。テニス界は将来、そのようなスピーチをもっともっと見られるだろうと予想しているのだから。(APライター◎ハワード・フェンドリック&ジェローム・パグマイア/構成◎テニスマガジン)

※写真はイガ・シフィオンテク(ポーランド)
PARIS, FRANCE - OCTOBER 10: Iga Swiatek of Poland kisses the Suzanne-Lenglen cup following victory in her Women's Singles Final against Sofia Kenin of The United States of America on day fourteen of the 2020 French Open at Roland Garros on October 10, 2020 in Paris, France. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

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