フェデラーが7度目の決勝でチリッチと対戦へ、チョン・ヒョンは無念の途中棄権 [オーストラリアン・オープン]

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「オーストラリアン・オープン」(1月15~28日/ハードコート)の男子シングルス準決勝で、ロジャー・フェデラー(スイス)はその並外れたキャリアにおける矛盾した統計を修繕するのに、1時間余りしかかけなかった。

 ディフェンディング・チャンピオンのフェデラーは、チョン・ヒョン(韓国)が準決勝の第2セット途中で棄権した瞬間、グランドスラムのシングルスで20度目のタイトル獲得まで、あと一歩と迫った。

 21歳のチョンが、左足のマメを理由に途中棄権したとき、フェデラーは6-1 5-2でリードしていた。チョンの代理人によれば、それは「水泡の下にできたマメの下にまたマメができた」ものだったのだという。

 チョンとの試合に臨む前、フェデラーは、オーストラリアン・オープンで戦った13度の準決勝のうち、勝ったのは6試合という、やや彼らしからぬ記録を持っていた。

 ロッド・レーバー・アリーナの閉じた屋根の下で1時間2分プレーしたあと、彼のメルボルン準決勝での戦績は、7勝7敗になった。他のグランドスラム大会での彼は、これよりずっといい勝率を持っており、ロラン・ギャロスは5勝2敗、ウインブルドンは11勝1敗、全米では7勝3敗となっている。

「僕も、過去に足にマメができた状態でプレーしたことがあるが、ひどく痛いものだ。ある段階までくると、あまりに痛くてもう耐えられなくなって――プレーを続けられなくなる」と、フェデラーは言った。

「だからこそ、この勝利は苦く甘い。決勝に進めたことはすごくうれしいが、こんな形で勝ち進みたくはなかった」

 フェデラーはまた、こうも言い添えて、若き挑戦者に賛辞を送った。

「彼は素晴らしい大会を送った。だから今日も力を尽くして戦ったことに関して、彼の功績を称えたい」

 フェデラーの勝率は、オーストラリアン・オープン“決勝”になるとずっとよくなる。彼が決勝で敗れたのは、2009年にラファエル・ナダル(スペイン)に負けたときだけだった。

 彼は日曜日の決勝で、第6シードのマリン・チリッチ(クロアチア)と対戦する。この決勝は、彼にとって7度目のオーストラリアン・オープン決勝であり、グランドスラム大会決勝としては30番目のものとなる。

 昨年のウインブルドン決勝でフェデラーに敗れたとき、チリッチは足のマメに苦しめられていたが、今大会のチリッチは、ナダルが故障のため途中棄権した準々決勝を含め、ドローのトップハーフを通し、比較的苦労なく勝ち上がっていた。

 世界ランク58位(1月15日付)のチョンは、グランドスラム大会で準決勝に進出した初の韓国人プレーヤーとなり、世界4位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を3回戦で、グランドスラム優勝歴12回のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を4回戦で倒して大いに注目を集めつつ、メルボルンパークで信じられないような進撃をやってのけた。

 しかし激戦は、体に負担をかけた。彼は、準決勝の試合前に痛み止めの注射を打つ必要性に迫られ、第2セットでワンブレークされたあと、左足のテーピングをやり直すためにメディカル・タイムアウトをとらなければならなかった。彼は、その後わずか2ゲームをプレーした時点で、棄権することを決めた。

「正しいことをしたと思う。もし(続けて)悪いプレーをしたら、ファンや観客たちのためにもいいことではない」と彼は言った。「すごく痛くて、もう歩くことができないよ」。

 フェデラーはチョンの明るい未来を予想した。次回のチョンは、フィジカル的にも厳しいグランドスラム大会のベスト・オブ5セットマッチのために、よりしっかりと準備を整えていることだろう。

「間違いないよ。僕はここ2週間、本当にいいプレーをしてきた。グランドスラム大会で初めての4回戦、準々決勝、そして準決勝進出を果たし、(ズベレフ、)ノバク、ロジャーとプレーした。ここ2週間で、本当にいい経験を積んだよ」とチョンは言った。

「将来、今回よりもっともっとよいプレーができると思う」

 結局のところ、36歳のフェデラーは、いわゆる『ビッグ4』の地位を守ったわけだ。2005年以降、フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、アンディ・マレー(イギリス)のうち誰かひとりがいないオーストラリアン・オープン決勝は、なかったのである。

 2014年大会決勝では、スタン・ワウリンカ(スイス)がナダルを倒した。決勝がビッグ4のふたりの対決にならなかったのは、2008年以来のことだった。

 チリッチは準々決勝で世界1位のナダルを倒し、チョンは4回戦で全豪優勝歴6回のジョコビッチを驚かせた。全豪で5度準優勝しているマレーは、腰の手術を受けるために今回は出場を取り消し、その結果、彼らビッグ4の覇権は、フェデラーの肩に委ねられることになった。

 フェデラーは、11月に21歳以下のエリート大会「Next Gen ATPファイナルズ」(イタリア・ミラノ/室内ハードコート)で優勝したチョンを機能的に破壊していく仕事において、誰をも失望させなかった。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はメディカルタイムアウトをとるチョン・ヒョン(韓国)と、エンドチェンジをするロジャー・フェデラー(スイス)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 26: Roger Federer of Switzerland walks past Hyeon Chung of South Korea as Chung receives medical attention for an injured foot in their semi-final match on day 12 of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 26, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Quinn Rooney/Getty Images)

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles