“10年後のテニス”の巻
こちらテニマガ編集部、600号に掲載している
リチャード・ショーンボーンによる“10年後のテニス”が大好評です。
現在、世界で行われているテニスを分析し、そのデータをもとに、
将来行われるだろうテニスを予想しています。それを
これからのトレーニングに生かすべきだとショーンボーンは説いています。
読者のみなさんからショーンボーンに関する
感想・リクエストをたくさんいただいています。
そこで、ショーンボーン取材時のおもしろいメモを
このブログで公開していきたいと思います。
↓ルックスは“アインシュタイン”のようなショーンボーン(そっくり!笑)。
彼はチェコ出身で、ドイツテニス連盟で育成に携わっています。
彼らが始めた、ワールドクラスプレーヤーを育てるためのプロジェクトから
生まれたのがベッカーやグラフなんです。
ショーンボーンに対して一番多いリクエストが、
「どういう方法であのようなデータを集めたのですか?」
※データとは、世界のトッププレーヤーを対象に行った調査結果で
例えば“1ポイントを取るまでの時間”が、
1991年の調査結果では“12.2秒”だったのに対して、
2003年の調査結果では“5.99秒”になっていた、など。
それは取材者も確認しました。
科学的プロジェクトを始めたのは1991年で、以来、調査し続けているということです。
以前(1994年の来日時に)聞いたところによると、
世界ランキング150位以内のトッププレーヤーたち男女各120名を対象に調査しており、
1)プレー傾向(例:サーフェス別調査~ポイント獲得時間、
ポイント決定までのショット数に始まり、世界の地域別の傾向まで)
2)年度毎の分析・比較
3)そのプレーが行われるようになった過程分析
をショーンボーンはじめ、100人近い研究者が集まって、
無差別にゲームを選び、データ収集してきたとのことです。
今、行われているテニスと同じことをしていても、
将来のテニスはもっと発達してしまうかもしれないのですから、
だからこそ、今、行われているテニスをしっかり分析して
将来のテニスを予想してトレーニングしなければ、
日本はますます置いていかれてしまうのです。
世界では、そのように予想してすでにトレーニングを始めているのですから
遅れてはいけません!
さて今回、ショーンボーンは
日本の指導者育成(JTA「S級ライセンス」検定)のため数度来日したわけですが、
セミナーが終わったあとで日本の指導者のみなさんにこんな話をしていました。
常に学び続けること。
学ぶのをやめず、セミナーで学んだ知識をまとめ、整理し、
その後、実践に移していくこと。
これからの10年が大事であり、学んだことを実践する10年になる。
その10年後が楽しみだ。
今は学んだだけ。学んで終わり、にするのではなく、始まりにすること。
それが指導者の仕事であり、学ぶことは一生続く…ということでした。
ところで、70歳を過ぎるショーンボーン(確か73歳)に、
どうしてそこまでエネルギッシュでいられるのかと聞いてみました。
すると、僕の妻はこんなことを言うんだ、と笑って言っていました。
「早く正常に戻ってほしい!」ですって(笑)。
70過ぎても相変わらずテニスにのめり込む夫、というわけです。
それに対するショーンボーンの答えがまたユーモラス。
「あと20年待っていてほしい!」(20年後は…93歳だ!)
「なぜなら、コーチは勉強するのをやめたら終わりなんだ」
(編集部A)
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