男子個人は田中佑(湘南工大附)が大会を全勝で駆け抜け戴冠 [2021高校センバツ]
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最初に決勝進出を決めたのは田中だった。前日の団体決勝で準優勝に終わった湘南工大附(神奈川)のエース兼主将は、レフティー対決となった四日市工(三重)の1年生エース・眞田将吾との準決勝で6-1 6-4と圧倒。もう一方のブロックでは関西(岡山)の髙が団体優勝を果たした相生学院(兵庫)の栗山晃太朗を6-3 6-4のストレートで下し、田中への「リベンジ」のチャンスを手にした。
湘南工大附と関西は男子団体の準決勝で激突。3勝2敗で湘南工大附に軍配が上がる激戦の中、S1対決で田中が髙に6-3 6-3のストレートで勝利してチームに勢いをつける貴重な1勝目をもたらしていた。個人戦決勝はその「再戦」となった。
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スタートは落ち着かない展開だった。第1セット第2ゲームで田中が先制のブレークを奪うが、第3ゲームで髙がすかさずブレークバック。第4ゲームで田中がピタリとリターンを合わせてラブゲームでブレークに成功するも、第5ゲームでは髙もラブゲームでブレークバックと互いに譲らない。
思うようにサービスがキープできない展開の中でも田中は冷静だった。「リターンゲームでは自分のプレーができていたので、焦らずできた」。第8ゲームで立て続けにベースライン深くへショットをたたき込み、3度目のブレーク。そのまま第1セットを6-3でものにした。
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田中との初対戦だった団体戦での敗戦を踏まえ、髙は明確な戦略をもって決勝に臨んでいた。レフティーの田中のバックハンドへ、高い打点でとらせるように自慢のフォアハンドを打ち込んでいく。その戦略もあって第1セットは五分の展開に持ち込んだが、第2セットに入ると徐々に押し込まれる場面が増えていった。
田中は「第2セットから相手が自分のバックの高いところに打ってきているのを感じたが、焦らず対応できた」と振り返る。相手の意図に気付き、前に踏み込んでボールの上り鼻を叩くことで、髙の戦略を封じながらより攻撃性を高めていく。次々と相手のミスを引き出せるようになり、第4ゲームから2つのブレークを含む一気の5連続ゲーム奪取。第2セットを6-2で制して田中が初の全国タイトルを手にした。
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団体戦を含めて今大会の全7試合を、ひとつのセットも落とすことなく全勝で駆け抜けた田中。「団体は準優勝だったので個人で勝ててよかった」と微笑みを浮かべ、「結果はあっさりに見えるかもしれないが、内容は厳しいものだったので素直にうれしい」と喜びを口にした。
敗れた髙は「この大会で優勝することを目標にやってきたので、悔しい」と肩を落としながら、団体戦での初対戦から立て続けに敗北を喫した田中を「本当にうまかった。何でもできる」と驚きとともに称えていた。「この負けを受け止めて、また夏に向けて頑張ります」と、しっかり前を見据えている。夏に”3度目の正直”を果たすために。
編集部◎杉浦多夢 写真◎上野弘明
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