男子シングルスは小泉熙毅(浦和麗明)が全国初優勝 [北信越インターハイ]
長野県松本市を舞台に開催されている北信越インターハイ「第78回全国高等学校対抗テニス大会(団体)」「第111回全国高等学校テニス選手権大会(個人単複)」の大会7日目。最終日は男女とも個人戦シングルス・ダブルスの決勝が3セットマッチ(最終セットは10ポイントのマッチタイブレーク方式)で行われ、今年のインターハイ・チャンピオンが決まった。
男子シングルス決勝は、センバツ個人シングルス優勝の田中佑(湘南工大附)に小泉熙毅(浦和麗明)が挑む図式。序盤からリードを奪ったのはやはり田中だった。第2ゲームでいきなりブレークを奪うと、第8ゲームもブレークを重ねて第1セットは6-2。「緊張もあり、相手が冷静なのでプレッシャーがあった」という小泉を寄せ付けなかった。
田中はセンバツ個人に続くタイトルをあと一歩、手が届かなかった(写真◎菅原淳)
第1セット後、小泉がメディカルタイムアウトを取った。連戦により右腕に疲労が蓄積していた。テーピングを施してもらうことで、「痛みが和らいでサービスを叩けるようになった」。ここから徐々に流れが変わっていく。
第3ゲームで先に小泉がブレークを奪うも、続く第4ゲームですかさず田中がブレークバック。だが田中は、小泉の変化を感じていた。「ファーストサービスの確率もスピードも上がって、リターンが合わなくなっていった」。迎えた第9ゲーム、「流れが一瞬きたときに、バックハンドがうまくはまって攻めることができた」と小泉がふたたびブレーク。続く第10ゲームをラブゲームでキープして勝負をファイナルセットの10ポイントタイブレークへと持ち込んだ。
激闘を戦い抜いた小泉(右)と田中
短期決戦のタイブレークでは小泉に傾いた流れが変わることはなかった。「最後は相手のサービスもバックハンドも凄すぎて、手がつけられなかった。完敗です」と田中。11ポイント目のバックハンドのジャックナイフ、ダウン・ザ・ラインへのウィナーはその最たるものだろう。最後は10-4で小泉が制して勝負は決した。
世代のフロントランナーのひとりとして活躍してきた小泉だが、全国タイトルを手にするのは初となる。「ずっと全国優勝を目指してきて、家族に優勝する姿を見せたかった。優勝の報告をすることができてうれしい」と笑顔が弾けた。「課題だった『全体を見てプレーする』ということができたし、成長を実感できた部分」と確かな手応えも口にした。
菅谷/有本は悔しさを糧にダブルス制覇を成し遂げた(写真◎菅原淳)
シングルスに続いて須田悠仁(浦和麗明)とのダブルスで単複制覇を狙った小泉だったが、決勝では菅谷優作/有本響(慶應義塾)がその行く手を阻んだ。菅谷、有本ともサービスが絶好調。「自分たちのサービスを確実にとれていたので、リターンでいろいろなことにトライできた」と有本が振り返れば、「自分のサービスに集中できていた」と菅谷も声を揃える。
第1セットを6-4で奪うと、第2セットは6-6までオールキープのソリッドな展開。しかし、「第2セットになっても焦らずプレーできた」という菅谷に対し、「第2セットもリターンが返らずプレッシャーをかけられなかった」と小泉。須田も「気持ちを切り替えたつもりが、取りたいところで取れなかった」と声を落とす。
準優勝に終わった小泉/須田(写真◎菅原淳)
タイブレークに突入しても慶應ペアが掴んだ流れは変わらない。最後は菅谷/有本がこれを7-3で制して優勝を決めた。「団体、シングルスとも悔しい結果だったが、ダブルス優勝という形でサポートしてくれた人たちに恩返しができた」と菅谷が語れば、有本も「悔しい気持ちをぶつけて優勝することができ、うれしい」と続けた。敗北を糧に、見事にダブルス優勝を掴んだ。
編集部◎杉浦多夢 写真◎菅原淳
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