WTAはイタリア国際の優勝賞金で生じた小さな男女差を気にせず
イタリア国際の女子シングルスで優勝したシモナ・ハレプ(ルーマニア)が男子シングルスを制したノバク・ジョコビッチ(セルビア)より賞金が10ユーロ少なかったことについて、WTA(女子テニス協会)は驚いたり動揺したりなどしていなかった。
ローマでのふたつの決勝の翌日、WTAツアーのスポークスマンはその不一致に関して大会ディレクターと同じように計算法によるものとして受け流していた。
「これは単なる数の切り上げ、切り捨てで生じたものです。ただそれだけのことです」とWTAのスポークスマンを務めるエイミー・バインダー氏はAP通信へのメールの中で説明した。
1年前、優勝賞金の男女差はずっと大きかった。イタリア国際は男子最高レベルのATPマスターズ1000の大会であり、女子のほうは上から2番目に当たるWTAプレミア5だ。2019年の男子優勝者であるラファエル・ナダル(スペイン)が約110万ドル、女子優勝者のカロリーナ・プリスコバ(チェコ)は61万5000ドルを稼いだ。
今回のハレプとジョコビッチはともに約24万ドルの小切手を受け取ったが、ジョコビッチの受け取り額はハレプより10ユーロ(1250円相当)多かった。しかしこの差は、偶然生じたものだったらしい。
重要な収益源である観客が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのために大会の大部分を通して禁じられていたこともあり――準決勝と決勝で1000人の観客動員が許されただけだった――ATP(男子プロテニス協会)とWTAは賞金を減額した。ATPが賞金を40%減らし、WTAは32%をカットした。ツアーは大会に、選手たちにいくら渡すかを伝えていた。
「我々がやっているのは、大会を運営することだけです」と大会ディレクターのセルジオ・パルミエリ氏は電話でのインタビューで答えた。「ATPが男子プレーヤーに、WTAは女子プレーヤーにそれぞれいくら授与するかを決める。そして我々がそれを支払う。我々が行うのは、(決められた額を)支払うことだけなのです」。
今年の男子大会の財政的コミットメントは400万ユーロで、女子の大会は170万ユーロだった。パルミエリ氏によれば、男子と女子のツアーはラウンドごとの賞金の割り当てを各々違ったやり方で行っていた。
この賞金の違いは、ビリー ジーン・キング(アメリカ)と「オリジナル9」の他のメンバーが女子プロサーキットを始めるために1ドルの契約にサインした50周年記念の年に起きた。
1970年イタリアン・オ―プンで優勝した際に同年の男子シングルスでイリー・ナスターゼ(ルーマニア)が3500ドル稼いだ一方で自分は600ドルしか受け取らなかったことに端を発し、女子ツアーを設立するために動き出したとキング氏はよく語っていた。(APライター◎アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)
※写真はイタリア国際で初優勝を飾ったシモナ・ハレプ(ルーマニア)(Getty Images)
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