バーティが17歳アニシモワの進撃を止め、決勝でもうひとりの10代の新星ボンドルソバと対戦 [フレンチ・オープン]
今年ふたつ目のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月26日~6月9日/クレーコート)の女子シングルス準決勝で、第8シードのアシュリー・バーティ(オーストラリア)が1セットダウンから巻き返し、6-7(4) 6-3 6-3の勝利で17歳のアマンダ・アニシモワ(アメリカ)の進撃を終わらせた。
流れがたびたび行き来した混戦を勝ち抜いたバーティは、これで初のグランドスラム大会決勝に駒を進めた。
「今日、私はすごくよいテニスをプレーした。そして、同時にかなりひどいテニスもプレーした」と23歳のバーティはこの試合を振り返った。彼女はクリケット選手となるため2014年から2年近くテニスから離れていたが、それからツアーに復帰したという経歴を持つ。
「自分の戦い方、激しく奮闘して踏みとどまって頑張り続け、試合の中に戻っていく方法を見つけ出したことについて誇りに思うわ」とバーティは試合後に語った。
「第1セットをある意味で、自分から投げ捨ててしまったそのあとに…」
この勝利によってバーティは、土曜日に優勝をかけてもうひとりの10代の新星と相対することになる。ノーシードから勝ち上がってきた19歳のマルケタ・ボンドルソバ(チェコ)だ。
「ここまで、本当に素晴らしい旅だった。明日何が起きるか、楽しみで仕方がないわ」
世界ランク38位のボンドルソバもまた、初のグランドスラム大会決勝に臨む。彼女はもうひとつの準決勝で、第26シードのジョハナ・コンタ(イギリス)を7-5 7-6(2)で倒した。
彼女はまだ今大会で一度もセットを落としておらず、フレンチ・オープンで優勝した1997年のイバ・マヨーリ(クロアチア)以来のティーンエイジャーとなる可能性を擁している。
「私のここまでのキャリアで、最高の週だわ」とボンドルソバはコメントした。
「すべてについて、すごく幸せよ」
双方の試合には大きな流れの転換があったが、特にバーティ対アニシモワではそれが非常に顕著だった。アニシモワはこの試合前には、一度もセットを落としていなかった。
可能な限り最良の形で試合を始めたバーティは、わずか12分の間に最初の18ポイントのうち17本を取って瞬く間に5-0とリードした。
「すべては、本当にあっという間に起きたと感じていた」とバーティは振り返った。
その少しあと、アニシモワは自分のサービスゲームで15-40とされ、バーティはふたつのセットポイントを手にしていた。ところがそこでバーティが犯した2本のミスをきっかけに、アニシモワは木曜日に前年度覇者のシモナ・ハレプ(ルーマニア)に対して番狂わせを演じたときにやったやり方でプレーし始めたのだ。
そしてバーティは唐突に、道を見失ってしまった。
そこから6ゲームを連取したアニシモワは、もつれ込んだタイブレークでは最後の5ポイントを続けて奪った。そしてそれが、第2セット3-0リードとするまでの17ポイント連取の始まりとなる。
「起きたことを受け入れるのは、かなり難しかった」とバーティは第1セットでの突如の崩壊について説明した。
「こんなことは多分、以前には一度もやったことはなかったわ」
フォアハンドのウィナーでそのセットを取ったとき、アニシモバは試合に勝ったかのように両手を上に掲げた。しかし、まだ終わった訳ではなかったのだ。
それでもその勢いは、彼女が第2セット3-0とリードするまで続いた。しかし今度は、バーティが自らの7ゲーム連取の疾走で第3セット1-0まで突き進むことになるのである。
しかし諦めるつもりは毛頭ないアニシモワはブレークを果たして逆に2-1とリードを奪い返し、次のゲームではデュースに持ち込まれながらも3度ブレークポイントをセーブした。
彼女のコーチがスタンドから雨のため試合を中断すべきだと合図を送ったのは、そのときだった。主審が椅子から降りてラインが滑るかどうかチェックしている間、アニシモワはその様子を見守っていた。しかし結局、試合は継続できるとの判断が下された。
この短い休止が、結果的にアニシモワの集中力を乱すことになったのかもしれない。彼女は実際、そうであったかのようにプレーした。
そこでブレークを果たしたバーティは、そこから4ゲームを連取した。試合が崩れていくに従い、アニシモワの顔には苦痛がありありと浮かんでいた。ある1ポイントを失ったあと、彼女は枕を抱くようにラケットを胸に抱えた。彼女は右手で拳を作ると、両方の腿を次々に叩いた。
「基本的に、彼女が私を負かしたのよ」とアニシモワは相手を称えた。
バーティは試合にとどめを刺すのに6本のマッチポイントを必要としたが、それでも最後には仕事をきっちり終わらせた。
一方のボンドルソバもまた、自身初のグランドスラム準決勝でいいスタートを切ることができなかった。彼女は最初のゲームで2度ダブルフォールトを犯して最初の10ポイントを連続で失い、3-5から3つのセットポイントに直面した。しかしコンタは最初のチャンスを迎えたとき、フォアハンドのドライブボレーでアンフォーストエラーを犯した。
「私は10回のうち、9回はああするでしょうね。そして、10回のうち9回はあれが入るのよ」とコンタは悔しがった。
「私は間違いなく、何についても後悔などしていないわ」
本当にそうだったのかもしれない。しかし彼女はもう、決してセットを取り返すことができなかったのだ。そして第2セットでコンタは、またも5-3リードを棒に振ってしまう。
女子ベスト4に勝ち残った選手の中で唯一グランドスラム準決勝を以前に経験したことのある選手だったコンタだが、このラウンドでの戦績を0勝3敗としてしまった。
今回の彼女は、すべてのショットを持っているかに見える左利きのボンドルソバと、そのショットの人が羨むようなスピードとアングルの多様性によって崩壊させられてしまった。
「彼女はトリッキーな選手だわ。彼女が上手くやるのはそういうショットなのよ」とコンタは対戦相手を評価した。
女子の準決勝は、難しいコンディションの中でプレーされた。
小雨が降り始めて観客たちは傘を開き、風は時速20kmにもおよび、気温は15度程度だった。そして試合は準決勝にしては通常とは違うコートに組まれ、WTAのCEOスティーブ・サイモン氏はこれについて「アンフェアであり不適切」と批判した。
通常、フレンチ・オープンの女子準決勝は木曜日にセンターコートであるフィリップ・シャトリエ・コートで、男子準決勝は金曜日に同コートで行われることになっている。しかし、水曜日の全試合が雨のせいで翌日に持ち越されたあと、大会運営者はスケジュールを変更することを強いられた。
そのため、ふたつの女子準決勝はフィリップ・シャトリエ・コートではなくロラン・ギャロスで2番目と3番目に大きなコートで、2試合を同時に11時過ぎからスタートすることになったのである。
これがグランドスラム大会の準決勝であるように感じたかと尋ねられとき、コンタはこう答えた。
「もしかすると、周りの環境という意味ではそうではなかったかもしれない。でも試合そのものに関しては、準決勝だと感じられたわ」(C)AP(テニスマガジン)
※写真はアシュリー・バーティ(オーストラリア)
撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU
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