14歳以下は前田優と石井さやか、12歳以下は畑泰成、辻岡史帆がV [DUNLOP SRIXON CUP 全国選抜ジュニア]
日本テニス協会(JTA)などが主催する「DUNLOP SRIXON CUP 全国選抜ジュニアテニス選手権大会 兼 ワールドジュニアテニス世界大会 代表選考会」(千葉県柏市・吉田記念テニス研修センター/5月16~19日/ハードコート)の大会最終日は14歳以下と12歳以下男女シングルスの決勝が行われ、各種目の優勝者が決まった。
14歳以下の男女シングルスはともにトップ2シード対決。男子は第2シードの前田優(ラフ)が第1シードの眞田将吾(三重グリーンTC)を4-6 7-6(4) 6-1で破り、女子は第1シードの石井さやか(TEAM YONEZAWA)が第2シードの小林杏菜(海の中道M&T)を4-6 7-5 7-5で退け、日本一の栄冠に輝いた。
前田はこの決勝で眞田から公式戦初の勝利。先に第1セットを奪われたが、「焦らずにいこうと。第1セットは相手の調子を分析していた」と冷静さを失わなかった。第2セット中盤から眞田のミスが目立ち始めると、「相手によりボールを打たせて、そこからカウンターを狙う」戦略で反撃を開始。
第2セットはタイブレークに突入し、5度のミニブレークを奪ってセットを奪った前田は、最終セットに入ると一気に5ゲームを連取。第2セットを落として「気持ちが落ちてしまった」眞田に対し、ここでも前田は「ミスを減らして相手に打たせた」。最後まで落ち着いていた前田が最終セットを6-1で奪って優勝を手にした。
身長はこの1年間で10cmほど伸び、戦術の幅も広がった。高い打点でサービスが打てるようになり、ポイントの組み立てもしやすくなったという。また、相手に振り回されても粘り強く返す力もつつくなど、大会屈指のストローク力をもつ眞田との決勝でもその成長はうかがえた。前田は「目標は優勝することだったし、眞田選手に決勝の舞台で勝つことができてうれしい」と全国小学生以来2度目の全国タイトル獲得を喜んだ。
女子のトップ2シード対決、石井と小林の決勝も最終セットにもつれる大接戦。試合時間は2時間半を超え、最後に歓喜の瞬間を迎えたのは石井だった。
先に第1セットを落とす立ち上がりから、第2セット以降は自ら攻撃を仕掛けるテニスで流れを手繰り寄せた。「この試合は攻めることができ、(昔の)打ち込む自分のプレーを取り戻せた」と笑みがこぼれた。
第2セットと最終セットは序盤にリードを広げてのちに追いつかれる嫌な流れもあったが、最後まで攻めの姿勢を貫いた。昨年は惜しくも準優勝。大一番で実力が出せずに涙をのんだ。「(優勝した後は)勝てたうれしさで泣いたのもあるけど、電話でお父さんが“おめでとう”と言ってくれて。そこでもうれしくて泣いちゃいました」と涙を拭った。
優勝者のみが行えるウィナーズスピーチで石井は「この優勝をスタートに、将来、ウインブルドンで優勝できるように頑張りたい」とさらなる飛躍を誓った。
12歳以下の男子シングルスを制したのは第3シードの畑泰成(グリーンテニスプラザ)。1回戦からオールストレート勝ちの完全優勝を飾った。キレのあるサービスとフォアハンドを武器に他を圧倒。決勝はトップスピンを効かせたフォアハンドを得意とする永田瞬(tennis365.net)に6-4 6-2で快勝した。
決勝は凡ミスも少なく、大事な場面で思い切りのよいショットを連発した畑は「自信をもって(ラケットを)振ることができた。今日の出来は90点くらいです」と自己評価。狙っていた初の全国タイトルをものにした。
女子シングルスはレフティー対決となり、第1シードの辻岡史帆(SYT月見野テニススクール)が第8シードの上野梨咲(やすいそ庭球部)を6-4 6-4で破っての勝利。試合は攻めの上野、守りの辻岡となったが、「守りにも自信がある」と辻岡。相手の強打をうまくいなしながら、チャンスと見るや攻撃に転じるクレバーなテニスが光った。
4月に中学生になったばかりの辻岡。今後は「全日本ジュニアでも優勝を目指して頑張りたい」と抱負を語った。
編集部◎中野恵太
写真◎BBM
※トップ写真は、14歳以下男子シングルス決勝を争った前田優(右)と眞田将吾
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