「コート上でもコート外でも、僕はアンディに痛みのない未来を祈る」とジョコビッチ

 今年最初のグランドスラム「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月14~27日/ハードコート)。

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、アンディ・マレー(イギリス)が大会から姿を消す前に、自分の初戦をプレーできない可能性があることを知っている。もしかすると、自分が1試合もこなさないうちに、彼がツアーから去る可能性すらあるのだと。

 彼らのキャリアは、長いこと絡みあってきた。彼らはふたりとも31歳で、誕生日はともに5月で1週間しか違わず、エリートレベルで36回ぶつかり合ってきた。

 ジョコビッチは、マレーに対する通算成績で25勝11敗とリードし、この中にはオーストラリアン・オープン決勝での4勝0敗も含まれる。マレーはこの大会で5度決勝に至ったが、一度も優勝したことはない。

 マレーが涙を流しなら行った金曜日の記者会見の前に、彼らは一緒に練習した。マレーはそこで、手術を受けた右腰の痛みがあまりが強いため、ウインブルドンまで続けるようトライしたあとに引退しようと決めたのだと明かしていた。ウインブルドンというターゲットも、もしそこまで持ちこたえられたなら――という条件付きだった。

 ポイント間にマレーが足をひきずっていることは傍から見ても明らかで、ジョコビッチとの練習試合でほぼ2セットをプレーしたにもかかわらず、2ゲームしか取ることができなかった。

 しかし日曜日、ジョコビッチはこの長年の友人との練習試合で手加減はしていなかったと明言した。彼らの間柄で、そのようなことはしないのだという。

「いいや、手加減などしていなかった。正直に言うが、そんなことはしていない」と世界ランク1位のジョコビッチは言った。

「でも、(彼の体調がいまだよくないことは)確かに目にしたよ。皆の目にも明らかだ。彼が苦しんでいることに気づくのに、コート上にいる必要はない」

「我々は何年にも渡ってコート中を走り回り、ひとつ余計にボールを返してくるツアーでもっともフィットネスレベルの高い選手のひとりとしてのアンディ・マレーを目にしてきた。その意味で、僕らは少し類似している」

 ジョコビッチはオーストラリアン・オープンで6度優勝を遂げており、この記録を前年度覇者のロジャー・フェデラー(スイス)、1960年代に活躍したロイ・エマーソン(オーストラリア)と分け合っている。

 フェデラーとジョコビッチはドローの上下に分かれており、決勝まで顔を合わせることはない。マレーはフェデラーのいる下半分に位置しているが、月曜日の夜の試合で第22シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)を乗り越える可能性は低いと見られている。

 ジョコビッチは大会2日目まで試合がなく、そこで予選勝者のミッチェル・クルーガー(アメリカ)と対戦する。ここふたつのグランドスラム大会で優勝している男として、ジョコビッチはメルボルンパークの有力な優勝候補であり、3度にわたりグランドスラム大会を3連続かあるいはそれ以上の回数続けて制した最初の男となる可能性を手にしている。

 グランドスラムでのジョコビッチは、ここまでに14度の優勝を遂げている。この記録は、37歳のフェデラー(20回)、32歳のラファエル・ナダル(スペイン:17回)に次いで3位だが、彼はツアーでより長くプレーを続けられると思われる選手だ。

 マレーのキャリアは、あと数ヵ月で終わることが予想されている。彼はビッグ4の他のメンバーほど多くのグランドスラム・タイトルを獲りはしなかったが、グランドスラムとウインブルドンでのイギリス人選手の不毛の時期に終止符を打ち、オリンピックにおいて2大会連続で金メダルを獲った初のテニス選手となった。

「プロテニスの世界への我々の軌跡は、かなり似通っている。僕らは一緒にジュニアの大会でプレーしながら育った。我々はプロのサーキットで多くの伝説的戦いを演じた。僕らのプレースタイルには、かなり似たところがある」とジョコビッチは言った

「言うまでもなく、彼がこれほどまでに苦しみ、大きな痛みを経験しているのを見るのはすごく悲しいよ。長年の友人として、同僚として、ライバルとして、僕の心も痛む」

 ジョコビッチは、自分とマレーが培った関係を誇りに思うと言い、友人がツアーから去ろうとしている様子を目にするのは残念だと漏らした。

「僕にとって悲しいことだが、テニス界全体にとってもそれは同じだ。アンディはロッカールームで非常に尊敬されており、皆に好かれている人物だ。彼は素晴らしいチャンピオンであり、疑いなくこのスポーツの偉人だ。複数のグランドスラム大会で優勝し、オリンピックで2つの金メダルを獲り、デビスカップで優勝した。彼はすべてを勝ち獲ったんだ」とジョコビッチは言った。

「彼は間違いなく、僕ら皆の心を揺さぶった。それがどんな形になろうと、コート上でもコート外でも、僕は彼に痛みのない未来を祈っている」(C)AP(テニスマガジン)

※写真は会場のメルボルンパークで練習試合を行ったあとのノバク・ジョコビッチ(セルビア/左)とアンディ・マレー(イギリス/右)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 10: Novak Djokovic of Serbia talks with Andy Murray of Great Britain before their practice match ahead of the 2019 Australian Open at Melbourne Park on January 10, 2019 in Melbourne, Australia. (Photo by Michael Dodge/Getty Images)

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